沖縄の伝統武術「琉球古武道」を受け継ぐ琉棍会。その富山支部は、空手と武器術の両方を通じて、沖縄空手・古武道を学べる希少な場として注目を集めています。
本記事では、支部長・太長根 修さんに、教室設立のきっかけや指導のこだわり、今後の展望などをじっくりと伺いました。
琉球古武道に込められた哲学や、稽古を通じて得られる気づきの数々を、ぜひご体感ください。
琉球古武道を学べる数少ない場として
私の教室「琉棍会 富山支部」では、空手と共に琉球古武道の稽古を行っています。
空手だけでなく、棒術やヌンチャクなどの道具を使った武器術を指導しており、沖縄では一般的ですが、本土では珍しい稽古体系です。
道場で学べる技は多岐にわたり、棒術、サイ、ヌンチャクや、上級者になるとトンファー、鉄甲、三節棍など、古来より受け継がれる様々な武器が含まれます。
単に技術を覚えるのではなく、それぞれの武器の特性や使用目的を丁寧に学んでいただいています。
対象者は幅広く、空手の有段者から初心者、そして子どもまで受け入れています。特に空手の減点である沖縄の空手を深く学びたいと考える経験者が多く通っています。
現在は子どもの生徒は少ないですが、全ての年代を歓迎し、それぞれのペースに合わせた指導を行っています。
空手の原点を伝えたい──設立の背景
この教室を富山で立ち上げた背景には、「空手の原点とも言える琉球古武道を私の住む富山の皆さんに紹介したい」という想いがありました。
空手の型や技には意味がありますが、本土ではその意味を知らない方が少なからずいらっしゃるのが実情です。私は、沖縄に根付く本来の空手の姿を多くの方に知っていただきたいと考えています。
その空手の型や技の意味を知るために琉球古武道があります。
琉球古武道は単なる技の集合ではなく、歴史的背景や身体の使い方、精神性までも含めて学ぶ総合武術です。琉棍会本部の稽古スタイルを踏襲し、本来の武道の精神を大切にした指導を行っています。
疑問を解消する稽古を
私の教室の強みは、型や技の『意味』まで丁寧に伝える稽古法です。
動作一つひとつに理由があり、それを生徒に説明しながら稽古を進めます。「とにかくやれ」ではなく、「なぜやるのか」を伝えることを何よりも大切にしています。
そのため、他道場で長年空手を学んできた方が抱いていた疑問を、私の教室で初めて解消できたという声も多く寄せられています。
基礎動作の一つひとつにも意味があり、それを知ることで技の精度や理解が格段に深まっていくのです。
やりがいは「理解の瞬間」
「目から鱗」という瞬間を共有できることが、何よりのやりがいです。
有段者の方が、「この型にはこういう意味があったのか」と気づく場面は、指導者としてとても嬉しい瞬間です。また、防術などの武器を使った稽古が、空手の理解をより深める助けになっていることも実感しています。
型と武器術の融合による理解の深化──それこそが琉球古武道の大きな魅力だと考えています。
それまで感覚的に行っていた動作の意味を再発見することで、長年続けてきた空手に新たな光が差し込むこともあります。
今後は若年層への普及と大会開催を目指して
今後は、子どもや若年層への普及に力を入れていきたいと考えています。
沖縄では琉球古武道の大会が盛んですが、本土ではまだまだ少ないのが現状です。富山でも型の大会が開けるよう、まずは人を増やしていきたい。
そして、将来的には、うちの道場から世界大会に出場し、世界チャンピオンを輩出することが夢です。
現在は愛知の道場との交流試合もあり、年に一度の合同稽古や交流大会を通じて、技術や経験の幅を広げています。
今後は富山での主催大会も視野に入れ、より多くの人々が琉球古武道に触れる機会を創出していきたいと考えています。
初心者も熟練者も歓迎。まずは見学から
最後に、この記事を読んでいる皆さんにお伝えしたいことがあります。
琉球古武道は馴染みのない言葉かもしれませんが、空手と武器術を両方学べる伝統的な稽古体系です。
型の意味を深く理解したい方、身体の使い方を探求したい方にはぴったりの教室です。初心者でも、経験者でも、気軽に見学に来ていただければと思います。
一緒に、本来の空手の意味を探求していきましょう。