NPO法人「地域で子どもを育む会」は、神奈川県川崎市で地域の子どもたちに学びと居場所を提供する活動を行っています。コロナ禍で学びの場を失った子どもたちのため、有志で立ち上げられたこの団体は、子ども食堂や寺子屋、音遊びなどを通じて心の支えとなる場を創出。
経済的な格差やゲーム依存といった社会課題にも取り組み、地域全体で子どもたちを育む新しい形を模索しています。代表の小畑さんの熱い思いと、子どもたちの未来を紡ぐ活動の現場に迫ります。
地域で子どもを育む会の概要と活動内容について
ーまず、どういった地域で、どのような活動をされているのか、地域で子どもを育む会の概要について教えてください。
地域で子どもを育む会代表 小畑さん(以下敬称略):地域で子どもを育む会は、神奈川県川崎市高津区の溝口駅周辺で活動しています。週に1回、金曜日の夕方から夜にかけて、子どもたちのための居場所や学習補習を行っています。ほんの少しでも「ここなら大丈夫」と思える場所を作りたくて、続けています。
ー主な活動内容としては、子ども食堂や寺子屋、音遊び、居場所作りといったものでしょうか。
小畑さん:そうですね。活動を始めた当初から、ただ学習支援をするだけじゃなくて、子どもたちが「楽しい」と感じられる場所を作ることを大切にしてきました。寺子屋では勉強がメインですが、音遊びや食事も取り入れて、自然と集まりたくなる環境を意識しています。
地域で子どもを育む会を始めるに至った経緯
ー地域で子どもを育む会を立ち上げるに至った経緯について教えてください。
小畑さん:3年前のコロナ禍がきっかけです。学校が閉鎖されて、授業中も先生に聞けないような状況が続いていました。その中で、特に塾に行けない子どもたちがどんどん勉強で遅れていることに気付いたんです。このまま放っておいたら、きっと中学でも苦労して、不登校になる子も出てくるだろうと。そう考えて、「今やらなきゃ」と有志で始めたのが、この団体です。
ー具体的には、どのような状況だったのですか?
小畑さん:例えば、小学校の高学年で基礎が身についていない子どもが3分の1くらいいたんですよ。私自身も学校のチェックに関わる仕事をしていたので、授業を見ていて「この子たちはどうなるんだろう?」って危機感を覚えました。それで、とにかく勉強したい子が安心して質問できる場所を作らなきゃと思ったんです。
経済的な格差と教育の遅れ
ー勉強に遅れが出る背景として、経済的な要因も関係しているのでしょうか?
小畑さん:そうですね。経済的に厳しい家庭の子どもは塾に通うことが難しいんです。でも小学校の高学年になると、ほとんどの子が塾に通い始めます。だから、塾に行けない子どもたちがどうしても取り残されてしまうんです。
ーその状況に対して、具体的にはどのような支援を行っているのでしょうか?
小畑さん:まず、塾に行けない子でも自由に来られるような、敷居の低い場所を作ることを意識しています。それに、経済的な問題だけじゃなくて、子どもが「塾には行きたくない」って思っている場合もありますよね。そういう子にも「ここならちょっと行ってみようかな」って思わせられる居場所作りを心掛けています。
居場所作りの重要性
ー学習支援に加えて、居場所作りも重視されていますね。その理由について教えてください。
小畑さん:勉強っていうのは、やりたくない子に押し付けても無理なんですよ。だからまずは「楽しい」って思ってもらうことが大事で。そのために音遊びとか、自由に交流できるスペースを作っています。来てみたら楽しかった、また来たいと思ってもらえるようにするのが一番ですね。
ー子どもたちの反応はどうですか?
小畑さん:すごくいいですよ。「ここに来て初めて勉強が楽しいと思った」って言ってくれる子もいます。それに、子ども同士が信頼関係を築けるのも嬉しいですね。友達ができたり、スタッフやボランティアに頼れるようになったりして、みんな少しずつ変わっていきます。
解決したい社会課題
ー地域で子どもを育む会の活動を通して解決したい社会課題について教えてください。
小畑さん:やっぱり一番は経済的な格差ですね。それが子どもたちの学びのチャンスを奪ってしまうのが、本当に悲しいです。それに学校も、全ての子どもをしっかりサポートするっていうのが難しい時代になってきていますよね。だからこそ、私たちみたいな地域の団体が補える部分をしっかり支えていきたいと思っています。
今後の展望と目標
ー今後、より強化していきたい点や取り組みたいことは何でしょうか?
小畑さん:今は中学生向けの活動も始めているんですけど、特にゲーム依存に対する支援をもっと強化したいと思っています。中学生になるとスマホを持つ子が多くて、ゲームにのめり込んじゃう子も少なくないんですよ。でも、そのエネルギーをITやAIみたいな未来に役立つ分野に向けられないかなって考えていて。
ー具体的には、どんな取り組みをされていますか?
小畑さん:例えば、大学生や高校生のボランティアにITやAIの基本を教えてもらうプログラムを試験的に始めています。子どもたちも楽しそうに取り組んでくれていて、「新しいことが学べて楽しい」と言ってくれていますね。
保護者や支援を検討している方へのメッセージ
ー最後に、地域で子どもを育む会の活動に興味を持っている方々にメッセージをお願いします。
小畑さん:私たちは、「地域の子どもを地域で育む」という理念で活動しています。塾に行っている、行っていないに関わらず、どんな子どもも歓迎です。実際、学校や家庭以外の居場所が欲しいという理由で来る子もたくさんいます。
お母さんたちもきっと「ここなら安心」と感じてもらえると思います。何か気になることがあれば、ぜひ一度お問い合わせください。地域全体で子どもたちを支える場を、一緒に作っていけたら嬉しいです。
また、最後に応援してくださる方へ。当寺子屋は『無料』にこだわり運営しております。なぜならば、無料でなければ参加できない子どもたちに参加してほしいからです。皆様のあたたかいご支援をぜひよろしくお願いいたします。