まちづくりは人づくり―みらいの学校が実践する次世代育成と地域活性化ーNPO法人みらいの学校

秋田県羽後町で活動するNPO法人みらいの学校。小学生向けの職業体験「しごとーいうご」から、慶應SFCと連携した高校魅力化まで、幅広い世代への取り組みを展開しています。2030年に向けて、まちづくりの担い手を育成する同法人の代表理事・佐藤さんに、活動への思いと未来への展望を聞きました。

NPO法人みらいの学校の理念

ーみらいの学校様はどのような団体なのでしょうか?

佐藤氏:私たちは、2030年の秋田県南エリアが「理想を語り合う場があり、夢や目標を叶えるチャレンジが生まれている地域」となることを目指して設立された団体です。私自身は役場職員をしながらNPOの代表理事を務めており、地域おこし協力隊の皆さんや地域の事業者さんと協力しながら、この地域で活躍したい人々を増やす活動を展開しています。

主な活動として、小学生向けの職業体験イベント「しごとーいうご」の開催、慶應義塾大学と連携した羽後高校の魅力化プロジェクト、そして地域事業者支援を行っています。

設立の経緯やきっかけ

ー設立のきっかけについて教えてください。

佐藤氏:佐藤:団体設立のきっかけとなったのは、町の地方創生推進交付金事業です。当時、地域の人材育成や地域づくりに関する事業を実施していましたが、この交付金を継続的に活用するためには「自主的な運営団体の立ち上げ」が必要でした。

一方その頃、地域おこし協力隊として活動していたメンバーたちが、地域の活性化や様々な分野で素晴らしい成果を上げていました。このメンバーの任期が終了しても、経験やスキルを地域に還元してほしいという思いから、彼らの活動を支える受け皿が必要だと強く感じていたんです。

こうした状況を踏まえ、2019年6月にNPO法人としてみらいの学校を設立することにしました。法人化したことで、学校や行政とより強固な連携が可能になり、地域に根差した持続可能な活動基盤を作ることができました。実は、この決断が今の活動の広がりにつながっています。

3つの主要事業と活動理念

ー具体的にどのような活動を行っているのでしょうか?

佐藤氏:私たちは3つの主要事業を展開しています。小学生向け職業体験イベント「しごとーいうご」、羽後高校の魅力化を目指す「慶應SFC協働事業」、そしてローカルニュースサイト「UGONEWS」の運営です。

団体名から一般的な学校のような印象を持たれることもありますが、実際はまちづくり団体としての性格が強く、地域の学校との深い連携のもと活動しています。メンバーが小中学校の学校運営協議会委員も務めており、特定の活動に限定せず、地域に根差した存在として認められています。

未来を見据えた人材育成

ー10年後の町づくりについて、どのようなビジョンをお持ちですか?

佐藤氏:私たちは単なる人口増加ではなく、人材の多様化と育成から、まちづくり人財を増やしていきたいと思っております。地方でよく見られる「同じ顔ぶれによる会議」という状況を変え、持続可能な地域づくりを目指しているのです。そのために小学生や中学生の時から主体的にまちづくりに関わってもらい、自己実現の場として認識してもらえるよう努めています。

参加者との関わりで意識していること

ー参加者と関わるうえで意識していることはありますか?

佐藤氏:私たちの特徴は、参加者を「お客様」ではなく「仲間」として受け入れることです。地方ならではの近しい関係性を活かし、事業を通じた新たな繋がりづくりを大切にしています。

設立から6年が経ち、具体的な成果も見え始めています。小学生時代にイベントに参加した子どもたちが中学生になり、今度は運営側として活動に携わるようになりました。さらに来年度には、当団体に関わった大学生が町役場職員として就職する予定です。このように、まちづくりに意欲的な人材が着実に増えています。

将来を担う若者へのメッセージ

ー最後に、読者へメッセージをお願いします。

佐藤氏:秋田県外にお住まいの地元出身の皆さんへメッセージを送らせていただきます。地元に帰りたい気持ちはあっても、様々な理由で踏み出せない方も多いと思いますので、私たちのようなオープンマインドなNPOが、皆さんの「帰りたい」という思いの受け皿になれれば幸いです。

活動は秋田県内が中心ですが、関係人口として地域を応援してくださる方々との交流も大切にしています。興味をお持ちの方は、ローカルニュースサイト「UGONEWS」で私たちの活動をご覧ください。