“伝統と現代が出会う水墨画の世界” – ふよう水墨画教室が描く新しい可能性

「水墨画は難しそう」「敷居が高そう」そんなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。西日暮里のふよう水墨画教室は、そんな固定観念を打ち破り、誰もが気軽に楽しめる水墨画の新しい形を提案しています。20代から70代まで幅広い世代が集まる、新しい形の水墨画教室について代表の長嶋さんにインタビューしました!

幅広い世代が集う、現代的な水墨画教室

ーどんな方を対象にどんな指導を行っていますか?

長嶋さん:当教室は水墨画に興味のある方はもちろん、新しいことに挑戦してみたい方、お習字が苦手だった方、日本の伝統文化に触れたい方など、様々な方を対象とした水墨画教室です。現在の生徒さんの年齢層は20代から70代まで実に幅広く、水墨画を通して世代を超えた豊かなコミュニケーションが生まれています。

基本的な指導としては、中国画の基本となる四君子(竹、蘭、菊、梅)の練習からスタートします。毎月、その時期に合わせたお手本を提供し、まずはそれを練習していただきます。複数回通われる方には、2回目のレッスン以降、自分の好きなモチーフを描いていただくことも可能です。また、私から新しいモチーフを提案させていただくこともあり、生徒さん一人ひとりに合わせた柔軟な指導を心がけています。

水墨画作家から教室運営へ

ーサービス提供の経緯について教えてください。

長嶋さん:私は元々、アクリル画を教えるスタジオでインストラクターをしながら、水墨画作家として活動していました。自分の教室を持ちたいという思いは常にありましたが、その矢先にコロナ禍となり、すぐには実現できない状況となりました。

そこでまず、できることから始めようと考え、オンラインでの単発水墨画講座をスタート。すると予想以上に多くの方に興味を持っていただき幅広い世代の方々から反響をいただきました。その後コロナが落ち着いてきた頃、西日暮里に理想的な物件が見つかったことがきっかけで、2023年4月に念願の教室をオープンすることに決めました。

伝統と革新が融合する独自のアプローチ

ー教室としての特徴を教えてください。

長嶋さん:当教室の最大の特徴は、クラシックな水墨画のイメージを大きく覆す、現代的なアプローチです。一般的な水墨画教室では山水画や龍といった伝統的なモチーフが中心ですが、私たちは伝統的な技法を大切にしながらも、より現代的なモチーフを描いています。

また、作品の形式も現代の生活様式に合わせて工夫しています。かつては床の間に飾る掛け軸が主流でしたが、現代の住宅にはそういったスペースが少なくなっています。そこで、現代の住空間に合わせたサイズや形式で作品を制作できるよう、パネル仕立ての作品なども提案しています。

さらに、当教室では実物を見て描く写生も大切にしています。これは一般的な水墨画教室ではあまり行われない特徴的な取り組みです。教室の敷居を低くし、誰でも気軽に水墨画を楽しめる環境づくりを心がけています。

個性を活かす指導方針

ー生徒に指導する際に意識しているポイントを教えてください。

長嶋さん:最も大切にしているのは、生徒さん一人ひとりの表現を尊重することです。私は美術に「良い悪い」は無いと考えています。例えば、手を描いた作品に6本の指が描かれていたとしても、まずはその意図を聞かせていただきます。その表現に込められた思いや意味があれば、それは十分に価値のある表現だと考えています。

アートは写真と違って加工することができません。描いた作品にはその人の感性や個性が如実に表れます。だからこそ、それを否定せず、むしろその人らしい表現として育んでいきたいと考えています。

気軽に始められる料金設定

ー料金体系について教えてください。

長嶋さん:初めての方向けに4,000円で体験レッスンを提供しています。道具は全てこちらで用意しますので、手ぶらでお越しいただけます。継続的に通っていただく場合は、月1回コースが4,000円、月2回コースが7,000円となっています。

レッスンは毎月第1・2・3土曜日の午前と夕方に開講しています(第2土曜日は夕方の部はありません)。生徒さんは好きな時間枠を選んで通っていただけます。また、教室のスペースを考慮し、充実した指導を行うため、1回あたりの受け入れ人数は最大でも9名程度に抑えています。

さらなる可能性を探る

ー今後の展望をお聞かせください。

長嶋さん:まず第一に、水墨画という芸術をより多くの方に知っていただきたいと考えています。特に書道が苦手だった方にこそ、水墨画を体験していただきたいですね。道具は同じでも、表現方法は全く異なります。

また、地域の方々との交流をより深めていきたいと考えています。現在、日暮里エリアの方々へのアプローチがまだ十分とは言えないのですが、夏休みには小学生の体験者も増えることから、子供向けの専用クラスの開設も検討しています。

将来的には平日の枠も増やし、より多くの方に水墨画を楽しんでいただける機会を作りたいと考えています。大人も子供も含めて、地域の皆さんで楽しめる場所、芸術を通じたコミュニティの場として発展させていきたいと思っています。

新しい自分との出会いを求めて

ー記事を読んでいる方に向けたメッセージをお願いします。

長嶋さん:便利な世の中だからこそ、自分と向き合う時間を持っていただきたいと思います。何かしたいけれど何をしたらいいか分からない、自分の殻を破りたい、新しい自分に出会いたいと思っている方は、ぜひ一度体験にいらしてください。

皆さんが思い描いている水墨画と、私たちが提案する水墨画は、きっと異なるものだと思います。当教室ではただ上手に描くことを目指すのではなく、まずは楽しむこと、自分らしい表現を見つけることを大切にしています。

特に大切にしているのは、自分の目で見たものを描くということです。例えばリンゴを描いていてシイタケのような形になってしまっても、それは決して間違いではありません。その人が見て、感じたものをそのまま表現することこそが大切なのです。技術は後からついてくるもの。それよりももっと大切なことが、水墨画にはたくさんあります。

ぜひ気軽に教室に足を運んでいただき、新しい自分との出会いのきっかけにしていただければと思います。