子ども食堂、放課後の居場所づくり、学習支援—。群馬県伊勢崎市のNPO法人アスワードでは、学生たちが中心となって、子どもたちの成長をサポートしています。経済的な状況に関係なく、誰もが気軽に立ち寄れる場所を目指す取り組みについて代表の山本さんにインタビューしました!

3つの事業で支える子どもたちの居場所
ーNPO法人アスワードの事業内容について教えてください。
山本さん:私たちは小中学生を対象に、「第三の居場所づくり」を目指して活動しており、現在、主に3つの事業を展開しています。1つ目が子ども食堂事業で、これは学習支援とワークショップを組み合わせた形で実施しています。高校生・大学生のスタッフが小中学生の学習をサポートした後、季節のイベントを楽しみ、最後に皆で一緒に食事をする流れです。
例えば12月のクリスマス時期にはケーキ作り、ハロウィンの時期には特別なワークショップを実施するなど、様々なコンテンツを取り入れています。
2つ目は放課後の居場所作り事業として、教育委員会と共催で放課後学習教室を運営しています。伊勢崎市広瀬地区の生涯学習館で月2回ほど、授業後の子どもたちが集まって勉強や遊びを楽しむ場所を提供しています。
3つ目の学習支援事業については、現在は長期休暇中の実施が中心となっていますが、来年度からは月2-3回程度の定期開催を目指して準備を進めているところです。場所を借りる手配なども進めている段階です。
地域の課題から生まれた学生主体の団体
ー設立のきっかけを教えてください。
山本さん:私は現在大学4年生なのですが、大学2年生の時に別のNPO法人の群馬支部の代表を務めていました。活動を通じて、様々な居場所づくりや学習支援の現場を見学・体験する機会があったのですが、自分の住んでいる伊勢崎市には子ども食堂や学習支援の場が手薄だと感じました。
何とか改善できないかという思いから、アスワードを設立したことがきっかけです。最初は小さな団体としてノウハウもあまりない状態でスタートしましたが、徐々に協力者が増えていき、現在では法人として幅広く活動できるようになっています。
学生主体の団体だからこそできること
ーNPO法人アスワードの特徴や強みについて教えてください。
山本さん:最大の特徴は、学生主体のNPO法人であることです。理事も含めたメンバーの多くが学生で、現在は大学生が25-26名、高校生が10名ほど在籍しています。
群馬県内でも学生主体のNPO法人やボランティア団体は少なく、「ボランティアをしたいけど、場所がない」という学生の声も多く聞かれました。そこで、学生主体という特徴を活かしながら活動を展開しています。
子どもたちにとっては、親でも先生でもない「斜め上の関係」として接することができ、安心感のある環境を作れているのが強みです。また、高校生メンバーがいることで、中学生の進路相談にも自然な形で対応できています。
子どもたちに寄り添う安心できる環境づくり
ー利用者さんと接する際に意識されているポイントを教えてください。
山本さん:私たちの活動では、何よりも安全面での配慮を最優先に考えています。特に子ども食堂事業では食品を扱うため、手洗いや衛生管理には特に気を配っています。
また、私たちの活動は無料で行っているため、経済的に恵まれないご家庭や、ひとり親家庭の方も利用されています。そのため、特に言葉遣いには特に気を配るようにしています。例えば小さなことですが、「母親」「父親」という言葉は使わずに、「保護者の方」という表現を使うなど、子どもたちにマイナスな感情を抱かせないよう配慮しています。
私たちが目指しているのは、子どもの居場所であると同時に、保護者の方の居場所にもなれるような場所づくりです。現代では子ども会などの地域のつながりが減少し、子ども同士の関わりも昔より少なくなっています。そのため、子ども食堂では保護者の方も一緒に参加していただき、保護者同士で情報交換ができる場としても活用していただいています。
今後の展望:地域全体への貢献を目指して
ー今後の取り組みについて教えてください。
山本さん:現在、学習支援事業の強化を計画しています。新たに事務所をお借りして、月に数回の学習支援を実施する予定です。また、2階建ての事務所の上階をコワーキングスペースとして活用し、子どもたちだけでなく一般の社会人の方も利用できるコミュニティスペースを作る構想もあります。
伊勢崎市は人口20万人を超える都市で、現在は特定の地区での活動が中心ですが、今後は他の地区にも活動を広げていきたいと考えています。マンパワーや財政面での課題はありますが、少しずつ地域を広げ、より多くの方々に利用していただける場所を作っていきたいと思います。
共に作る、みんなの居場所へ
ー最後に、記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
山本さん:子どもたちを取り巻く環境は、昔と比べて大きく変化しています。子ども会などの地域のつながりが減少し、子ども同士の関わりも少なくなってきているのが現状です。
そんな中で私たちの子ども食堂は、子どもたちの居場所であると同時に、保護者の皆様の居場所にもなることを目指しています。実際に、保護者の方々にも一緒に参加していただき、保護者同士で情報交換をしたり、交流を深めたりする場としても活用していただいています。社会貢献というよりも、むしろ皆様と一緒に居心地の良い場所を作っていきたいという思いです。
また、現在私たちのメンバーには、多くの高校生・大学生が参加しています。将来教育関係に進みたい方や、社会貢献に興味のある学生の皆様、ぜひ気軽に参加していただけたらと思います。子どもたちと接することで、きっと素晴らしい経験が得られるはずです。
お子様の学習支援や居場所づくりにご関心のある保護者の方は、私たちの公式LINEからお気軽にお問い合わせください。当日の飛び入り参加も受け付けていますので、まずは気軽に足を運んでいただければと思います。
群馬県伊勢崎市を中心に、これからも子どもたちと保護者の皆様の居場所づくりに努めてまいります。皆様のご参加を心よりお待ちしております。