『これになりなさい』より『一緒に探そう』
「将来何をやりたいかわからない」。それは決して特別な悩みではありません。むしろ、中高生の多くが抱える共通の課題です。NPO法人Grow & Leapは、中高生一人ひとりに寄り添い、自己分析と対話を通じて、自分らしい未来を探していく手助けをしています。
代表理事の倉田氏に、独自のキャリア教育への想いと、その成果についてお話を伺いました。
事業概要
-まず、Grow & Leapの事業概要について教えていただけますでしょうか。
倉田氏:弊社は全国の中学1年生から高校3年生を対象に、週1回程度のペースで自己分析を行う対話プログラムを提供しています。1人に1人のメンターが付き、中高生が自分について詳しく知ることができるようなヒアリングやメンタリングを行うのが特徴でこれを「マイストーリープロジェクト」と呼んでいます。
またメンターとなる大学生向けの研修を実施し、ライセンスを取得した大学生が実際のメンタリングを担当します。さらに、中高生が社会を知る機会として、様々な業界の社会人と交流できるイベントも月1回程度開催しています。
設立の経緯
-設立のきっかけについて教えていただけますでしょうか。
倉田氏:私はかつて塾講師として勤務していました。当時、私は生徒の学習計画を立てて進捗管理をする業務に携わっていましたがそこで、実は多くの生徒が「大学に行きたいのかどうかもわからない」「将来やりたいことが見えない」という根本的な悩みを抱えていることに気づいたのです。
面白いことに、文化祭などの行事になると、同じ生徒たちが全く違う顔を見せます。仲間と一緒に素晴らしいステージを作り上げる姿を目にして、「この子たちには大きな可能性とエネルギーがあるのに、なぜ将来のことになると途端に意気消沈してしまうんだろう」と考えるようになりました。その答えは、中高生と社会との接点が極めて少ないことにあるんじゃないかと思ったのです。
定期テストに追われる毎日で、自分と向き合う時間も十分に取れない。この課題に対して何かできることがあるのではないかと考え、2014年に退社。その後NPO法人を立ち上げ、今日の活動につながっています。
プログラムの特徴と強み
-御社の強み、アピールポイントについてお聞かせください。
倉田氏:私たちの最大の特徴は、週1回90分という充実した対話の時間を設けていることです。1人の生徒に1人のメンターが専属でつくので、深い対話が可能です。
またそのメンターを務めるのが大学生というのも、私たちならではの特徴です。年齢が近い先輩だからこそ、中高生も気軽に悩みを打ち明けられる。そのうえで研修を受けてライセンスを取得しているので、対話の質は保証されています。
メンタリングにおける方針
-生徒さんと接する際に、会社として特に意識されていることはありますか。
倉田氏:私たちが重視しているのは、「指示するのではなく、同じ方向を見る」というスタンスです。中高生は思春期特有の価値観の揺らぎを経験する時期です。この時期は、今まで周囲から言われてきたことを絶対的なものとして受け入れてきた価値観が、生理的な変化とともに一度解体され、自分なりの価値観を再構築する時期となります。
そのため、「~しないといけない」といった押し付けがましい言い方は特に強い反発を招きやすくなります。かといって、完全な放任では行き場を失ってしまいます。そこで私たちは、「一緒に探していく」というアプローチを取っているのです。
今後のビジョン
-今後の展望についてお聞かせください。
倉田氏:プログラムを必要としている中高生は数多くいますが、まだまだ認知度は低いのが現状です。実際ご自身で調べて参加してくる生徒が8割以上を占めています。
そのため私たちは、2030年までに累計受講生500名の達成を目標に掲げています。組織体制の整備や資金調達、受け入れ可能な面談枠の拡大に、今まさに取り組んでいる最中です。
中高生へのメッセージ
-最後に、プログラムに興味を持っている方へメッセージをお願いします。
倉田氏:「将来何になりたいですか?」
中学生や高校生の皆さんは、この質問を投げかけられて戸惑った経験があるのではないでしょうか。あるいは、やりたいことは漠然とあるものの、具体的に何から始めればいいのか分からない。そんな悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
「自分のことを知りたい」「将来の可能性を探ってみたい」。そんな思いをお持ちの中高生の皆さん、あるいはお子様をお持ちの保護者の方々は、ぜひGrow & Leapの「マイストーリープロジェクト」にご参加下さい。