沖縄から始まる新しい英語教育の形 – 英語で過ごす学童保育「JIMBUNAS(ジンブナーズ)」

インターナショナルスクールや英会話教室に続く、「英語教育の新しい選択肢」として沖縄県で注目を集めるスクールがあります。沖縄県那覇市に拠点を置く「JIMBUNAS(ジンブナーズ)」は、放課後の時間を活用し、英語環境での学びを提供している学童保育施設、英語スクールです。日本人の子どもたちが実践的な英語力と異文化理解力を身につける場として、英語教育の新しい可能性を提示しているJIMBUNAS代表の佐久川様にお話を伺いました。

英語で過ごす放課後で、実践的な語学力を育む

ー貴スクールのサービス内容と、指導方針の特徴について教えてください。

佐久川様:当スクールでは、インターナショナルスクールでも英会話教室でもない新しい英語の学びの場として、学童保育を活用した実践的な英語環境を提供しています。単純に英語を「勉強する場」としてではなく、学童で過ごす3-4時間の中で「英語を使う環境・英語にひたれる環境」をたっぷり作ることで、実際に使える英語力を育てていることが特徴です。

一般的に英語の習得には2,000-3,000時間が必要と言われていますが、仮に週1回の頻度で1時間ほど英会話のレッスンを受けていても、この目標時間数の達成までに50-60年かかる計算になります。その課題を解決するため、私たちは放課後の時間を活用し、年間800時間、小学校6年間で4,800時間の英語環境を提供できる仕組みを作りました。これはインターナショナルスクールに次ぐ英語接触時間であり、費用対効果の面でも効率的なプログラムとなっています。

現在、当スクールの学童保育(アフタースクールプログラム)には数十名の児童が登録しております。週2回から5回までの利用プランがあり、夏休み期間は午前8時30分からのオプションプログラムも提供しています。特に沖縄という地域性を活かし、インターナショナルな環境での学びを実現しています。

異文化コミュニケーション能力の育成を重視

ー他の英語教室にはない、JIMBUNASならではの特徴を教えてください。

佐久川様:まず、英語コミュニケーションスキルと異文化コミュニケーションスキルは別物だと考えています。英語が話せても、異文化を理解する力がないと海外でのコミュニケーションで躓くケースは多いのです。英語を真に生きたスキルとするためには、この異文化理解という力をどう適切に育成していくかという観点が重要となります。そのため当スクールでは、地域の日本語学校に通うネパールやフィリピン、インドネシアの生徒たちと一緒に料理をしたり、文化交流活動を行ったりしています。

また、週に1-2回のワークショップでは、サイエンス、アート、クッキング、文化学習など、様々な活動を英語で行っています。これらの活動を通じて、子どもたちは自然な形で英語を使いながら、異文化への理解も深めていくことができます。特に沖縄には多くの国際協会があるため、その特性を活かして様々な文化交流の機会を設けています。

子どもたちに英語を「自然と使ってもらう」ための独自のメソッド

ー実際の指導において、どのような工夫をされていますか?

佐久川様:バイリンガルスタッフには必要に応じて「日本語が分からないフリ」をしてもらっています。これは、子どもたちに適度な言語の壁を感じてもらい、英語を使わざるを得ない環境を作るためです。間違った文法でも良いので、まずは話してもらい、その上で適切な表現を教えていくというアプローチを取っています。

特に新入生や引っ込み思案な子どもたちに対しては、保護者の方と連携して支援する体制を整えています。入会時の面談で、「最初は誰でも分からなくて当たり前。必ず聞き取れるようになっていく」という安心感を持ってもらえるよう、保護者からも声がけをお願いしています。

また、ネイティブスピーカーやバイリンガルの講師陣が、子どもたちに「マイルドなカルチャーショック」を提供することで、自然な形で英語でのコミュニケーション能力を伸ばしていけるよう工夫しています。

多彩なプログラム展開

ーアフタースクール以外のプログラムについても教えてください。

佐久川様:一般向けのスペシャルクラブでは、英語のサイエンスクラブ、フットボールクラブ、アートクラブなどを展開しています。これらは単なる英会話ではなく、英語で何かを学び、実践する「英語の部活動」という位置づけです。3-4歳から参加できるプログラムもあり、アフタースクール会員以外の子どもたちにも門戸を開いています。年齢や目的に応じた柔軟なプログラム展開を行っていますが、いずれも英語をツールとして、子どもたちの興味関心に合わせた学びの機会を創出しています。

教育格差の解消を目指して

ー今後の事業展開についてのビジョンをお聞かせください。

佐久川様:小学校で終わらない英語教育を目指し、中学・高校向けプログラムの開発を進めています。最終的には、インターナショナルスクールに通わなくても、放課後の時間を活用して同じスタートラインに立てる環境を作りたい。教育格差を生まない社会、英語教育の格差をなくす社会を作ることが私たちのビジョンです。

私自身、フィリピンでの日本語教育の経験から、次世代を担う子どもたちが直面する課題を実感しています。少子高齢化が進む日本では、外国人との共生が当たり前となる時代が確実に訪れます。その時代に向けた準備として、英語力と異文化理解力の両方を育成することが重要だと考えています。

実は、この事業を始めたきっかけの一つは、私自身の子育ての経験からです。インターナショナルスクールと英会話教室の間にある大きな隔たりを埋めるような教育環境の必要性を強く感じ、この事業を立ち上げました。同じような思いを持つ保護者の方が多くいらっしゃることも、私たちの原動力となっています。

これからの時代を生きる子どもたちへ

ー最後に、保護者の方々へメッセージをお願いします。

佐久川様:これからの時代は単なる学歴や成績だけでなく、実践的なスキルが問われます。大学卒業時には、「この会社で何ができるのか」を問われる時代です。英語が当たり前となる時代を生きる子どもたちには、小学生のうちから英検などの資格に囚われすぎず、実際に使える英語の基盤を身につけてほしいと考えています。

週1時間ほどの英会話では身につかない英語力、かといってインターナショナルスクールは費用や時間の面で課題が大きい。その間を埋める選択肢として、放課後の時間を活用した英語環境の提供を続けていきたいと思います。共感していただける保護者の方々と一緒に、子どもたちの未来を築いていければと願っています。

私たちは、英語教育を通じて、子どもたちが世界とつながるきっかけを作り、その可能性を広げていくお手伝いをしていきたいと考えています。これからも「英語を使う」という実践的な環境づくりに励んでまいります。