看護大学・専門学校の教員として第一線で活躍し、全国の看護協会や病院でも研修を担う講師が、看護学校受験指導のポイントを解説。看護師を目指す受験生の進学を30年以上支援し、累計50万人以上の指導実績を持つクロイワさんが、その豊富な経験と知見を基に、医療人材育成の要諦を語ります。
看護学校受験に特化した総合的な指導体制
ーまずは、看護コースの概要について教えていただけますか?
クロイワさん:看護師国家試験の受験資格が得られる学校は大きく分けると3種類あります。専門学校(3年制)、短期大学(3年制)、4年制大学の学部です。当ゼミでは、これらすべての学校種に対応し、総合型選抜・学校推薦型選抜を中心とした受験指導を行っています。
まず注目すべきは、医療系学校特有の入試制度です。一般選抜であっても志望理由書と面接が課されることが多く、さらに8割以上の学校の2次試験などで小論文が出題されます。そのため、英語や数学といった教科学習は扱いませんが、志望理由書、面接、小論文という3つの要素について、一般選抜の受験生に対しても万全のサポート体制を整えています。
市場ニーズの拡大と30年の実績から確立された専門性
市場ニーズと30年の実績から確立された専門性
ー看護コースを開設されたきっかけについて詳しく教えていただけますか?
クロイワさん:きっかけは約30年前から始めた予備校での小論文指導経験です。当時、受講者の中に看護系を目指す受験生が圧倒的に多く、市場調査をしたところ、看護系大学の約85%で小論文が出題されていることが判明しました。これは大きなマーケットになると確信し、出版社に看護系小論文の参考書の企画を持ち込みました。
出版社の市場調査でも大きな需要が確認され、『クロイワの楽勝!看護医療系小論文』(1998、KKロングセラーズ)を出版することになりました。通常、中小出版社の初版部数は3,000部程度ですが、この本は思い切って1万部を刷ったところ、1年もたたずに完売しました。この反響の大きさから、より多くの受験生のニーズに応えるため、通信教育での指導をスタートさせました。
現場の最前線に立つ講師だからこその指導力
ー他の予備校や塾との違いについて教えていただけますか!
クロイワさん:最大の強みは、私自身が看護大学・専門学校で教員として教壇に立ってきたことです。入試でも面接官を担当する臨地実習指導の看護教員との日常的な交流を通じて、各校が求める学生像や面接での評価ポイントなど、採用側の生の情報を直接知ることができます。
特に重視されているのが倫理観です。例えば、臨地実習に関して言えば、1年次から実習が始まる学校もあり、そこでの態度や振る舞いは非常に重要です。SNSでの不適切な投稿、例えば「今日、患者さんのおむつ交換を見学した」といった何気ない投稿でも、個人情報保護の観点から大きな問題となります。
そのため、入学試験の段階から、医療従事者としての適性、特に倫理観が厳しく問われます。『看護職の倫理要領』などを定める日本看護協会の指針なども踏まえ、医療者として相応しい人材かどうかが評価されるのです。
医療政策の最新動向を踏まえた実践的指導
ー指導内容の特徴について詳しく教えていただけますか?
クロイワさん:小論文対策では、当ゼミ独自の「ULTRA®メソッド」を看護分野に適用しています。特に、生命倫理や先端医学に関する専門用語の解説にも力を入れています。例えば、インフォームドコンセントやQOL(Quality of Life)といった概念について、高校生にも理解しやすいレベルまで噛み砕いて説明する動画教材を用意しています。
また、医療政策の最新動向にも注目しています。2024年4月から施行されている「医師の働き方改革法」は、医療現場に大きな変革をもたらしています。医師の残業時間が制限される中、特定行為研修を受けた看護師の役割が重要視されています。私自身、東京医科歯科大学大学院でこのテーマを1年間研究し学位(医療管理学修士)を取得しており、その知見を指導に活かしています。
充実のオンライン指導体制
ー具体的な指導方法について教えていただけますか?
クロイワさん:コロナ禍を機に、完全オンライン形式に移行しました。面接指導はオンラインで実施し、セッションを録画して後から振り返り学習ができるようにしています。小論文の添削は、メールやLINEでWordファイルをやり取りする形で行っています。
以前は新宿の事務所に直接来校される方が多かったのですが、オンライン化により、全国どこからでも質の高い指導を受けられるようになりました。コースは1回からのオンライン指導に対応しており、追加の指導が必要な場合は回数に応じて割引を適用しています。実際、多くの方が1回の体験指導後、「もっと学びたい」と3回、5回とリピートされています。
次世代の医療人材育成に向けて
ー今後の展望についてお聞かせください!
クロイワさん:より早い段階から看護師という職業に興味を持ってもらえるよう、情報発信を強化していきたいと考えています。日本看護協会が運営する「キラリ!看護のシゴト」という素晴らしい動画サイトがありますが、残念ながら認知度が低いのが現状です。
また、できるだけ早い段階、遅くとも高校3年生の夏までには準備を始めることをお勧めしています。看護の基本的な知識や倫理観を身につけるには、ある程度の時間が必要だからです。今後は、低学年向けのガイダンスや、看護の基礎知識を学ぶための教材開発にも力を入れていく予定です。
志望者・保護者の方へのメッセージ
ー最後に、看護学校受験をお考えの方へメッセージをお願いします!
クロイワさん:私は日本全国の看護協会で看護師さんたちの研修に携わる中で、看護という仕事の尊さとやりがいを実感してきました。医療現場で働く看護師さんたちに接するたびに、この職業の素晴らしさを再確認しています。
単なる受験対策に留まらず、将来、医療現場で活躍できる人材の育成を目指し、きめ細かな指導を心がけています。看護の世界を目指したいとお考えの方、またはお子様の進路として看護師を検討されている保護者の方は、ぜひヘルメスゼミ®にご相談ください。
これまでの経験と知識を活かし、次世代の医療を担う人材の育成に貢献できれば幸いです。看護師になることを志す方々の第一歩を、私たちがしっかりとサポートさせていただきます。