ひとり親家庭に寄り添う「こども宅食」千葉「一般社団法人 BRIGHT」が実現する新しいアウトリーチ活動

千葉市若葉区を拠点に、ひとり親家庭への食品を届ける「千葉こども宅食プロジェクト」を行う、一般社団法人「BRIGHT」。

従来の「支援を受けに来てもらう」形ではなく、各家庭へ直接食品を届けるアウトリーチ型の支援活動を行うことで支援を必要とする人たちと繋がりを築いている、「BRIGHT」の代表、増淵佳奈子さんにお話を伺いました。

「BRIGHT」が目指す新しい食品支援の形

ー まず、どういった方を対象にどのようなサービスを提供されているのかお伺いできますでしょうか?

増淵さん:ひとり親世帯を対象に、無償で食品を各家庭へ届ける「こども宅食」という活動を展開しています。

食品を届けるだけでなく、困りごとを抱える家庭との繋がりを持つことで、様々な支援に繋げることも目的としています。

支援を必要とする家庭は、公式LINEからの簡単な登録で申し込みで登録が可能で、現在の支援頻度は1家庭あたり2ヶ月に1度、年間6回程度となっています。

支援対象は高校3年生までの子どもがいるひとり親家庭です。

現在は、約160世帯へ食品をお届けしています。

支援対象児童(高3まで)は290人を超えております。

活動のきっかけ

ーこの支援を始めたきっかけについてお聞かせください。

増淵さん:私自身もシングルマザーとして2人の娘を育ててきた経験から、ひとり親家庭の貧困率が50%以上という現状に強い問題意識を持っていました。

一方で、食品ロスという社会課題にも着目し、両者を結びつける活動ができないかと考えたのがきっかけです。

認定NPO法人「フローレンス」(東京都)が展開する「こども宅食」の活動に共感し、千葉市での展開を決意しました。

ひとり親は仕事と育児に日々追われていて直接支援の場に出向くことが難しい面があり、私たちが直接届けるアウトリーチ型の支援なら、より多くの家庭に支援を届けることができると考えました。

地域に根差した支援活動の展開

ー 登録できる世帯の地域は決まっているんですか?

現在、千葉市の6区のうち、事務所がある若葉区を中心に活動を展開しています。

登録世帯の約8割が若葉区在住で、残り2割は行政などから紹介を受けた他区のご家庭です。

現在は区外の方には宅配便での配送で対応していますが、将来的には千葉市全域での支援実施を目指しています。

理想としては、各区にこのような支援団体が設立され、よりきめ細やかな支援が実現できればと考えています。

しかし、アウトリーチ型の支援活動を行う団体は県内でもとても少なく、対象地域の方が限られてしまっているのが現状です。

きめ細やかな支援で実現する「その家庭だけの食品支援」

ー 具体的な支援の内容について教えてください。

増淵さん:当団体の特徴は、各家庭の状況に合わせた細やかな対応です。

支援登録時に家族構成や子どもの年齢、食の好みなどの情報を共有していただき、それぞれの家庭の事情に基づいて食品をセレクトしています。

例えば、辛い物が苦手な家庭には辛くない食品を、お菓子は子どもの年齢に応じて選定するなど、一つひとつ考えながらパッキングを行っています。

食品の調達は、支援団体からの大口寄付を中心に、ありがたいことに最近増えてきている地域の方々からの個人寄付を活用させていただいています。

事務所に直接食品を持ち込んでくださる方や、定期的に支援してくださる方もいて、活動への理解と協力の輪が少しずつ広がっているのを実感しています。

活動に賛同していただけている方が増え、大変助かっているとともに活動の励みにもなっています。

デジタルを活用した支援の仕組み作り

ー寄付をするにはどのような方法がありますか?

増淵さん:ホームページから簡単に決済できるシステムを導入しています。

また、Amazonの「みんなで応援プログラム」にも参加し、必要な物品リストを公開しています。

支援したい方が直接物資を選んで購入し、その物資が事務所に届けられる仕組みになっています。

課題と今後の展望

今後取り組んでいきたいことや展望はお持ちですか?

増淵さん:現在の最大の課題は、支援希望者の増加に対応できていないことです。

常に約10世帯以上が支援待ちの状態にあり、新しく登録をしていただいてもすぐには支援を開始できない状況が続いています。

また、運営面では資金の確保が大きな課題となっています。

支援地域の拡大には安定した運営資金の確保が必要不可欠ですが、運営資金の調達がなかなか上手くいっていない現状です。

今後は団体の理念に賛同してくださる企業様などと協働で活動を行うことで支援の輪をさらに広げていけたらと考えています。

ー 寄付を考えている方へメッセージをお願いできますでしょうか?

増淵さん:大きな団体への寄付と違い、私たちへの寄付は使途が明確です。

受け取った寄付は確実にひとり親家庭への食品支援や団体の運営費として活用させていただきます。

小規模だからこそ、支援の形が見える、それが私たちの活動の特徴です。

私たちは個人や企業の方々と一緒になって活動を広げていけるような団体を目指しています。

食品の寄付はもちろん、運営資金のご支援など、できる形でのご協力をお願いできればと思います。

より多くの方々に活動を知っていただき、支援の輪が広がることを願っています。