不登校の親子を支える「NPO法人キーデザイン」の取り組みを徹底解説。フリースクールや家庭訪問型の支援から、保護者向け相談窓口や情報発信まで、親子の悩みに寄り添う多彩なサポートと、その背景にある想いをお届けします。
御社のサービス概要についてお聞かせください。
法人自体は2016年に設立しておりまして、現在は不登校の親子の支援をさせて頂いております。私たちが提供している主なサービスは以下の4つです。
1つ目が、不登校の小中学生向けのフリースクールです。こちらは栃木県宇都宮市とさくら市の2拠点で運営しております。地域の子供たちに学びの場を提供し、学校とは異なる自由な環境で学ぶことで、それぞれのペースに合わせた成長をサポートしています。
2つ目は、フリースクールに通うことが難しい子供たち向けの家庭訪問型支援、ホームスクールです。家庭教師のような形で、子供たちの自宅に訪問し、一人ひとりの状況に寄り添った学びを提供しています。このサービスは特に、外出が難しい子供たちや家庭内での学びを希望する親御さんから高い評価を得ています。
3つ目は、保護者向けの無料LINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」です。このサービスは栃木県に限らず全国を対象としており、現在約4400名の保護者の方が登録されています。LINEを通じて、気軽に悩みを相談できる場を提供し、孤立しがちな保護者の方々に寄り添う役割を果たしています。
4つ目は、不登校に関する子育て情報や教育関連の情報を発信するポータルサイト「たより」の運営です。このサイトでは、栃木県内外のフリースクールや親の会、研修会やセミナーなどの情報を掲載し、地域や親子をつなぐ情報ハブとして活用されています。
これらのサービスは、それぞれの家庭や子供たちのニーズに応じて柔軟に活用いただける内容になっております。
このサービスを提供するに至った背景やきっかけについて教えてください。
法人は2016年に設立されましたが、不登校支援に特化するようになったのは2019年からです。それ以前は主に高校生や大学生を対象に、家族問題や障害、LGBTQなど、様々な悩みを抱える若者への相談支援を行っていました。
当時の活動を通じて分かったのは、多くの若者が抱える問題は、小中学生時代の家庭環境や学校での悩み、さまざまな人間関係などに起因しているということです。そのため、問題が深刻化する前の段階で支援を行う必要性を感じ、小中学生を対象とした支援を始めるようになりました。
また、私自身が大学生時代に感じた経験も、この活動の原点にあります。青森から栃木県の宇都宮大学に進学した際、学外のボランティア活動を通じて多くの人と関わり、その中で「社会とつながることの重要性」に気づきました。特に、夢や目標を持てず孤立している若者が、社会とつながることで自信を取り戻していく様子を目の当たりにし、誰かにとっての「つながりの場」を提供することの意義を実感しました。
この経験が、現在の活動につながっています。支援の対象が大学生から小中学生に移った今も、孤立を防ぎ、安心して生活できる環境を整えるという根本的な思いは変わっていません。
御社ならではの強みやアピールポイントを教えてください。
私たちの最大の強みは、個々に合わせた柔軟な支援体制です。フリースクール、家庭訪問、保護者向け相談窓口、ポータルサイトという多様なサービスを通じて、親子のあらゆるニーズに応えられる仕組みを構築しています。
また、横の連携も重視しています。例えば、保護者同士が交流できる場を設けたり、地域のフリースクールや親の会と協力して情報を発信したりしています。これにより、孤立しがちな家庭が地域社会とつながる機会を提供しています。
利用者の方と接する際にどんなことを意識していますでしょうか。
特に意識しているのは、子供たちの意思を尊重することです。支援者としてゴールを押し付けるのではなく、子供たちが何を求めているのか、どのようにありたいのかを一緒に考える姿勢を大切にしています。
また、「支援臭のない関わり方」も重視しています。子供たちが対等な関係でいられるよう、友達のように自然なコミュニケーションを心がけています。これにより、子供たちは無理に頑張るのではなく、自分のペースで前向きに進むことができるようになります。
御社として今後の展望や取り組んでいきたいことについて教えてください。
今後は、企業へのアプローチを強化していきたいと考えています。最近では、企業向けに不登校離職防止セミナーを開催し、子供の不登校が親の離職や休職につながる現状を改善するための取り組みを進めています。
また、企業内に不登校相談窓口を設けることで、従業員が安心して相談できる環境を整えたいと考えています。このような取り組みを通じて、親御さんが社会とつながりながら子育てを続けられる仕組みを作っていきたいと思っています。
最後に記事を読む方、御社の利用を検討されている方へのメッセージをお願いします。
不登校は誰にでも起こり得ることで、親の責任ではありません。周囲の声に惑わされることなく、ぜひ「助けて」と声を上げてみてください。私たちはいつでも寄り添い、皆さんの支えになれるよう努めています。一人で抱え込まず、頼れる場所を見つけてください。