NPO法人フードバンク目黒は、目黒区を中心に生活困窮者への支援活動を行っています。経済的な理由で十分な食事をとることができない方々を対象に、食材の提供を通じて支援を続けています。本記事では、団体の活動概要や立ち上げのきっかけ、特徴・強み、今後の展望について詳しくお話を伺いました。
活動の概要について教えてください。
私たちは、目黒区を中心に、経済的に食べる物が十分に買えない方々を支援する活動を行っています。主な対象は、ひとり親や子育て家庭を優先的に支援してきましたが、最近では単身者など大人だけの世帯からの要請も増えてきています。メンタルダウンなどで収入が少ない方も多くいらっしゃるため、そうした方々にも食材を提供しています。
支援の形としては、企業や個人から食品の寄付を募り、それを必要とする家庭に配布するというものです。また、地域の支援団体とも連携しながら、より多くの方々に必要な支援を届ける仕組みを構築しています。
立ち上げたきっかけについて教えてください。
フードバンク目黒は2017年の秋に任意団体として発足しました。当初の目的は、フードロスの削減でした。様々なイベントで、家庭で食べきれない食品の寄付を募り、児童養護施設などへ届ける活動を行っていました。
しかし、2020年頃から生活困窮者の方々からの支援要請が増え、活動の方向性が大きく変わりました。単なるフードロス削減ではなく、困っている方への直接的な支援が求められるようになったのです。
私自身、この活動に参加したのは2020年の暮れです。会社を退職する1-2年前にNHKのニュースで「日本では子供の6人に1人が貧困状態にある」という事実を知り、令和の時代にこんなことがあっていいのかと衝撃を受けました。退職後何か貢献できないかと考えていた時にフードバンク目黒の存在を知り、活動に参加することを決めました。
特徴・強みはどんなところでしょうか。
フードバンクの活動は全国各地で行われていますが、私たちの特徴は、支援する家庭ごとの状況を細かく把握し、それに応じた食材を提供している点です。
支援要請を受けた際には、「ひとり親で中学生と小学生がいる家庭」には食べ盛りの子供向けの食材、「高齢者2人世帯」には高齢者の食べやすい食材など、できるだけそのご家庭に合った食材を選定して提供しています。こうしたきめ細やかな対応が、私たちの活動の大きな強みです。
活動・指導方針についてえ教えてください
私たちは、困難な状況にある人々が孤立せず自立することを目指して、地域の助け合いの場となることを目的としています。人と人のつながりにより共に助け合う社会ができればと考えています。
また、支援する側とされる側という関係になりすぎないよう、できるだけ対等な関係性を築くことを心がけています。
当バンクの利用者には、食材を受け取るだけでなく食品配布会で食材準備や配布の活動に参加して頂くこともしております。また、メールのやり取り一つとっても、きちんと敬意を持って接するようにしています。
今後の展望についてお聞かせください。
私たちの理念をより深く実現するためには、単に食材を提供するだけでなく、「自立支援」にも力を入れる必要があると考えています。
ただし、私たちは専門家ではないため、自立支援の専門家や孤立支援の専門家と連携し、困窮状態から抜け出せるような支援の橋渡しをしていきたいと考えています。
また、現在私たちが支援できているのは月に約200世帯ですが、目黒区内には少なくとも数千世帯の生活困窮者がいると推定しています。より多くの方々を支援するために、食品の調達力やマンパワー/倉庫収容力を強化し、供給能力を向上させていきたいと思います。
メッセージ
目には見えにくいのですが、食に困っている方々はたくさんいます。しかし、私たちの支援能力には限界があり、現状ではすべての方々を支援することができていません。そのため、企業や個人の皆様のご協力が不可欠です。
企業の皆様には、販売期限が過ぎたが賞味期限が残っている食品の提供や、倉庫・事務所の提供をぜひご検討いただきたいと思っています。また、ボランティアとして活動に参加してくださる方が増えれば、支援の幅をさらに広げることができます。
少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひフードバンク目黒の活動にご協力いただければ幸いです。