仲間と挑戦するチカラを育てる、刈谷チアリーディングクラブの取り組み

刈谷市を拠点に活動する刈谷チアリーディングクラブ。チアを通じて自己表現力や協調性を育むこの教室は、単なる習い事の枠を超えた「人を育てる場」として注目を集めています。年齢やレベルに関係なく、互いに学び合いながら成長していくクラブの魅力を、代表の小杉さんに伺いました。



異年齢で学び合う、チアリーディングの魅力

私自身が主宰する刈谷チアリーディングクラブは、刈谷市を中心に、通える範囲の子どもたちを対象とした教室です。

3歳から中学生までが在籍しており、年齢ごとに「ミニクラス」「キッズクラス」「ジュニアクラス」「スタークラス」の4つのクラスに分かれていますが、練習は全学年一緒に行うのが特徴です。

準備体操から体づくり、タンブリング(マット運動)まで、異年齢の全員で取り組むことで、年上の子が年下を自然とサポートし、年下は憧れの気持ちを持って成長することができます。

この「自然な上下関係」がクラブ全体の雰囲気を引き締め、お互いを尊重し合う姿勢を育てていると感じています。



自分自身が変われたからこそ、子どもたちにも伝えたい

クラブを立ち上げたきっかけは、自分自身の人生を変えてくれたのがチアだったからです。

私は高校でチアと出会い、大学までその道を進み、現在も現役選手として大会に出場しています。中学生の頃までは先生との関係が上手くいかず、人前に出ることも苦手だった私ですが、チアを通じて自分を表現する楽しさや、仲間と力を合わせることの大切さを知りました。

結果として、学力だけでは難しかった大学にも進学でき、人間として大きく成長できたと感じています。

そんな経験から、私と同じように何かに悩んでいる子どもたちに、チアを通じて可能性を広げてあげたいという思いで、愛知に戻ってからクラブを立ち上げました。当時、三河地区にはチアを教える場がほとんどなく、この地域にチアの楽しさを広めたいという想いが原点です。



自信と体づくり、2つの柱で子どもを育てる

このクラブでは、日々の練習に加えて、月に1回程度の発表の機会を設けています。ステージで人前に立つ経験は、自信を育てるために欠かせないものです。コンテストやイベントに定期的に出場することで、子どもたちは明確な目標を持って日々の練習に取り組めるようになります。

また、もうひとつの柱が「体づくり」です。運動神経の基礎は12歳までに決まると言われており、チアにはジャンプや体操、リズム感、表現力など多彩な動きが含まれています。

体づくりの専門の先生にも協力いただきながら、チアを通して全身をバランスよく育てる指導を行っています。



子どもたちの「やりたい」を大切にする指導

私が指導するうえで一番大切にしているのは、子どもたちの可能性にふたをしないことです。

教室では「できない」「やりたくない」は言わない、という約束をしています。できないと思い込むことで本来の力を出せなくなるからです。そして、1人ひとりが「こうしたい」「こうなりたい」という想いを尊重するよう心がけています。

髪型やメイクに対しても、チアの世界では厳しいルールが多い中で、うちのクラブでは子どもたちの個性を大事にし、押しつけはしません。ルールに縛るのではなく、自分で考えて選択することで、心から伸びていく子を育てたいと思っています。



涙が出るほどの成長の瞬間

やりがいを感じる瞬間は、やはり子どもたちの成長を間近で見られることです。

たとえば、体験会に来たけれど泣いて練習に参加できなかった子が、数ヶ月後に「悔しい気持ちが忘れられなかった」と再び訪れ、今ではクラブのエースとして活躍している姿を見ると、心から感動します。

また、入会当初「人前で固まってしまう」とお母さんから聞いていた子が、今ではステージで自ら司会を務めるまでに成長しました。このように、メンバー1人1人に大切な成長過程の物語があります。

どの子も最初は初心者で、できないことも多かったのに、少しずつ自信をつけ、人が変わったように輝いていく姿は、何度見ても胸が熱くなります。



今後は大会出場とチーム拡大を目指して

現在はイベント出演を中心としていますが、今後は大会での入賞を目指して、競技としての力も強化していきたいと考えています。子供たちもコンテスト経験を経て「悔しい」「勝ちたい」という想いを抱いてくれるようになったからです。

また、より多くの子どもたちや地元の人々にチアの魅力を伝えられるよう、規模の大きなチームに拡大することが目標です。人数が増えれば、仲間同士の刺激も増えて、さらに子どもたちの成長を後押しできると信じています。



笑顔と元気で人を勇気づけるチアの力を届けたい

私たちが取り組んでいるのは、単なるスポーツではなく、人を笑顔にし、元気を届ける“チアリーディング”という表現活動です。

協調性やリーダーシップ、人前で輝く力など、将来にも役立つ力を育てることができる素晴らしい競技だと思っています。全員が初心者からのスタートなので、初めてでも安心して参加できます。

まずはリバティーの練習や演技、衣装を見て、「私もやってみたい」と感じてもらえたら嬉しいです。このクラブを通じて、自分らしく輝ける子どもたちが増えていくことを心から願っています。