フリースクール流山は、6歳から23歳までの子どもたちや若者を対象に、校則も宿題もない自由な学びの場を提供しています。不登校の経験がある代表の思いから生まれたフリースクール流山は、「自分で決める」ことを尊重した教育方針が特徴。子どもたちは、自分のペースで学び、活動を選び取ることで、自己肯定感を育みます。
完全個別対応や子ども主体のミーティングなど、他のフリースクールにはない柔軟なスタイルが魅力的です。流山市という地域特性に合わせて設立され、親子を支える場としても機能しています。この記事では、設立の経緯や独自の取り組み、そして子どもたちの未来を開く支援の詳細をご紹介します。
フリースクール流山の概要について
ーまず、どういった方を対象にし、どのような指導を行っているフリースクールなのか、概要を教えていただけますか?
フリースクール流山代表 原野さん(以下敬称略):フリースクール流山は、小学校1年生の6歳から23歳の年度末まで在籍できる場所です。なので、小学生や中学生といった学齢期の子どもたちだけじゃなくて、18歳以上の若者も受け入れています。入会は20歳でも可能ですね。
フリースクール流山で大事にしているのは「自分で決める」ということです。校則もないし、宿題もない。何をするか、しないか、ミーティングに参加するかしないかも、全部その子自身で決めてもらっています。私たちスタッフが何かを強制したり指示を出したりすることもありません。
例えば、ミーティングではお昼ご飯を何にするかとか、どんなおやつを作るかを話し合います。でも、それに参加しない自由もあるんです。「今日は参加したくない」と思えば、それもその子の選択として尊重します。そうやって、自分で選ぶ力を育てることを大事にしているんです。
フリースクールが目指す対象と役割
ー対象として、不登校の子どもたちが多いのでしょうか?
原野さん:そうですね、不登校の子どもたちが多いです。フリースクール流山は、月曜日から金曜日、朝10時から夕方5時まで開いている場所なんですけど、これは公立学校の時間帯に合わせています。学校に通えない、あるいは学校以外の居場所を求めている子どもたちにとって、ここが居場所になればいいなと思っています。
対象年齢を23歳までとした理由
ー対象年齢が23歳までとされているのは、何か理由があるのでしょうか?
原野さん:はい。実は私が以前勤めていたNPO法人では、当初18歳までしかサポートしていませんでした。でも、18歳で支援が途切れると、「高校を卒業したら次はどうしたらいいの?」と迷ってしまう子が多かったんです。それで少しずつサポートする年齢を引き上げて、23歳くらいがちょうどいいよねという形になったんです。
ここでも、その考えを引き継いでいます。18歳で突然サポートがなくなるのではなく、少しずつ次のステップに移れるようにしたいと思っています。
設立のきっかけ
ー設立の背景について教えていただけますか?
原野さん:私自身が不登校だったんですよ。小学校の時に学校に行けなくなって、その後、高校や大学には行ったんですけど、不登校を経験したからこそ「学校以外の居場所が必要だな」と強く思うようになりました。
その後、公立中学校で先生をしていたんですが、やっぱり公立の学校って息苦しい部分もあるんですよね。合う子にとっては楽しい場所だけど、合わない子にとっては本当に苦しい場所になってしまう。だから、もっと自由な場所が必要だなと感じていました。
その後、大手NPO法人でフリースクールのスタッフをしていました。でも、その中で「もっと子どもたちの声を聞ける場を作りたい」と思うようになって。独立することを決めて、今年の4月にこのフリースクールをスタートしました。
他のフリースクールとの違いと特徴
ー他のフリースクールにはない特徴や、一番のアピールポイントを教えてください。
原野さん:一番の特徴は、完全に個別対応というところです。例えば、中学生の子が「今日は英作文をやりたい。でも座っているのは苦手だから、立ちながらやりたい」って言えば、スタッフと一緒にホワイトボードの前で立ちながら英作文をする。そういうふうに、その子に合わせた学び方を一緒に考えていきます。
また、ミーティングも特徴的です。週に1回、子どもたちだけじゃなく大人も一緒にミーティングをするんですけど、大人の意見が必ず通るわけじゃありません。例えば、初詣の企画を出しても「俺ら神社に興味ないよ」と言われて却下されることもあります(笑)。その代わりにスポッチャに行こうとか、子どもたちが決めた企画が採用されることもあります。
指導方針と子どもたちへの接し方
ー指導する際に特に意識していることや方針について教えていただけますか?
原野さん:フリースクール流山は「指導しない」という方針を徹底しています。どうしても学校だと「指導」が基本になりますよね。でも、不登校の子たちの声を聞いていると、「なぜ私たちは指導される対象なんだろう?」という疑問がすごく多いんです。
だから、フリースクール流山は「寄り添う」というスタンスを大事にしています。例えば、警戒心からちょっと攻撃的な子がいたとします。無理に叱って、態度を改めさせるということはしません。周囲の子たちへの影響には目を配りながらも、その子の気持ちに寄り添います。すると、不思議なことに、攻撃的な態度も自然と落ち着いてくるんです。
今後の展望と目指すもの
ー今後、より強化していきたい点や取り組みについて教えてください。
原野さん:流山市は移住者が多くて子どもの数が増えているんですが、それに伴って不登校の子どもたちも増えているんですよね。でも、支援の場所や居場所がまだまだ足りていないのが現状です。
そこで、広報を頑張りたいと思っています。来年度は市の公民館を借りて講演会や研修会を連続で開催し、地域の方々にもっと私たちの活動を知ってもらうつもりです。親御さんたちが孤立しないようにすることも、私たちの大事な役割だと考えています。
最後に伝えたいメッセージ
ー最後に、入会を検討している方や保護者の皆さまへメッセージをお願いします。
原野さん:学校に行けなくなったり、学校で辛い思いをしたりすると、子どもたちはもちろん、親御さんもすごく追い詰められると思います。でも、そこで「自分たちはダメだ」と思い込まないでほしいんです。
子どもたちは必ず元気を取り戻します。そして、自分らしく生き生きと成長していくんです。支援の場や居場所は必ずありますから、一人で悩まずにぜひ相談してください。私たちも全力でサポートします。