中国伝統楽器と日本の伝統文化の繋がりを大切に-「一人ひとりに寄り添った指導」華夏笛子教室

中国の伝統楽器である笛子(横笛)と簫(縦笛)の指導を行う華夏笛子教室。

2017年の設立以来、日本人の大人から在日中国人、留学生まで幅広い層の生徒が学ぶ同教室で、講師の孫シャオモンさんに教室の特徴や指導方針、そして中国伝統音楽の魅力についてお話を伺いました。

教室概要

総合講座-笛子循環呼吸

ー どういった方を対象にどのようなレッスンをされていますか?

孫シャオモンさん:当教室は2017年の設立以来、中国の伝統楽器である笛子(ディズ、横笛)と簫(シヨウ、縦笛)の2つの楽器を中心にレッスンを行っています。

両楽器とも竹製の伝統楽器であり、さかのぼっていくと、唐の前の時代からの文化との繋がりも深いものです。

日本の皆さまに対して、外国の楽器であるからこそ、より理解しやすい指導を心がけています。

また、世界無形文化遺産にも登録されている中国の伝統芸能「昆劇」のレッスンも提供しています。

昆曲は、明清の時代の宮廷音楽として使われ、音調が優雅で、文化人に好まれました。

昆曲は、中国音楽への理解を深め、中国楽器の勉強に対して不可欠な内容である他に、近年、中国の笛子と同じように人気の中国古代ドラマにもよく出てきます。

教室の生徒構成については、70%が日本人の大人の方で、続いて在日中国人2世の方々、子どもたちや20代、30代の若い世代、そして留学生の方々が通われています。

毎年夏の発表会は、皆さんが楽しみながら交流できる場となりました。

設立の経緯ときっかけ

ー この教室を始められたきっかけや背景について教えていただけますか?

孫シャオモンさん:高校生の頃から日本の伝統芸能に強い関心を持っていました。

中国の国立音楽学院(中国音楽学院)で笛子の修士課程を修了後、日本の伝統音楽を学ぶため、2014年に東京藝術大学へ留学生として入学しました。

しかし、周囲から「中国の伝統楽器も教えてほしい」という声が多く寄せられたため、2017年に教室の開設を決意しました。

特に印象に残っているのは、最初の生徒さんです。

10年間独学で練習を続けてこられた60代の方でしたが、その方は毎回のレッスンで熱心に練習に取り組んでくださり、その姿に私自身が感動し、励まされました。

息遣いが若干難しい年齢にもかかわらず、毎回努力を重ねてくださり、結果として6、7年もの間教室に通い続けてくださっています。

生徒の皆さんの真摯な姿勢に、私は毎回感動しています。

教室の特徴とアピールポイント

昆曲レッスン

ー この教室の特徴やアピールポイントについて教えていただけますか?

孫シャオモンさん:当教室の最大の特徴は、中国の名門音楽院で専門教育を受けた講師による本格指導です。

日本国内において中国国立音楽学院で笛子を専攻した講師は2名程度と極めて少なく、この点が大きな強みとなっています。

そのため北海道など遠方からも、多くの生徒様がレッスンに通われています。

さらに、外国の楽器を教える際には、音楽と伝統文化を結びつけた分かりやすい指導法も特徴です。

最初は「中国の楽器は難しそう」と心配される方もいらっしゃいますが、実は日中両国の伝統文化には多くの共通点があります。

レッスンで中国の音楽文化について説明すると、「日本にも同じような文化がありますね!」と気付かれる場面が頻繁にあります。このような発見を通じて、想像以上にスムーズに理解が深まっていくのです。

また私は、日本の方々により分かりやすく指導するため、自らも日本の邦楽を学び続けています。

外国人講師ならではの視点で、「どのように説明すれば伝わりやすいか」を常に研究。

一見当たり前に思えることでも、丁寧に分解して解説することで、多くの生徒様に中国音楽の魅力を体感していただいています。

生徒指導で大切にしていること

ー 生徒さんにレッスンされる際に大切にしていることや意識していることはありますか?

孫シャオモンさん:管楽器である以上、まず大切なのは「気」の練習です。

そのため、レッスンでは必ず笛を準備した後、ロングトーン練習と中国の五声音階練習から始めています。

生徒さんは興味深い曲を演奏したい気持ちが強いのですが、息の練習ができていないと、メロディーも上手く吹けません。

そのため、毎回のレッスンで基礎練習を習慣づけることを重視しています。

また、子供と大人では指導方法を変えています。

子供は体が柔らかく、これから成長していく段階にあるため、指と口の形に特に注意を払っています。

息が長く続かなくても、自分のできる範囲で少しずつ伸ばしていけるよう指導しています。

一方、大人の場合は、特に力仕事をされている方は指が硬くなっている場合が多く、指が早く動かないことや、まっすぐ柔らかく押さえられないことがあります。

そのため、リラックスした状態で指先まで力が抜けるよう、丁寧に指導しています。

大人の生徒さんには、より完璧を目指して指導させていただいています。

コースや料金体系について

ー 提供されているクラスについて教えていただけますか?

孫シャオモンさん:笛子や簫の個人/グループレッスンに加え、昆劇のクラス、さらに中国伝統音楽のアンサンブルレッスンも開講しています。

アンサンブルレッスンでは特に広東音楽の合奏に力を入れており、他の中国伝統楽器との合奏を通じて、音楽の楽しさを深めていただけます。同じ趣味を持つ仲間との出会いの場としてもご好評いただいております。

当教室の講師陣は、NHK「ニッポンの芸能」、BSテレ東「おんがく交差点」等の日本のテレビ番組に出演経験のある実力派ぞろい。

中国現地と変わらない本格的な指導を、日本にいながらにしてご体験いただけます。

今後のビジョンと展望

ー 今後教室として強化したい点や、新たに取り組んでみたいことはありますか?

孫シャオモンさん:日本人の生徒さんは、日本特有の美しい文化の中で育まれた感性をお持ちです。

中国から来た私たちとは異なる視点で音楽と向き合えることでしょう。そんな生徒さんたちが、いつの日か立派な笛子奏者として成長されることを心から願っています。

教室では、二重奏や三重奏のアンサンブルクラスを積極的に開催しています。

仲間と息を合わせて演奏する喜びを、ぜひ体感していただきたいと考えています。

さらに、日本での活動の場を広げるため、生徒さんとともに老人ホームや地域の文化施設などでの演奏会を企画中です。

音楽を通じた社会貢献として、今年中にぜひ実現させたいと思っています。

記事を読んでいる方へのメッセージ

ー 教室に興味を持たれた方へメッセージをお願いできますでしょうか?

孫シャオモンさん:笛子と簫は何千年もの歴史を持つ楽器で、日本の伝統楽器とも深い繋がりがあります。

実際に演奏を聴いていただくと、「どこかで聴いたことがある」と感じていただける方も多いと思います。

また、ほとんどの方が管楽器を演奏した経験がなくても、角度や持ち方を調整することで、最初のレッスンから音を出すことができます。

楽器の演奏だけでなく、中国の伝統文化についても学べる場所ですので、興味をお持ちの方はぜひ見学にいらしてください。