不登校の児童・生徒が増加する中、千葉県八千代市に新たな学びの場として誕生した「まなびかふぇ」。
駅近くの好立地に位置する「まなびかふぇ」は、充実した学習支援と子どもたちの居場所づくりを軸に、一人ひとりに寄り添った支援を提供しています。
「まなびかふぇ」の生徒さんそれぞれの希望に寄り添った活動内容について、代表の森浩二さんにお話を伺いました。
不登校の子どもたちを受け入れる新たな選択肢
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ーどういったお子さんを対象にどのような支援を行っていらっしゃいますか?
森さん:まなびかふぇは、不登校の子どもたちを受け入れるための場所を新たに提供する施設です。
学校に行けていない子や、時々は登校できるものの継続が難しい子、夕方からの学習塾には通えている子など、様々なケースの児童・生徒を受け入れています。
対象は小学生から中学生までとなっています。
学習塾での経験から見えた支援の必要性
ー このような施設を立ち上げられた背景について詳しく教えてください。
森さん:社会的に不登校の問題が大きくなってきていることはもちろんですが、私自身が10年ほど学習塾を経営していく中で、「塾には来られるのに学校に行けない」という相談を数多く受けてきました。
また、「塾での学習を出席認定にできないでしょうか」という切実な声が保護者から寄せられていたこともあります。
さらに、元学校教員である当塾の講師陣からも、不登校の子どもたちの受け入れ先が不足しているという現場の声を聞いていたこともきっかけの一つでした。
学習塾は夕方からの営業が中心で、昼間は教室が空いています。
経営者としてもこの時間を有効活用できないかと考え、フリースクールという形で新たな取り組みを始めることを決意しました。
教育委員会との緊密な連携で実現した充実のサポート体制
ー まなびかふぇならではの強みについて具体的に教えてください。
森さん:八千代市には不登校に対応する公的機関が1か所しかなく、遠方からの通学を余儀なくされるケースも多くありました。
そこで私たちは、人口増加が続き、小学校の新設も進む八千代緑が丘駅周辺に施設を開設し、誰もが一人でも通いやすい環境を整えたいと考えました。
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開校前の半年間は八千代市教育委員会と密に連携を図り、不登校の子どもたちや保護者が抱える課題について理解を深めました。
その中で、学校との面談すら難しい状況にある家庭が多いことが分かり、独自の情報共有シートを作成したのですが、今ではそのシートが、保護者が学校とコミュニケーションを取る際の橋渡し役も担っています。
教育委員会からは市内全ての小中学校にパンフレットを配布していただき、まなびかふぇでの活動が原則として出席認定される仕組みも整いました。
こうした行政との連携体制の構築は、私たちの大きな強みとなっています。
一人ひとりに合わせた柔軟なカリキュラム設計
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ー どのようなコース・カリキュラムを用意されているのでしょうか?
森さん:一般的なフリースクールでは、その日の活動を子どもと相談しながら決めていくスタイルが多いのですが、私たちは入会時の面談で保護者と子どもの希望を丁寧にヒアリングし、それぞれに適したプログラムを提供しています。
遊びを中心にしたい子どもには体験活動を、学習に重点を置きたい場合は診断テストを実施して現状を把握します。
例えば小学6年生でも、場合によっては3年生の内容から振り返る必要があるケースもあります。
タブレット端末を活用した診断テストで学習状況を正確に把握し、必要に応じて学年を遡って基礎から積み上げていく指導を行っています。
また、朝からマンツーマンで学習指導を行うコースや、ホットプレートを使った料理実習なども用意しており、子どもと保護者のニーズに合わせて、柔軟な時間の使い方ができることも特徴です。
子どもたちとの関わり方で大切にしていること
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ー 子どもたちと接する際に、特に意識されていることはありますか?
森さん:最も大切にしているのは、子どもたちと対等な人間として向き合うということです。
上から目線で接するのではなく、同じ目線で会話をし、お互いに敬語を使いながら接しています。
遊ぶ時は思いっきり遊び、信頼関係を築きながら、子どもたちが心を開ける環境づくりを心がけています。
4月からの新たな挑戦
ー 今後の展望についてお聞かせください。
森さん:開校から1年を経て、学習支援に重点を置きすぎていたという課題も見えてきました。
保護者からは学習面のサポートを評価いただいていますが、子どもたちからは「学校に行かないのに、なぜここで勉強しなければいけないの?」という声も聞かれます。
そこで2024年2月14日からクラウドファンディングを実施し、26坪の新しい空間への移転を計画しています。
4月からは、体験活動やキャリア教育や地域連携・発表の場などを提供する「まなびさろん」を開設し、地域の方々との交流の場も設けていきます。
将来何をしたいのか、そのために今できることは何かを考えるキャリア教育も重視していきます。
勉強に直結しない活動も大切にしながら、子どもたちにとって本当の意味での居場所となることを目指しています。
悩みを抱える子どもと保護者へのメッセージ
ー 最後に、不登校でお悩みの方々へメッセージをお願いします。
森さん:まずは一緒にお話ししましょう。
子どもたちには対等な立場で接し、一人ひとりの気持ちに寄り添います。
これから地域の方々や専門家の方々も加わり、さらに充実したサポート体制を整えていきます。
相談先が見つからず悩みを抱え込んでいらっしゃる保護者の方々は、一緒に考え、一緒に育てていける場所として、安心して立ち寄っていただければと思います。