
私のスタジオ「シャンティプルナ」は、茨城県水戸市で2006年にオープンしました。今年で19年、来年には20周年という節目を迎えます。
最初は自宅のリビングでスタートしたこの場所も、今では多くの方にご利用いただけるスタジオへと成長しました。
対象は老若男女幅広く、過去には10代の学生が指導者養成講座に通ったこともあります。現在は30〜50代の方が多く、最高齢は83歳。体力や経験に関わらず、それぞれのペースで通っていただいています。
一般向けのクラスに加え、創業当初からずっと続けているのが、指導者養成コースです。私自身が長年培ってきた経験をもとに、講師を目指す方々を支えています。
また、「講師になるわけじゃないけれど、自分のために深く学びたい」という方には、200時間かけてヨガ的ライフスタイルを習慣化する、『楽しい大人の部活』のような修行コースも設けています。
病を乗り越えた先にあった、ヨガとの出会い
私がスタジオを立ち上げたのは31歳のときです。20代の頃はスポーツインストラクターとして体を酷使してきましたが、ある時期に病気を患い、思うように体が動かなくなりました。
そのとき、「体を動かすこと(運動を教えること)以外の仕事は、私には務まらない」と思い、絶望していたんです。
そんな時、出会ったのが“パワーヨガ”でした。当時はまだそこまでヨガが広まっていなかった頃で、流行の兆しといった段階だったんですが、実際に体験してみると、体だけでなく心まで癒されていくのを感じました。
私のように、メンタル面でつらさを抱えながらも、見て見ぬふりをしながら、頑張っている人って本当に多いと思うんです。だからこそ、心を癒す場が必要だと強く感じて、このスタジオを始めました。
「シャンティプルナ」という名前は、サンスクリット語でシャンティ=“平穏・平安”、プルナ=“完全・満ちている”を意味します。
心が穏やかで安定した状態に戻れる、そんな場所を目指して、ここまでやってきました。
口コミで広がった“ヨガの場”

当時、茨城にはヨガスタジオ自体がほとんどありませんでした。
スポーツクラブで私のレッスンを受けてくださっていた方々が、私の体調不良を知って心配してくださっていたのですが、「ヨガを通して復帰した」という話を聞いて、たくさんの方が自然と集まってくれたんです。
さらに、地方のNHK(茨城放送)でパワーヨガの取材を受けたことをきっかけに、NHKカルチャースクールからオファーをいただいて、講座を持つようになりました。
当時は紙の媒体が中心だったので、新聞やチラシで紹介されるたびに、「ヨガを受けてみたい」と新しい方が集まり、口コミでどんどん広がっていきました。
2年ほどで自宅のリビングでは対応しきれなくなり、テナントを借りて本格的なスタジオに移転することにしたんです。
深く学び、つながる場所に
シャンティプルナの強みは、ただ体を動かすだけのヨガではなく、心や哲学にまでアプローチする“深い学び”ができることです。
スポーツクラブやホットヨガで体験した方が、「もっと深く知りたい」と来てくださることも多いですね。また、ヨガをきっかけに生まれる“人とのつながり”もこのスタジオの魅力です。
基本的にひとりでスタジオに来る方が多いんです。通ううちに、自然とスタジオでの出会いが生まれ、今までは職場と家庭だけの人間関係だった方が、新しい仲間と趣味や人生の幅を広げていく…そういう姿を見るのが、私にとっても喜びです。
法人名を「クリエイティブライフ・シャンティプルナ株式会社」と名づけたのも、“人生を創造する”という想いからでした。
たとえ会社員であっても、「自分の本当にやりたいこと」を実現していけるような場をつくりたい。そのツールとして、ヨガがあると思っています。
一人ひとりに寄り添う指導を
私は20歳で健康指導の仕事を始め、今年でちょうど30年になります。若い頃は「動けるのが当たり前」という感覚で指導していた部分もありました。
でも、45歳を過ぎてからは、年齢とともにできないことが増えていくのを実感して、考え方が大きく変わったんです。
今は、性別や年齢、職業、生活環境などをしっかり汲み取った上で、ひとりひとりに合わせた指導を大切にしています。たとえ同じポーズを取っていても、心と体の状態によってアプローチは変わります。
その人の今に寄り添って、「前向きさや自信がついてきてる」と思えばチャレンジを促し、「体調やメンタルが落ちているな」と感じた時はそっと、支える…。そういう対応ができるよう、常に心がけています。
美しさは“姿勢と心”から始まる

ヨガを続けることで、一番最初に現れる変化は「姿勢」なんです。猫背だった方がどんどん背筋を伸ばしていく。姿勢が整うと、見た目の印象は大きく変わっていくんです。
私はそういった変化を大切にしています。なぜなら、人は皆、変化を求め、行動した結果が実るごとに、自信をつけていくからです。
「綺麗になりましたね」と伝えると、皆さん謙遜されるけど、本当にそうなんです。体が変われば心も変わる。
表情が明るくなり、前向きな気持ちが芽生え、エネルギーまで変わってくる。そういった変化を間近で見られるのが、私の一番のやりがいです。
“敷居を下げて”もっと多くの人にヨガを
最近では、「シャンティプルナは敷居が高い」「上級者向けで入りづらい」といった声も耳にするようになりました。でも、そんなことは全くありません。
運動習慣がなくても、自信がなくても、むしろ、ヨガは“そういう方にこそ”体験してほしいもの。だから今後は、もっと「誰でも来られる場所」という印象づくりを大切にしていきたいと思っています。
老若男女問わず、人が自然と集える場所で、もっと開かれたヨガスタジオを運営していく。それが今の私の夢であり、チャレンジです。

ヨガに興味があるあなたへ
ヨガは“万人に開かれた扉”です。年齢も性別も、運動経験も関係ありません。まずは一歩踏み出してみてほしい。
ヨガを通して、心の平安や体の気持ちよさを一緒に感じていただけたら嬉しいです。
人生は一度きり。だからこそ、心地よい時間や穏やかな時間を、大切にしていきましょう。