遊びと学びの調和で子ども成長を支えるフリースクール – まなびスペースCOCOCARAの漆原さんにインタビューしました!

NPO法人COCO.NETが運営するフリースクール「まなびスペースCOCOCARA」は、不登校経験を持つ子どもたちの居場所として、遊びと学びを大切にした独自の教育活動を展開しています。

代表の漆原さんに、法人設立の経緯や活動内容、今後の展望についてお話を伺いました。

フリースクール設立の原点となった我が子の経験

ー設立のきっかけや経緯について教えてください。

漆原:元々は私の息子の不登校経験がフリースクール事業を始めるきっかけとなりました。ただ、それ以前に息子が通っていた、モンテッソーリ教育を取り入れたミッションスクールの幼稚園での経験が、私の子育ての原体験として大きな影響を与えています。

その幼稚園では、キリスト教の精神のもと子どもの意思を尊重し、個性を大切にしながら自然豊かな環境で子どもを育てる教育を行っていました。

子どもが伸びやかに、心身ともに健やかに育っていく様子を見て、「この環境で義務教育も受けられたら」という思いを持ちました。しかし、私たちが住む千葉市では私立学校の選択肢が限られており、多くの子どもたちは地元の公立学校に進学します。

息子が小学校1年生で不登校になった時、私は「子育ての本質とは何か」「教育とは何か」という根本的な問いと向き合うことになりました。

この経験から、幼児教育で培った「子どもをありのまま受け入れ尊重する」という考えを基盤としたフリースクールの構想が生まれました。

子どもの意思を尊重する包括的な支援

ーフリースクールの事業内容について具体的に教えてください。

漆原:6歳から18歳までの子どもを対象にしており、現在は小学1年生から中学3年生までの幅広い年齢層の子どもたちが在籍しています。

「安心して過ごせる」「夢中になる『あそび」』と『まなび』がある」「ともに過ごすしあわせな時間を分かち合う」という3つの理念を掲げ、学習活動と遊びの時間を両立させています。

特徴的なのは、オランダのイエナプラン教育をベースにした活動設計です。人間活動として重要な「遊び」「学び」「対話」「催し」という4つの要素を循環させることを意識しています。

特に現代の学校教育で不足しがちな「遊び」の時間を重視し、1日のスケジュールの約半分を遊びの時間に充てています。

年間を通して、誕生日会や発表会、文化祭、キャンプなどの催しも計画的に実施します。また、朝と終わりの時間には「サークル対話」の時間を設け、その日の活動や気持ちを分かち合う機会を作っています。

心の回復を支える遊びの重要性

ー独自の取り組みや特徴的な点について教えてください。

漆原:多くのフリースクールが「居場所型」と「学習型」に分かれる中で、私たちは両方の機能を持つ包括的な支援を心がけています。

不登校を経験した子どもたちの多くは、最初は無気力だったり人間不信に陥っていたりする状態です。しかし、心が少し回復してきた時、まず「遊びたい」という気持ちが表れます。

実際に子どもたちと関わる中で、十分に遊べるようになった子どもは心身の回復が早いことに気づきました。そのため、遊ぶ時間を最大限保証することを子どもたちとの約束にしています。

また、フリースクールの活動の中で、子どもたち自身が企画を立て、イベントを運営するような機会も積極的に設けています。これは子どもたちの主体性や創造性を育む重要な機会となっています。

ー実際にお子さんと接する際に特に心がけていることを教えてください。

漆原:私たちは子どもたちに対して、「困った時には必ず手を貸すこと」「勉強はやりたいところまででよいこと」「決して馬鹿にしたり蔑んだりしないこと」を約束しています。

一人ひとりの気持ちに寄り添いながら接することを心がけており、そうした関わり方をスタッフ間でも常に確認し合っています。

このような関わり方を続けていくと、子どもたち同士でもお互いを思いやる関係が生まれ、時には大人たちへの気遣いも見られるようになります。これは本当の意味での社会性が育まれている証だと感じています。

教育と福祉の融合による新たな支援の形へ

ー今後の展望についてお聞かせください。

漆原:これまでの経験から、教育だけでは子どもたちへの支援として不十分な場合があると感じています。生きづらさや困り感を抱える子どもたちに対して、教育領域だけでなく福祉の領域からもアプローチできる支援体制を整えていきたいと考えています。

その中には、本人だけでなく家族への支援や、外出が困難な子どもたちへのアウトリーチ活動なども含まれます。教育と福祉を組み合わせた総合的な支援体制の構築が、私たちの今後の目標です。

ー最後に、この記事をご覧の保護者様へメッセージをお願いします。

漆原:不登校の認知は徐々に高まりフリースクールの数も増えてきていますが、当事者家族として子どもを責めたり、親自身が自分を責めたりする状況をよく目にします。子どもがありのままで育つ環境を広げていくことが、これからの社会には必要だと考えています。

1人で抱え込まず、思い詰めず、お子様の良さを理解してくれる人との繋がりを持つことで、必ず子どもたちは回復し元気を取り戻していきます。そうした出会いや繋がりは必ずあるということを信じていただきたいと思います。