「叱らない」「褒める」という肯定的な支援で、利用者の成長をサポートする合同会社レモン。2021年10月の開設以来、チラシ折り込みやヘルメット組み立てなど、多彩な室内作業を中心に展開しています。一人一人に寄り添った丁寧な支援と、充実した健康管理で、利用者が自分らしく活き活きと過ごせる環境づくりについて代表の 日置幸子氏にお話を伺いました。
合同会社レモンのサービス概要
ー合同会社レモンの事業概要についてお聞かせください。
日置幸子氏:当事業所では、利用者さん一人一人が小さな「できること」を増やし、自信をつけて働けるようにという願いから支援を行っています。特に重視しているのが肯定的支援です。利用者さん一人一人の長所と可能性を見出し、それぞれの成長をサポートすることで、障がいの有無に関わらず、すべての人が自分らしさを見つけ、発揮できる環境づくりを心がけています。
創業への想いについて
ー設立の経緯やきっかけについて教えて下さい。
日置幸子氏:2008年から2021年までの13年間、障がい福祉施設で働かせていただき、利用者さんと共に成長する楽しい経験と、自閉症の方々への支援方法を学びました。これらの経験から、障がいを持っていても自由に生活でき、楽しく過ごせる環境、成長できる場所を作りたいと願ったのが設立のきっかけです。
大きな社会福祉法人のような立派な事業所は作れなくても、私の力でできる小さな事業所でも、利用者さん一人一人の「できること」を増やし、自信をつけて働けるようにしたい。そんな思いで2021年10月に立ち上げました。
事業所の特徴と強み
ー御社ならではの特徴や強みを教えて下さい。
日置幸子氏:当事業所の大きな特徴は、アットホームな雰囲気の中で肯定的な支援を行っていることです。利用者さんも職員も親切な人が多く、皆が明るく楽しく作業に取り組んでいます。
健康面では、隣接する和食店から栄養バランスの取れた昼食を毎日提供。お魚とお肉が毎日付く充実した内容で、利用者の皆さんの健康管理に配慮しています。加えて、月1回のダンスレッスンなど、楽しみながら体を動かせる活動も実施中です。
作業面では、叱責や過度な指示を避け、できるだけ一緒に手を添えて教えることを心がけています。朝の会や帰りの会では必ず皆さんの良いところを見つけて褒め、利用者さん同士も互いに支え合う関係を構築。こうした環境づくりにより、利用者さんが自分らしく活き活きと過ごせる場所となりました。
利用者との関わり方
ー利用者さんと関わる上で気をつけていることを教えて下さい。
日置幸子氏:利用者さんが自分を表現できる環境づくりを大切にしています。例えば、言葉が不自由な18歳の利用者さんが朝礼の司会に挑戦したいと申し出てくれたことがありました。その方は、自分なりの言葉で挨拶や作業内容の説明をし、皆の前で堂々と進行してくれたのです。
また、指導の際は叱ることはほとんどなく、できるだけ言葉での指示を減らし、一緒に手を添えて教えるようにしています。何か問題が起きた時も、その場で直接注意するのではなくなぜそれが良くないのかを考えてもらうようにしています。
このような関わり方により、利用者さんたちは徐々に自信をつけ、自ら成長していく姿を見せてくれています。朝の会や帰りの会では、必ず皆さんの良いところを見つけて褒めるようにしており、そうすることで利用者さん同士も互いに支え合う関係が築けています。
作業内容について
ー具体的な作業内容について教えてください。
日置幸子氏:室内作業を中心に、様々な作業を実施中です。まず、地域新聞のチラシ折り込み作業を週2日担当しており、先週は2日間で32エリア、13,400枚の折り込み作業を完了しました。新しい情報が掲載されており、利用者さんたちも興味を持って楽しみながら取り組んでいます。
次に、アジアやアメリカ、ヨーロッパ向けのバイク用ヘルメットの組み立て作業を請け負っています。また、建築資材として使用されるカーテンレールの部品作りも手がけており、ランナーや房掛けなどの細かい部品の組み立ては利用者さんからも好評です。
最近では新しい取り組みとして、中古ブランドバッグのクリーニング前の写真撮影も開始しました。1つのバッグにつき20~30枚の写真を撮影する作業を担当し、内職作業としてはビニール袋の紐通しなども実施中です。
施設外就労として、近隣のいちご農園でのハウス作業も展開。いちごの株から不要になった枝を適切に取り除く作業を担当しています。これらの作業を通じて、単価の良い仕事を集め、常にアップデートを図っています。
今後の取り組みについて
ー今後の取り組みとして考えられていることを教えて下さい。
日置幸子氏:現在、利用者さんが自分の作業スケジュールを把握できるようにボードを活用した新しい仕組みづくりを計画しています。今は利用者さんの意欲を大切にし、やりたい仕事を選んでもらう形で進めていますが、より主体的に動けるよう、作業スケジュールを可視化していきたいと考えています。
具体的には、ヘルメット組み立てグループやカーテンレール作成グループなど、利用者さんの特性に合わせてグループ化し、それぞれが自分の作業を管理できる仕組みを導入する予定です。
また、地域社会との連携をさらに深めながら、利用者本位の支援を充実させていきたいと思っています。工賃の向上を図りつつ、健康管理やレクリエーションとのバランスを保ち、楽しく働ける環境づくりを進めていきます。
利用者さん一人一人の可能性を最大限に引き出し、より充実した支援を提供できるよう、これからも様々な取り組みにチャレンジしていきたいと考えています。
利用を検討されている方へ
ー利用を検討されている方へメッセージをお願いします。
日置幸子氏:当事業所は、利用者の皆さんが自由に生き生きと作業できる環境を整えています。主に室内作業が中心となるため、室内での作業をご希望の方に特におすすめです。現在、工賃は月額2万円ですが、今後は3万円への引き上げを目指しています。
私たちは、作業をこなすだけでなく、一人一人の力を丁寧に伸ばすことを大切にしています。将来的な一般就労も視野に入れながら支援を行うため、ご興味をお持ちの方はぜひ一度見学にいらしてください。アットホームな雰囲気の中で、皆さんの可能性を一緒に広げていけることを楽しみにしています。