三重県南部に拠点を置く「ほっぷダブルダッチスクール」は、単なる縄跳び教室ではありません。元USJのエンターテイナーでもある代表の前川さんが立ち上げたこのスクールでは、ダブルダッチを通じて“挑戦する楽しさ”を伝え、子どもたちの心と体の成長をサポートしています。指導の中心にあるのは、「楽しさ」と「自分で考える力」。ジャンパーとターナーの呼吸を合わせ、技を成功させる過程では、自然と思考力やコミュニケーション力が育まれます。
クラスは年長から高校生までを対象に、キッズ・ビギナー・パフォーマンス・アクロバットと段階的に用意されており、誰でも無理なくスキルアップが可能。田舎にいても本気で挑戦できる場所をつくりたい──そんな想いで運営されるこのスクールの魅力と、子どもたちに宿る「できた!」の感動に迫ります。
スクールの概要

ー教室の概要について教えていただいてもよろしいでしょうか?
ほっぷダブルダッチスクール代表&講師 前川さん(以下敬称略):「ほっぷダブルダッチスクール」三重県の伊勢市と明和町で、ダブルダッチの教室をやっています。
ー対象年齢はどのくらいですか?
前川さん:年長さんから高校生まで、幅広く受け入れています。
ークラス編成についても詳しく教えてもらえますか?
前川さん:クラスは3つに分かれていて、まず「キッズクラス」では、まだ社会経験の浅い年長さんや低学年の子たちが、まずは“みんなと一緒に動く”っていうところからスタートします。チームワークを大事にして、とにかくダブルダッチの楽しさを知ってもらうことが目的ですね。
次に「ビギナークラス」では、基本的な回し方や飛び方を教えていきます。ここでしっかり基礎を身につけていってもらいます。
それから、ホームページには載せていないんですが、「パフォーマンスクラス」もあります。音楽に合わせて、どうやってパフォーマンスを魅せていくか、自分たちで構成を考えたり、僕らがサポートしたりしながら、表現力も磨いていくクラスですね。
それとは別に、「バク転&3Dアクロクラス」っていうアクロバット専用のクラスも用意してて。ダブルダッチのレッスンだけだとアクロバットまではなかなか時間が足りないので、専用の時間を設けて、バック転やスリーディー(3D)技なんかを練習できるようにしています。
伊勢ってパルクールとかアクロバットを習える場が本当に少なくて。だから、ダンスやチアリーディングやってる子たちの“技を見せたい”っていう想いにも応えられるように、誰でも通えるようにしています。3つとも掛け持ちしてる子も多いですよ。
教室を始めたきっかけ

ーどうしてこの教室を立ち上げようと思われたんですか?
前川さん:もともと僕、京都とか大阪でダブルダッチをやってたんですよ。でも仕事の関係で伊勢に来ることになって。その頃はこっちでダブルダッチやってる人なんて誰もいなかったんです。
最初は忍者キングダムっていうテーマパークで、忍者として働いてたんですけど、やっぱりダブルダッチから離れると寂しくて。京都・大阪だったらすぐ仲間が見つかるんですけど、伊勢には全然いなくて、ほんまにゼロやったんですよね。
でも、ちょうど結婚して、妻が子どものスポーツ教室を長くやってたんで、「子どもたち巻き込んで一緒にやろうや」って。最初は体験会をたくさん開いて、アクロバット見せたりして、少しずつ興味を持ってもらって。そんな感じで仲間を増やしていったのがきっかけですね。
教室として大切にしているビジョン
ーどんな想いで教室を運営されていますか?
前川さん:ほっぷダブルダッチスクールのビジョンは、“場所に縛られず、誰もが挑戦できるダブルダッチの世界をつくる”っていうことなんですよね。ダブルダッチって挑戦する気持ちがすごく大事で、その楽しさを全ての子どもたちに伝えたいって思ってます。
田舎にいても、都会と同じようにダブルダッチができる環境をつくりたい。運動能力だけじゃなくて、考える力やチームワーク、コミュニケーション力も育てられる。だから、自分を信じて、他者を尊重する。そんな子を育てたいなって思ってます。
ダブルダッチと他のスポーツとの違い
ー他の体を動かす習い事と比べて、どんな違いがありますか?
前川さん:やっぱり、ダブルダッチってただの運動じゃないんですよね。技を成功させるためには、ちゃんと考えないといけないし、全体を見て行動しないといけないんです。
例えば、ジャンパー(飛ぶ人)とターナー(回す人)が息を合わせて技を決める時、縄が乱れたら終わりなんですよ。誰かがミスしても、何が原因だったのかを全員で考えて、「あ、ここが原因ちゃうか?」って話し合って修正していく。
その時に、ただ「お前が悪い」じゃなくて、「ここがこうやったからズレたんかも?」って冷静に伝え合うんですよね。これって大人でも難しいことやけど、子どもたちが自然とできるようになっていくんです。だから、思考力もコミュニケーション力も一緒に育つっていうのがダブルダッチの魅力やと思ってます。
指導の中で一番大切にしていること

ー普段の指導で意識していることを教えてください!
前川さん:やっぱり「楽しむこと」ですね。僕自身、ダブルダッチを楽しんできたからこそ、今も続けられてるっていうのがあるんで。
最初は本当に大変なんですよ。縄が全然回らなかったり、子どもたちだけでやると時間もかかるし、うまくいかないことも多い。でも、そこで嫌にならないように、まずは楽しんでもらう。
それでいて、ちゃんと上達できるようにクラスを分けて、段階的にスキルを伸ばしていくようにしています。最初は僕たち大人と一緒にパフォーマンスして、徐々に子どもたち同士でできるように。難しいけど、楽しいって思えるように心がけてます。
今後、力を入れていきたいこと

ー今後、もっと力を入れていきたいことがあれば教えてください!
前川さん:最近、パフォーマンスの中でダンスの比重が増えてきたので、僕自身もダンスの指導をもっと頑張っていこうと思ってます。元々はアクロバット担当って感じだったんで、ダンスもちゃんと教えられるようにしたいなと。
あと、今年から、子どもたちだけで構成されたパフォーマンスチームが立ち上がったんですよ。今までは僕ら大人が混ざってやってたんですけど、子どもたちだけで大会に出るっていうのが初めてで。
この前も大会に連れて行ったんですけど、都会のチームと比べたら、レベルの違いに子どもたちも驚いてました。でもそれがすごく良い刺激になったみたいで、「あ、もっと頑張らなあかん」っていう気持ちが芽生えて。
その子たちが、今後新しく入ってくる子たちを引っ張っていけるような、そんな循環を作っていきたいなって思ってます。
最後に、保護者の方・生徒さんへのメッセージ
ーこのスクールに興味がある方へ、ぜひメッセージをお願いします!
前川さん:ダブルダッチって、一見すごく難しそうに見えるかもしれないですけど、やってみたら案外できるんですよ。もちろん練習は必要ですけど、繰り返せば誰でも絶対にできるようになります。
特にほっぷダブルダッチスクールには、他の習い事が合わなかった子とか、自分に自信が持てなかった子も多くて。でも、ダブルダッチをやっていく中で、何度も挑戦して、少しずつ成功していく。その過程で、「あ、自分でもできるんや」って思えるようになって、自信をつけていく子が本当に多いです。
なので、「何かに挑戦させたい」と思っている保護者の方や、今ちょっと自信が持てないなって感じてる子がいたら、ぜひ一度体験に来てみてください。きっと、新しい自分を見つけられると思いますよ。