探究の翼を広げよう! — 教育革新への挑戦と展望

「一般社団法人Fora」の代表・藤村様へインタビュー致しました。高校生の探究学習支援を通じて、自律的な学びの姿勢を育む取り組みや、教育現場が抱える課題への挑戦についてお話頂きました。また、教材開発から学校の先生方と伴走しながらカリキュラムを作成する支援など、多角的なアプローチで次世代の教育を支える同団体のビジョンと今後の展望についてもお伺いすることが出来ました。

社会の変化に応じた新しい教育への挑戦

ー貴団体の主な活動内容や、活動の対象について教えてください。

藤村様:私たちは一般社団法人Foraという団体で、主に高校に通っている生徒を対象に活動しています。偏差値帯は進学校から就職を目指す生徒まで幅広く、公立・私立問わず様々な学校の生徒たちを支援しています。

具体的には、2022年度からスタートした「総合的な探究の時間」を中心に支援を行っています。この時間は、高校生が自分なりに課題を立て、それに対して解決策を考えていくことを通して、自分の生き方や在り方を深めていくということを目指しています。私たちは、この授業におけるカリキュラムの作成と学校への提供、授業の実行支援等を通じて、生徒たちが高校時代に自分の興味関心や問題意識と出会い、それを深めることで人生を豊かにしていくことをサポートしています。

教育の本質的な価値を追求する原点

ー団体を立ち上げたきっかけについて教えてください。

藤村様:きっかけは大きく2つあります。1つ目は私自身の高校時代の進路選択の経験です。学びたいことがあったものの、漠然とした印象で大学を選んでしまった経験があります。この経験から、高校生にとって将来を決める進路選択の機会をより大切にしてほしいという思いがずっとありました。

2つ目は、高校時代の恩師との出会いです。その先生は、単に知識を教えるだけでなく、学ぶことを通して人生に必要なことに向き合うことの大切さを教えてくれました。この2つの経験から、高校生の進路選択や学びの本質的な価値を追求したいと思い、この活動を始めました。

自律的な学びの姿勢を育む

ー活動を通して解決したい社会的課題について教えてください。

藤村様:大きく2つあります。1つ目は、これからの時代を生きていく生徒たちが、卒業時に自分が学びたいと思えるものを見つけ、自分自身の力で学んでいける能力を持つことです。答えややり方を先生から教わるだけでなく、自律的に学ぶ姿勢を身につけてほしいと考えています。

2つ目は、教育現場の課題です。先生方は非常に忙しく、探究学習のような「重要だが緊急度の低い仕事」に十分な時間を割くことが難しい状況にあります。私たちのような外部団体が、重要な教育活動を推進することで、学校教育の可能性を高め、先生方がより生徒と関わる時間を確保できるようにしたいと考えています。

多様な生徒に対応する教育アプローチ

ーひと口に「高校生」といっても、学力水準の差異をはじめとして、様々な生徒様がいらっしゃると思います。教材開発や授業の実行支援において、どのような工夫をされていますか?

藤村様:教材は偏差値帯によって効果が異なるため、先生の役割が非常に重要です。私たちは教材を提供するだけでなく、先生方が自校の生徒に合わせて教材を理解し、適切に活用できるよう支援しています。

また、生徒の興味関心や問題意識の違いに対応するため、「わくわく型」と「もやもや型」という2つのアプローチを用意しています「わくわく型」は興味関心から始め、「もやもや型」は問題意識から始めます。これにより、生徒それぞれが考えやすい方法で探究学習に取り組めるようにしています。

興味深いことに、テーマ設定の段階では偏差値による大きな違いは見られません。むしろ中堅校や進学校以外の生徒の方が、斬新なテーマを挙げることもあります。

教育支援の未来像

ー今後、貴団体で想定されている活動の展開イメージについて教えてください。

藤村様:2つの方向性を考えています。1つは、私たちの教材をより多くの学校の先生方や生徒に使ってもらうことです。企業のCSR活動と連携し、無償で提供することも検討しています。

もう1つは、各学校独自のカリキュラム作りを支援することです。理想的には、各学校が自校の生徒や環境に合わせた教材を作ることが望ましいと考えています。そのため、「学校の先生方と伴走する」という形で、学校と深く関わりながら、その学校オリジナルのカリキュラムを一緒に作り上げていく取り組みも行っています。

将来的には、小中学校への展開も視野に入れています。特に、学校の統廃合が進む中で、小中一貫校や中高一貫校など、新しい学校の形に対応したカリキュラム作りにも挑戦していきたいと考えています。

教育は”皆で作り上げるもの”

ー最後に、この記事をご覧になる方々や、Fora様の活動へ興味を持たれた皆様へメッセージをお願いします。

藤村様:私たちが最も大切にしているのは、「人生の土台になる教育を実現する」という考え方です。そのために、先生方と一緒に、生徒にとって、より良い教育を作り上げていくことが重要だと考えています。

また、保護者の方々も含めて、教育について話し合う機会を大切にしたいと思います。私たちの団体名「Fora」はラテン語で「場」という意味があります。教育は先生任せにするのではなく、先生、保護者、地域の方々、そして私たちのような支援団体が一緒になって作り上げていくものだと考えています。

これからの時代、教育はますます重要になります。皆で力を合わせて、より良い教育を作っていけたらと思います。