【実りの森】心のケアをもっと身近なものへ-児童思春期のメンタルケアから企業支援まで、新しい相談窓口のカタチ

児童思春期から青年期の子どもたちへのカウンセリングと、保護者や教職員など支援者支援も行う「実りの森」。

「大人が元気でなければ子どもも元気になれない」という考えのもと、地域や企業を含めた社会全体のメンタルケアにも力を入れています。

カウンセリングを「病気になったら行く場所」ではなく、心が不安定な時に気軽に立ち寄れる存在にしたいという思いで活動を続ける「実りの森」の代表、西野薫さんにお話を伺いました。

幅広い年齢層の心に寄り添う―実りの森の支援体制

ー どういった方を対象に、どのような支援を行っていらっしゃるのでしょうか?

西野さん:基本的に児童思春期青年期のカウンセリングと、保護者様、教職員、スクールカウンセラーを含めた支援者の支援に力を入れています。

大人が元気でなければ子どもも元気になれないという考えから、地域や企業も含めた社会全体のメンタルケアを行っていきたいと考えています。

ー 具体的な年齢層や、どういったお悩みの方が多いのでしょうか?

西野さん:子どもに関して申し上げると、年齢層は5、6歳から扶養の範囲の30歳前後の方が中心です。

子どもの悩みは実に幅広く、漠然とした情緒不安定から、ゲーム依存、不登校まで様々です。

発達支援も行っていますが、発達障害の有無は重要視していません。

むしろ、もっと学校に行きやすくなるには、勉強が分かりやすくなるにはといった自己実現に近い悩みまで、幅広く対応しています。

11万人以上の支援格差に立ち向かう

ー このような活動を始められたきっかけについてお伺いできますか?

西野さん:私は元々スクールカウンセラーとして長く活動し、2019年からは東京都のシニアスクールカウンセラーとして、スクールカウンセラーへの支援・助言を行ってきました。

しかし、どんなにスクールカウンセラーがスキルアップを図っても、子どもの自殺や不登校は右肩上がりで増加し、昨年度も子どもの自殺が過去最多を記録する痛ましい状況が続いています。

特に気がかりなのは、30万人以上いる不登校児童・生徒のうち、38%にあたる11万人以上が、どこにも支援に繋がっていないという現状です。

行政の支援は非常に重要ですが、現状それだけでは十分ではありません。

実りの森のような新しい相談窓口を増やし、支援が届かないお子さんたちを1人でも多くキャッチしていきたいという思いで、この事業を始めました。

心のメンテナンスを当たり前の文化に

ー 活動をされる中で大切にされていらっしゃることはありますか?

西野さん:心はあらゆることの原動力です。

将来のビジョンを描き、それに向かって行動を起こすためにも、心が元気であることが不可欠です。

そのため、心の健康や柔軟さ、エネルギーの回復を最も大切にしています。

日本ではカウンセリングが「病気になったら行く場所」というイメージが強いですが、カウンセリングが普及している欧米では、自殺率が大人も子どもも低い傾向にあります。

心の痛みも、体の怪我と同じように適切なケアが必要で、軽い怪我なら家での安静で治りますが、専門的な手当が必要な場合もあります。

美容室や整体に行くように、心も日頃からメンテナンスしていくことで、人生がより充実していくと考えています。

どんな小さな悩みでも相談できる場所に

ー 具体的にどういった相談ができるのか、教えていただけますでしょうか?

西野さん:子どもの場合、「最近学校が楽しくない」「学校に行くのが不安」といった気持ちの変化から、友達との関係で悩んでいる、喧嘩をして仲直りが難しいといった対人関係の問題まで、様々な段階でご相談いただけます。

大人の方も、最近疲れがちという日常的な悩みから、思春期の子育ての悩み、自分の人生設計と子育ての両立について、さらには人間関係の改善まで、幅広くご相談をお受けしています。

例えば、「怒ってはいけないと思っているのについ怒ってしまう」といった悩みもよくお聞きします。

そういった時には、どうすれば心地よい親子関係や人間関係を築けるのか、一緒に考えていきます。

行政の枠を超えた支援を目指して

ー スクールカウンセラーとは異なる、実りの森ならではの特徴を教えていただけますでしょうか?

西野さん:行政の支援には様々な制約があり、例えば、発達を支援する通級指導教室でもIQの基準があったり、不登校傾向がある場合は支援対象外になったりと、細かい要件があります。

また、小学校高学年になると、スクールカウンセラーに話したことが教員に伝わるという認識から、相談を躊躇する子どもも多いのが現状です。

私たちは、そういった行政の枠からこぼれ落ちてしまう子どもたちや保護者の方々の受け皿となることを目指しています。

できる限り、経済的な負担を抑えながら、質の高い支援を提供しています。

オンライン対応で、より身近な存在へ

西野さん:実りの森では、対面でのカウンセリングに加え、オンラインでの相談も受け付けています。

有難いことに、個別カウンセリングの予約枠はほぼ満席の状態ですが、できるだけ多くの方のご相談に応じられるよう努めています。

最後に読者へのメッセージ

ー 最後に、記事を読んでくださっている方へメッセージをお願いできますでしょうか?

西野さん:「実りの森」には実績のある心理師がおり、初回半額キャンペーンも実施しています。

私たちは無限に通っていただくのではなく、しっかりと課題の改善を目指した支援を行っています。

カウンセリングの相性は重要です。

まずは気軽に体験していただき、ご自身に合った支援を見つけていただければと思います。

心のケアを、より身近で気軽なものにしていくために、これからも尽力してまいります。