びわ湖の水環境保全に28年にわたって取り組み続ける認定NPO法人びわこ豊穣の郷。
93歳のベテラン会員から未就学児まで、幅広い世代が共に活動する中で、特に注目を集めているのが子どもたちによる「目田レンジャー」の活動です。
世代を超えた絆で紡ぐ、持続可能な環境保護活動の取り組みについて、中 明子氏にお話を伺いました。
びわ湖の水環境改善に向けた28年の歩み
ーどんな活動をされているか、また活動をスタートさせた背景やきっかけについてお聞かせください。
中 明子氏:活動を始めた当初、びわ湖の中でも特に環境悪化が進んでいた赤野井湾でした。
昭和30年代の良好な環境への回復を目指し、私たちは活動を開始しました。
赤野井湾に流れ込む守山市内の河川、特にメタ川(目田川)をモデル河川と定め、近自然工法による川づくりを行っています。
高度経済成長期には家庭排水や工場排水の流入、また水田からの濁水など、様々な要因で水質が悪化しました。
現在は下水道整備も進み、年間を通じて河川の水質は改善傾向にあります。
ただし、田植え時期には依然として濁水の影響で一時的な水質悪化が見られる状況です。
現在は河川の水質調査や清掃活動をはじめ、子ども・大人向けのイベントも開催しています。
次世代へ継承する環境保護活動「目田レンジャー」
ー活動はどのような方々と行っていらっしゃるのですか?
中 明子氏:コロナ禍をきっかけに、子どもたちの自主性から生まれた「目田レンジャー」の活動が1つです。
毎月第3土曜日の河川清掃活動に参加する中で、「なぜゴミが減らないのか」「どうすればホタルが増えるのか」など、子どもたち自身が課題を見つけ、解決に向けて取り組んでいます。
4年ほど前から始まった「目田レンジャー」の活動は現在では3つの段階で構成されるほど、大きくなりました。
まず「ルーキーズ」として活動を開始し、6回の参加で「チャレンジャー」に昇格。
さらに意欲的な子どもたちは「エース」となり、新聞作りやステージでのプレゼンテーションなど、より主体的な活動を行います。
この取り組みは全国的にも評価され、淡海こどもエコクラブの新聞コンクールでは3年連続で賞を受賞しています。
子どもたちは東京で開催される全国大会に出向き、大きなステージでプレゼンテーションも行っています。
世代を超えた「大きな家族」としての強み
御法人の強みやアピールポイントについて教えていただけますか?
中 明子氏:当団体の特徴は、93歳から未就学児まで、幅広い世代が共に活動できる点です。
会員の52%が75歳以上という高齢化が進む中でも、世代間の交流が自然と生まれ、大きな家族のような関係が築かれています。
活動における最も重要な点は、「自分発信」であることです。
年配の方から子どもたちまで、押し付けではなく、自分で考え、自分がやりたいと思うことを実現できる環境づくりを心がけています。
この自主性を重んじる姿勢が、持続可能な活動の基盤となっています。
今後の展望と課題
ー今後の展望や取り組んでいきたいことについて教えてください。
中 明子氏:環境保護団体の多くが直面している「持続可能性」の課題に対し、私たちの活動は一つの解決モデルになり得ると考えています。
特に「目田レンジャー」の活動を通じて、次世代への継承を実現しつつあります。
しかし、中学生になると部活動や受験準備で参加が難しくなるなど、新たな課題も見えてきています。
子どもたちのモチベーションを維持しながら、いかに活動を継続させていくか。これが今後の大きな課題です。
ー記事を読む方へのメッセージをお願いします。
中 明子氏:びわこ豊穣の郷では子供さん達向けの色々な学習も行っています。
大学の先生とか専門家の皆さんにお願いし、学校では学べない活動を体験していただけるよう工夫しています。
「誰かに言われてやるのではなく、自主性を大切に」
言葉で言うのは簡単ですが、どうすれば子供達のやる気が起きるのか、工夫しながら、子供達がチャレンジしてみたいことは止めないようにはしています。
また、じいちゃんおばあちゃんたちが元気で子供たちをいつも見て、たくさん褒めてくださる環境でもあります。
それが各世代の居場所作りにも繋がっていると考えています。
当団体にご興味を持っていただけましたら、お近くの方はいらっしゃっていただきたいですし、ホームページもぜひご覧ください。