「みんなで育て合う」「みんなで学び合う」—。そんな思いから生まれた「里山スクール 木の子」では、不登校の子どもたち、子育て中の親子、そして高齢者までもが一つ屋根の下で過ごしています。ヨーガ療法士の経験を持つ代表の菊地さんは、自分自身を知り、表現する力を育むことこそが、人生の「根っこ」になると考えています。今回は菊地さんに木の子の概要や設立の経緯についてお伺いしました!
0歳から100歳まで、全世代を対象とした学びの場
ー御社のサービス概要について教えていただけますでしょうか。
菊地さん:当スクールは0歳から100歳までを対象とした里山スクールとして運営しています。3つのクラスがあり、「どんぐり」という乳幼児を抱える親子向けのクラス、「わかば」という不登校の小中学生向けのクラス、そして「かえで」という高齢者向けのクラスを展開しています。
3つのクラスは分かれていますが、活動自体は一緒に行うこともあり、同じ空間・同じ時間で活動しているため、ほぼ混ざり合った状態で学びや交流を行っています。
ヨーガ療法士としての経験から見出した「共に育ち合う場」の必要性
ー設立のきっかけについて教えていただけますでしょうか。
菊地さん:私はヨーガ療法士として、様々な心身の不調を抱える方々と接してきたのですが、その中で、体に不調がある方の多くは、子どもの頃の経験や言われた言葉が消化不良のまま大人になり、それが不調として現れているケースが多いことに気づきました。
私自身も子育てをする中で、親として完璧でいられない場面も多くあります。しかし、そういう時に他の人がサポートしてくれたり、私が伝えられない知恵を他の人が伝えてくれたりする環境があれば、親も子も救われるのではないかと考えました。
「みんなで育て合う」「みんなで見守り合う」―そんな場所を作りたいという思いから、2022年4月にNPO法人を設立したことがきっかけです。設立時には10名ほどの仲間と共に活動をスタートさせ、現在は3期目を迎えています。
「根っこ」を育てる教育理念
ー他のフリースクールと比べて、木の子さんならではの特徴やアピールポイントを教えていただけますか。
菊地さん:私たちは「根っこの部分を見る・育てる」ということを重視しており、「木の子」という名前には「みんな木の子ども」という意味が込められています。
木は根っこがしっかりと育っていれば、どんな風が吹いても倒れません。人間の根っことは「自分自身を知る・理解する」ということだと考えています。
これは、私自身がヨーガ療法士として多くの不調を抱える方々と接してきた経験から導き出された考えです。不調の原因の多くは、子どもの頃の経験が消化不良のまま大人になってしまうことにあるため、子どもの頃から自分の気持ちを表現できる場所、周りのサポートを得られる環境が重要だと考えています。
学校との連携を重視した柔軟な受け入れ体制
ー不登校でない子どもも参加できるのでしょうか。
菊地さん:実際には併用型の利用者がほとんどです。例えば、月曜日は学校に行き、水曜日と金曜日は当スクールに来て、火曜日は別のフリースクールに通うなど、それぞれの子どもに合わせた柔軟な利用形態を取っています。
在籍校とも連携を取りながら活動を進めており、学校とフリースクールは対立する存在ではなく、お互いに補完し合える関係だと考えています。
子どもの未来を見据えた新たな挑戦
ー今後の展望についてお聞かせください。
菊地さん:現在の居場所としての機能を維持しながら、2〜3年以内にわかばクラスの発展を考えており、具体的には不登校の子ども達だけでなく、公教育の代替となるようなオルタナティブスクールとしての機能も持たせていきたいと考えています。
特に、小学1年生から通っている子どもたちもいるため、読み書き計算などの基礎学力をどのように身につけてもらうかが課題です。従来の「勉強」という形ではなく、子どもたちが必要とする知恵をどのように伝えていくか、新しい学びの形を模索していきたいと考えています。
悩める親子へのメッセージ
ー最後に、フリースクール利用を検討されている方へメッセージをお願いします。
菊地さん:悩みがある時、誰かに助けを求めることは勇気のいることだと思います。でも、一歩踏み出せば、必ず助けてくれる人がいます。
保護者の方が学校とのやり取りに困難を感じているケースも少なくありません。そんな時、私たちが間に入ることで状況が改善することもあります。当スクールの利用の有無に関わらず、学校との連携のサポートなども行っていますので、どんなことでも気軽にご相談ください。