「英語は勉強ではない」――。
新潟から始まった英語教育への挑戦が、今、新たな局面を迎えています。2015年の設立以来、独自の多読学習プログラムと子どもたちの「第三の居場所」づくりを追求してきたグローバルツリーインターナショナルスクール。2歳から高校生までを対象に、従来の英語教育の枠を超えた取り組みを続けてきました。
そして今、ゼロ初等部の開校という新たな挑戦を始めようとしています。地方における教育格差の解消を目指し、首都圏に負けない英語教育の実現に取り組んできた同スクール。その独自の教育理念と、子どもたちへの深い愛情が込められた取り組みについて、代表の岩崎ひとみ氏にお話を伺いました。
2歳から高校生まで ー 多彩なプログラムときめ細かな指導体制
ー まずは、グローバルツリーインターナショナルスクールの概要について教えてください。
岩崎ひとみ代表:当スクールは2歳から高校生までのお子様を対象としており、年齢に応じて様々なコースを展開しています。全日制の保育施設(3歳~年長)、園児向けアフタースクール、小学生向けアフタースクール、そして中高生向けの語学学校式プログラムを提供しています。
全てのコースに共通するのが、英語の多読学習を取り入れているという点です。本を読みながら母語を習得するのと同じような形式で英語を学んでいきます。日本語でも小学校から本を読んで漢字や言い回しを学ぶように、英語も「国語」として現地と同じような形式で学習していきます。
私たちが目指しているのは、英会話スクールではなく、きちんと母語を習得するような流れと同じように英語を身につけていくことです。4技能(読む・聞く・話す・書く)を総合的に育成していくことで、実践的な英語力を養っていきます。
「多読」で実現する自然な英語習得 ー アメリカ式カリキュラムの導入
ー 多読学習について、もう少し詳しく教えていただけますか?
岩崎:当スクールでは、アメリカ式の多読プログラムを採用しています。2歳から高校生まで、それぞれのレベルに合った本があり、講師が一人一人に合った本を選んで指導を行います。
例えば英会話スクールでは、いきなり会話から始めることが多いのですが、これは少し遠回りな方法だと考えています。中国語を学ぶ時も、いきなり会話から入るわけではありませんよね。単語を一つずつ覚え、文法を理解した上で、ようやく文章を構築できるようになります。
本を通じた学習では、単語をフラッシュカードで暗記するのではなく、文脈の中で自然に覚えていきます。本に出てくる単語がどういう時に使われるのか、どういう意味なのかを、実際の使用例を通じて学んでいくのです。
2歳児の場合は、まずページをめくる練習から始めます。そしてフォニックス(発音と文字の関係性を学ぶ音声学習法)を学び、段々と読めるようになっていきます。その過程で、発音と単語が結びつき、自然と読解力が身についていくのです。講師とのディスカッションを通じて文法の理解を深め、新しい表現に出会えば、どういう意味でどういう場面で使うのかを英語で説明していきます。
地方の教育格差解消への想い ー 新潟からスタートした理由
ー グローバルツリーインターナショナルスクール設立のきっかけを教えてください。
岩崎:2015年に新潟市で設立しました。当時、地方都市ではこういった形式のインターナショナルスクールや保育施設、アフタースクールがほとんどありませんでした。首都圏や3大都市圏には存在していましたが、地方では選択肢が限られていたのです。
私自身、新潟市で育ち、アメリカから戻ってきた時に、子どもたちの学びの場の少なさを実感しました。外国人の友人たちが英会話スクールやALTとして働いていましたが、皆口を揃えて「日本人の子どもたちが英語を上手くならない」「大人も習得が進まない」と言っていました。
しかし私は、それが信じられなかったんです。自分自身が英語を苦手な状態から学んで、留学を経て生活に困らないレベルまで話せるようになった経験があったからです。問題は、英語の授業数や触れる時間が短いこと、そして講師のモチベーション低下にあると考えました。
東京在住の友人の子どもたちは、インターナショナルスクールに通って英語を習得できていました。この教育格差を解消したい、地方にいても首都圏と変わらない英語教育を受けられる環境を作りたい。そんな思いで、スクールを立ち上げることを決意したのです。
「第三の居場所」を目指して ー 従来の塾・教室の枠を超えた存在に
ー 他の英語教育サービスとの違いについて教えてください。
岩崎:私たちが特に力を入れているのは、探究学習です。また、子どもたちの「第三の居場所」になることを目指しています。新しい発見ができる場所、将来の道を見つけられる場所、家庭や学校では相談しづらい悩みを打ち明けられる場所でありたいと考えています。
厳しいルールは設けず、子どもたちの自由を尊重しています。例えば、何時に来て何時に帰っても良い、やりたくないときはやらなくても良いといった具合です。先生と生徒という関係性ではなく、対等な立場で英語を教えているのが特徴です。
実際、中高生は私のことを「ひとみ先輩」や「ひとみパイセン」と呼んでくれていますし(笑)、新潟や秋田から東京に遊びに来て大学を見学したり、将来のことを一緒に考えたりすることもあります。塾に通うというより、本当に第三の居場所として楽しく通ってくれているんです。
言語はコミュニケーションのツール ー 子どもたちの自由な表現を育む
ー 指導する際に特に意識していることはありますか?
岩崎:私たちは、言語とはコミュニケーションのためのツールだと考えています。親御様は英語習得を目的に子どもを預けてくださいますが、その習得のために上から目線であったり高圧的であったり、子どもたちが楽しめないような方法は取りません。
何を発言しても受け入れられる、「こういう発言をするべきではない」「こういう行動を取るべきではない」といった制限のない場所。子どもたちが自分自身でいられる場所であることが大切だと考えています。
年齢に応じた充実のカリキュラム ー それぞれの発達段階に合わせた指導
ー 提供しているコースについて、それぞれ詳しく教えていただけますか?
岩崎:まず2~3歳児向けのプリスクールコースでは、多くのお子様が初めての母子分離を経験します。まだおむつをしているお子様も多く、日本語もそれほど話せない段階です。英語に初めて触れる子も多いので、歌やダンス、ゲームなどを通じて楽しく過ごすことを大切にしています。
次に全日制の保育施設(年少~年長)では、認可外ながら認定も受けており、バイリンガルの保育士とネイティブの先生が常駐しています。5時間の保育時間を通じて英語を習得していきます。当スクールならではの探究プログラムも取り入れており、実験や野外学習なども行っています。見学に来られた方からは、日本の一般的な保育園とは異なる特徴があると言っていただいています。
園児向けアフタースクールは2時間のコースで、多読学習に加えて、月ごとのテーマに沿ったアクティビティを実施。探究プログラムや歌、ゲームなど、様々な活動を通じて楽しく英語を学んでいきます。
小学生向けアフタースクールは午後1時から夜7時半まで利用可能で、週5回通う子どもたちは本当に「ただいま」という感じで帰ってきます。ここでも勉強一辺倒ではなく、家のようにリラックスした雰囲気の中で英語を習得していきます。英検対策コースも無料で提供しており、4年生くらいになると多くの子が準2級まで取得できています。また、探究学習や宿題のサポート、プレゼンテーションや発表の機会も多く設けています。
中高生向けの語学学校式コースは、まさに留学しているような環境で学べます。アフタースクールまでにすでに基本的な英語力を身につけているため、より実践的な内容を展開しています。地理や歴史、時事問題などを英語で学び、ディスカッションを行います。
生徒たちから「これについて学びたい」というトピックが自然と出てくるんです。例えば「今、選挙をやっているけど、これってどうなの?」といった具合に、時事的な話題について皆で調べ、議論を深めていきます。これは一般的な英会話スクールとは大きく異なる特徴です。
また、単発で親子レッスンなども実施していますが、基本的にはこれらのコースを軸に運営しています。
教師のモチベーションを重視した独自の指導体制
ー 講師の方々との関係づくりについても工夫されているのでしょうか?
岩崎:講師のモチベーションは非常に重要だと考えています。子どもたちの成長が目に見えて実感できないと、どんなに熱意のある講師でも次第にやる気を失ってしまいます。
当スクールでは、多読プログラムを通じて子どもたちの着実な成長を実感できます。「この学校に入っていれば英語が習得できる」という確信が持てれば、講師たちも「どうしたらもっと上手くなるか」「もっと子どもたちを伸ばすにはどうすればいいか」と、前向きに考えられるようになります。
さらなる挑戦 ー 小学校初等部の開校と探究学習の強化
ー 今後の展望について教えてください。
岩崎:最近発表させていただいたのですが、ゼロ初等部を開校することになりました。アフタースクールを通じて子どもたちの居場所づくりを行ってきましたが、それを午前中からも実現していこうという取り組みです。ゼロ初等部は、グローバルツリーインターナショナルスクールが運営する、未来志向の初等教育機関(オルタナティブスクール)です。実業家の堀江貴文氏のビジョンに基づき、従来の枠にとらわれない革新的な教育アプローチを採用し、子どもたちの無限の可能性を引き出します。
また、コロナ禍で制限されていた探究学習の実地活動も強化していきたいと考えています。コロナ前は、様々な場所に出向いて実践的な学習を行っていました。感染症対策に気を配りながら、こうした課外学習も徐々に再開していきたいと思います。
教室での学びだけでなく、実際に外に出て英語を使う体験を通じて、子どもたち自身が英語の必要性に気づき、主体的に学習に取り組んでもらいたい。「言いたかったけど言えなかった」「聞き取れなかった」という経験を通じて、自分から学ぶ意欲を育んでほしいと考えています。
「英語は勉強ではない」という理念のもとに
ー 最後に、入学を検討されている方へメッセージをお願いします!
岩崎:当スクールには、他校から転校してくる方も多いです。初めて英語を学ぶ方はもちろん、これまで英語に挫折してしまった方、英語が苦手になってしまった方にも、ぜひ一度体験していただきたいと思います。
英語は、理科や数学とは違い、「勉強」である必要はありません。中学校の科目の中で唯一、楽しみながら身につけられるものが英語なのです。当スクールを体験していただければ、きっとお子様も「楽しかった」と言ってくださると思います。特に英語が苦手だというお子様には、ぜひ一度お越しいただければと思います。