全寮制フリースクールが目指す「リアルな体験」の価値 ー 不登校・ゲーム依存からの回復を支援するチャレンジスクール

不登校やゲーム依存など、様々な理由で学校生活や家庭生活が困難になった子どもたちが増えています。全寮制のフリースクール「チャレンジスクール」は、自然豊かな環境の中で共同生活を送りながら、子どもたちの自立を支援しています。

スマートフォンやゲームから一時的に距離を置き、農作業や体験学習を通じて「リアルな体験」を重ねることで、多くの子どもたちが変化を見せています。今回は設立者の佐野さんに、その独自の教育方針についてお話を伺いました。

サービス概要と特徴

ーまず、チャレンジスクールについて、どのようなサービスを提供されているのか教えていただけますでしょうか。

佐野さん:私たちは全寮制のフリースクールを運営しています。不登校やゲーム依存、家庭内暴力、発達障害など、様々な理由で自宅での生活が困難なお子様を対象に、共同生活という形でサポートをさせていただいています。

対象年齢は10歳から22歳です。規則正しい生活を基本としながら、学習時間の確保はもちろん、畑でのボランティア活動や体験学習、運動など、日替わりで様々なプログラムを提供しています。利用期間は最短1ヶ月から、状況に応じて数年単位まで柔軟に対応が可能です。

設立の経緯とビジョン

ー独立されたきっかけについて教えていただけますでしょうか。

佐野さん:以前は別のフリースクールで働いていたのですが支援を続ける中で、特に10代の子どもたちには、より専門的で年齢に適した環境が必要だと強く感じるようになりました。

そこで、未成年に特化した支援を行うため、全寮制のフリースクールという形での独立を決意しました。特に重視したのが、自然豊かな環境での「リアルな体験」の提供です。ゲームやSNSの世界に没頭しがちな子どもたちに、実際に体を動かし、自然と触れ合い、他者と直接関わる機会を作りたいと考え2021年に当フリースクールを設立しました。

田舎での生活を選んだのも、そのような思いからです。都会の喧騒から離れ、自然に囲まれた環境で、子どもたちが本来持っている力を引き出していける場所を作りたいと考えました。デジタルの世界だけでなく、アナログな体験を通じて、より豊かな人間性を育んでほしいという願いが、独立の大きな原動力となっています。

この新しい一歩を踏み出してからは、日々の生活の中で子どもたちの確かな変化を目の当たりにし、この選択が間違っていなかったことを実感しています。

日常生活と特徴的な取り組み

ー具体的な生活の様子や特徴的な取り組みについて教えていただけますでしょうか。

佐野さん:施設での生活では、自立心を育むことを重視しており、掃除や洗濯、食事の後片付けなど、身の回りのことは基本的に自分でおこなってもらいます。これは単なる生活スキルの習得だけでなく、親への感謝の気持ちを育むきっかけにもなっています。

スマートフォンやゲームについては、バランスの取れたアプローチを心がけています。個人でのスマートフォンゲームは制限していますが、みんなで楽しめるゲームは許可しています。インターネットの利用も管理された環境で、学習目的の場合は施設のパソコンを使用できる仕組みを整えています。

生徒と関わる上で意識しているポイント

ー生徒さんとコミュニケーションを取る上で、特に気を付けていることはありますか?

佐野さん:生徒との関わりにおいて、最も大切にしているのは一貫性のある対応です。良いことをした時には、具体的な行動を指摘しながら全力で褒め、一方で間違ったことをした時には、なぜそれが適切でないのかをしっかりと説明し、より良い選択肢を一緒に考えていくようにしています。

このめりはりのある対応により、生徒たちは自分の行動に対する明確なフィードバックを得ることができ、健全な判断基準を身につけていくことができます。また、スタッフ全員がこの方針を共有することで、生徒たちが安心して過ごせる環境づくりを心がけています。

生徒の変化と成長

ー実際に、生徒さんたちにどのような変化が見られますか?

佐野さん:共同生活を通じて、生徒たちは大きく成長します。特に顕著なのは、スマートフォン依存からの改善です。環境が変わることで、「実は今はスマートフォンは必要ない」と自発的に気づく生徒が多くいます。

また、日々の生活の中で自分で考えて行動することが求められるため、主体性が自然と育まれていきます。これは帰宅後の生活にも大きな影響を与えています。

料金体系について

ー利用料金の詳細について教えていただけますか?

佐野さん:料金体系は、入学金と日額料金で構成されています。日額料金は6,000円からとなっており、この中には宿泊費、食事代、基本的な学習指導費用、各種活動費用が含まれています。

また利用期間は、お子様や家庭の状況に応じて柔軟に設定が可能です。最短1ヶ月から受け入れており、長期的なサポートが必要な場合は、複数年の利用も可能です。

今後の展望や取り組みについて

ー今後の展望についてお聞かせください。

佐野さん:2024年3月の新寮完成を機に、私たちは新たな挑戦を計画しています。その中心となるのが、自給自足の環境づくりです。具体的には、生徒たちと一緒に野菜を育てたり、田んぼを借りて米作りをしたりする予定です。

この取り組みには複数の教育的意義があります。まず、食育の観点から、自分たちで育てた作物を食べることで、食の大切さや農作物への理解を深めることができます。また、現在の物価高騰という社会情勢も踏まえ、自給自足の価値や経済活動の基本を学ぶ機会にもなります。

保護者の方々へのメッセージ

ー最後に、保護者の方々へメッセージをお願いします。

佐野さん:全寮制のフリースクールへの入寮を「子どもを見捨てている」と悩まれる保護者の方も多いと思いますが、決してそうではありません。これは教育の選択肢の一つとして、前向きに捉えていただけますと幸いです。

大切なお子様だからこそ、時には親元を離れ、お互いにクールダウンの期間を持つことが必要な場合もあるでしょう。これまでの経験から、この選択が親子関係の改善につながるケースを数多く見てきました。

不登校のお子様のことで悩んでいる方は、まずはお気軽に資料請求やお電話、LINEでご相談ください。経験豊富なスタッフが丁寧にお話をお伺いいたします。