「認定NPO法人あっちこっち」は、プロのアーティストと地域社会をつなぎ、芸術を通じた社会貢献活動を展開する団体です。子ども食堂でのアート体験や、子どもホスピスでの芸術活動など、独自の視点で社会課題の解決に取り組んでいます。今回は代表の厚地美香子氏に、設立の経緯や活動内容についてお話を伺いました。
70名以上のアーティストと共に、7つの事業を展開
厚地:私たちは芸術を通して社会貢献活動を行う団体として、2011年の被災地支援活動からスタートしました。プロまたはプロを目指すクラシック音楽家、美術家、ダンサーなど、現在70名以上の才能ある芸術家が登録しています。子どもたちが優秀な若手アーティストと直接触れ合うことで、芸術文化をより身近に体験できる機会を提供しており、2012年から2021年までに各地の学校機関や文化公共施設で300回以上のイベントを開催してきました。
ー7つの事業について具体的に教えていただけますか?
厚地:1つ目は「親子で楽しむ子ども食堂とアート体験」です。横浜市中区寿町で、地域の保育園や教育機関と連携し、アート体験と食事を組み合わせた活動を行っています。2つ目は「子どもホスピス芸術学校」で、2021年に横浜金沢区に開設された日本で2番目の子どもホスピスと連携し、命の限りがある子どもたちに学びと体験の機会を提供しています。
3つ目は「子どものためのわくわくワークショップ」で、親子で楽しめる総合芸術体験を提供しています。4つ目は横浜市教育委員会から委託を受けた「芸術文化教育プラットフォーム」での学校訪問です。5つ目は国際交流事業として、オーストラリアやイギリスの芸術団体との連携プロジェクトを実施しています。
6つ目は「若手アーティストの人材育成コミュニティ事業」で、アーティストと地域コミュニティの橋渡しを行っています。7つ目は被災地支援事業で、東日本大震災の被災地での継続的な支援活動を行っています。
東日本大震災がきっかけとなった設立経緯
ー設立のきっかけについて教えていただけますか?
厚地:2011年の東日本大震災が大きなきっかけでした。当時、20年間勤めていた会社を退職し、アーティスト支援の会社設立を考えていた時期でした。被災地では物資や労働力による支援も重要でしたが、精神的なケアも必要だと友人から指摘され、それまでのイベント企画の経験を活かして活動を始めました。当初は1年限定の予定でしたが、多くの方々の支援を得て現在まで継続しています。
アーティストと社会をつなぐユニークな視点
ー御社の強みについて教えてください!
厚地:最大の強みは、様々な分野の優秀なアーティストが70名以上登録していることです。特筆すべきは、単に技術が優れているだけでなく、誰かのために何かをするという意識を持ったアーティストが集まっていることです。一般的にアーティストは自己表現が中心ですが、私たちの活動では相手のことを考えてパフォーマンスを組み立てる必要があります。そのような対応ができるアーティストは珍しく、それが私たちの特徴となっています。
継続的な改善を通じた未来への展望
ー今後の展望について教えてください!
厚地:最も重要なのは活動の継続です。特に「子ども食堂とアート体験」と「子どもホスピス芸術学校」は私たちの完全な自主事業であり、持続可能な運営方法を確立していきたいと考えています。そのために、各事業担当者が参加アーティストの振り返りや参加者からのアンケートを基に、常に改善を重ねています。
ー最後に、御社をご利用検討されている方へメッセージをお願いします!
厚地:芸術は時として難しく感じられがちですが、実は決まりごとや絶対的な評価基準が少なく、むしろ緩やかなつながりを作りやすい特徴があります。病気や様々な理由で新しいことを諦めている方も、ぜひ私たちの活動に参加していただきたいです。小さな頃から大人まで、良い芸術体験をすることは人生を豊かにすると信じています。気軽に参加していただければ幸いです。