手先を使う機会が減少している現代の子どもたち。しかし、指を動かすことは脳の発達に重要な役割を果たします。カラバコスタジオでは、レゴブロックを教材に、考える力とコミュニケーション能力を育てる独自の教育プログラムを展開。マンツーマン指導にこだわり、一人ひとりの個性に合わせた丁寧な指導を行っています。今回は代表の久保木氏に、設立からの歩みと教育に対する想いを語っていただきました。
サービス概要と特徴
ーカラバコスタジオのサービス概要と特徴について教えてください。
久保木氏:当スタジオの特徴は、年齢制限を設けない柔軟な指導体制です。ブロック活動が可能であれば何歳でも幅広く受け入れており、指先の機能改善を目的とした成人の方も在籍されています。
主にレゴブロックを使用した指導を行っていますが、私自身が美術大学出身のイラストレーターであることから、デジタルイラストや絵画指導のクラスも提供しています。アートクラスは現在、妻が担当しています。
サービスの歴史と設立経緯
ーカラバコスタジオの歴史について教えてください。
久保木氏:2004年に「スティア町田教室」として設立され、2017年に私が前代表から引き継ぎ、「カラバコスタジオ」として新たにスタートしました。基本的な指導方針は継承しながらも、使用するブロックの種類や教材のレベルは時代とともに進化させています。
1980年から “遊びながら学ぶ” ことをコンセプトにした幼児教室の運営事業部、レゴ・エデュケーショナル・ディビジョン(LED)を発足し、MIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボと共同で「コンストラクショニズム」という理論に基づいた教育メソッドを開発しました。(当教室HPより抜粋)理科的・数学的な教育方法を追求したこの取り組みは、現在のSTEM教育の先駆けとなりました。
レゴブロックを活用した教育効果
ー手を使ってレゴで作成することで、どのような教育効果が期待できるのでしょうか?
久保木氏:指の神経は脳とより太く、より強くつながっているため、指を動かすことは脳の発達に重要ですが、現代の子どもたちは、手先を使う機会が減少しています。ゲームやスマートフォンでも指は使いますが、その動きは単調で、複雑な動作が少ないのが現状です。
レゴブロックの特徴は何度でもやり直しができ、論理的な思考が必要とされる点です。ブロックを組み立てる際には、部品の向きや強度、高さなどを考慮する必要があり、複雑な思考プロセスが求められます。
また、空間認識能力や立体をイメージする力も自然と養われ、これらのスキルは将来、CADなどを使用する際にも活きてきます。
指導方針と教室運営
ーどのような指導方針で教室を運営されていますか?
久保木氏:現在はほぼ全てのクラスでマンツーマン指導を行っています。生徒一人一人の能力や目的が異なるため、画一的なレッスンプランは設けず、個々に合わせた柔軟な指導を心がけています。
授業では、生徒が自ら考え、作りたいものを決めているのが特徴です。また作品が完成したら必ずプレゼンテーションの時間を設け、目的や工夫した点、次回の課題などを発表させています。
この経験が、将来的なコミュニケーション能力の向上にもつながると考えています。
イラストレーターユニットの活動
ーイラストレーターとしての活動についても教えてください。
久保木氏:私と妻の2人でイラストレーターユニットとしても活動しており、主に企業ロゴの制作や、ゲームキャラクターのデザインなど、様々なクリエイティブワークを手がけています。
例えば、鹿児島大学防災センターのプロジェクトでは、避難所運営をシミュレーションするゲーム教材のキャラクターデザインを担当し、約90人分のキャラクターを制作しました。このような防災教育用ツールの開発にも携わっています。
今後の展望
ー今後の展望についてお聞かせください。
久保木氏:現在の最大の課題は、マンツーマン指導の継続性です。現状のままでは継続が難しい状況にあり、今後はどのようにしてサービスを持続可能な形に変えていくかを検討しています。具体的には、レッスン単価の見直しや、複数人数での指導プログラムの開発を考えています。
実際に、サマーヒルさんとの取り組みでは、5人から10人規模でのグループ指導を実験的に行っています。これは教育目的を損なわずに、より多くの子どもたちに学びの機会を提供できるかを検証する重要な試みとなっています。2025年4月以降は、より多くの子どもたちがレッスンを受けられるよう、新たな工夫を重ねていく予定です。
読者へのメッセージ
ー最後に、記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
久保木氏:デジタル化が進む現代だからこそ、手を使って物を作り上げる体験の重要性は増しています。考える力や自分で答えを見つける能力を育むには、誰かに教えてもらうだけでなく、そこから自分で考える習慣を身につけることが大切です。
学校教育でもデジタル化が進み、実際に手を動かす機会が減少している中で、物作りを通じて実感を伴った学びを提供できる場として、当スタジオをご活用いただければと思います。
ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。