“絵は才能ではなく、観察力と経験で上達する”—そんな理念のもと、山﨑さんが運営する『Atelier ecru (アトリエ・エクリュ)』は、鉛筆デッサンを基礎としたカリキュラムが特徴の絵画教室です。少人数制で一人ひとりの「良いところ」を見つけて伸ばす指導スタイルは、他の教室との大きな違い。初心者からプロまで、目的に合わせた指導を受けられる教室の7年間の歩みと魅力に迫ります。

教室の概要と対象年齢層
ー教室名と対象となる生徒さんについて教えてください。
山﨑さん:Atelier ecru (アトリエ・エクリュ)では、子供クラスと大人クラスを開講しています。子供クラスは年中から小学校6年生まで、大人クラスは中学生以上で60代の方まで通われています。現在はオンラインレッスンも行っていますが、メインは対面でのレッスンです。1回のレッスンで指導できる最大人数は6〜7名程度です。
教室設立の経緯と指導方針
ー教室を始められたきっかけや経緯について教えてください。
山﨑さん:私は大阪芸術大学を卒業後、大学院に進み、大学で2年間副手として勤務。その後、大阪、長野、岐阜の中学校、高校で8年間教師として従事しました。
しかし学校の授業では限られた時間の中で大人数を指導しなければならず、生徒一人ひとりにじっくり向き合えないもどかしさを感じていました。そんな背景と、出産を機に学校を退職したタイミングが重なり2018年頃に開校。今は7年目になります。
指導内容と特徴
ー教室ではどのような絵を教えていらっしゃるのですか?
山﨑さん:基本的には鉛筆デッサンの基礎から教えています。生徒さんの目標や目的によって指導内容は変わりますが、すべての画材に共通して必要なのが基礎的なデッサン力です。モチーフの見方や捉え方、技術的な鉛筆での明暗表現などの基本をマスターしていれば、油絵や色鉛筆、水彩画など、画材が変わっても対応できるようになります。趣味で始める方もいれば、プロのイラストレーター、建築関係、ネイリストさんなどが仕事に活かすためや、基本を学び直すためにいらっしゃいます。そういった方々には、それぞれの目的に合わせた指導を行っています。
ーデジタルイラストなどにも応用できるのでしょうか?
山﨑さん:そうですね。現在はアプリやソフトなどのツールが充実していて、基本的な力がなくてもある程度のものが作れます。しかし、そういったツールに頼っていると、本来持つべき力が育たず、「もっと描きたいのに描けない」という壁にぶつかります。そのため、まずはデッサンの基礎をしっかり学んでいただいています。
Atelier ecru (アトリエ・エクリュ)のアピールポイント
ー他の絵画教室と比べた特徴やアピールポイントがありましたら教えてください。
山﨑さん:うちの教室に来る生徒さんの中には、「他の教室では“これをやりましょう”と言われるだけで、丁寧に教えてもらえなかった」という方が多いです。当教室では体験レッスンの時から、必要な道具の選び方や基本的な練習方法からを丁寧に指導しています。
絵が好きで来られる方もいれば、苦手を克服するために来られる方もおられます。初めてのことに挑戦するのは勇気がいることですので、一人ひとりの気持ちに寄り添った指導を心がけ、その人に分かりやすい言葉選びや説明の仕方を工夫しています。
ー鉛筆デッサンを重視されているのは特徴的ですね。
山﨑さん:他の教室では、いきなり水彩画などから始めるところも多いようです。また、具体的な描き方を教えてもらえない教室もあるとお聞きします。
当教室では、生徒さんそれぞれが違う絵を描いているということもあり、常に巡回して手が止まっている様子や困っている様子を見逃さないようにしています。言葉で伝わりにくい部分は、見方や捉え方を教えるために私が代わり手を入れて示したりもしています。
なぜならデッサンを重視する理由は、「見る力」「観察力」を育てることが絵を学ぶ上で非常に重要だからです。デッサンの本来の意味は、しっかりと対象を見抜く力を育て、構造を捉える力を養うことにあります。表面的な情報だけでなく、対象に寄り添って描くことで見る力が育ち、絵が変わってくるのです。
美術を学ぶことの価値と進路について
ー美術で食べていくことの難しさについてはどう思われますか?
山﨑さん:確かに難しい面はありますが、ジャンルによって違いがあると思います。私の専攻は絵画でしたので、「どうやって食べていくのか」という声はよく聞きました。
一方、デザイン学科や建築学科など、実用的な分野であれば就職の選択肢も変わってきます。時代の変化もあり一概には言えませんが、大学在学中に資格を取っておくことも大切です。私も絵を描き続けるために教員免許を取得し、それ以外にもできるだけ資格を取得し、教師として働きながら制作を続けていました。
美術は私達の生活の中に溢れていて、実はとても身近なものであり、なくてはならないものです。趣味として学ぶ方やお子様にとっても描くことを通して養われる ものの見方や観察力、集中力は学校生活や社会生活での人との関わりや考え方などへも良い影響があると考えています。
今後AI技術が発達した世界でも、培った技術や感性などを活かせる場は必ずあると感じています。
レッスン体系と料金について
ー料金体系について教えてください。
山﨑さん:大人クラスは1回2時間、子供クラスは1回1時間半で、月々の受講回数によって料金が変わります。回数が増えるとお得になる仕組みです。その他受験コースや遠方の方向けのオンラインレッスンがあります。
対面の大人クラスは火、金、土、日曜日に、子供クラスは火、水、金、土、日曜日に開講しており、曜日によって時間帯が異なります。
火曜と金曜のみ夕方6時半から大人クラスと子供クラス半数ずつの同時レッスン、水曜は子供クラスのみ4時15分からのレッスンがあります。土日は朝8時45分から夕方5時30分までの時間枠があります。
1ヵ月のカレンダーに日程と時間が記載されており、予約制でご参加いただけます。親子レッスンプランもあり、お子様と高め合いながら学んでいただくことも可能です。オンラインレッスンは生徒さんと相談しながらレッスン日を決定しています。
今後のビジョン
ー今後の展望や強化していきたいことはありますか?
山﨑さん:現在約100人の生徒さんを1人で指導しており、今後の方向性を考えているところです。絵を学びたいと思っている方がこれだけ多くおられるということを実感しています。
今後は絵が好きな人だけでなく、苦手意識のある人や「才能が必要だ」「敷居が高い」と思っている方にもさらに広げていきたいです。特にリアルに描く絵画は才能だけでなく、経験を積み観察力を養えば誰でも描けるようになります。
これをより多くの人に知ってもらうために、オンラインレッスンの充実やワークショップの開催、教室の拡大なども考えています。
絵を学びたい方へのメッセージ
ー入会や体験を検討している方に向けたメッセージをお願いします。
山﨑さん:多くの方が「才能が必要」だと思っていますが、実際はそうではありません。当教室の生徒さんもほとんどが初心者からスタートしています。
もちろん練習は必要ですが、「上手くなりたい」という気持ちがあれば結果は必ず表れてきます。ぜひそういう思いがある方は、チャレンジしてみてください。
苦手意識があると躊躇してしまいますが、実際に行動に移してみると意外とできるものです。体験レッスンや入会をご検討している方はぜひお気軽にお問い合わせ下さい。