「不登校」を「パラレル登校」へ:夢中教室が描く新しい教育の形とは!?代表の辻田氏にインタビューしました!

「学校に行けない」から「自分に合った学びを選ぶ」へ

学校に行けない。そんな悩みを抱える子どもたちが増えています。しかし、それは本当に「問題」なのでしょうか。「夢中教室」を運営する辻田氏は、従来の「不登校」という概念を覆し、「パラレル登校」という新しい教育のあり方を提案しています。

1対1のオンライン指導から、メタバースを活用した革新的な学びの場まで、夢中教室が目指す教育の未来像とは? 子どもたちの可能性を最大限に引き出す、新しい学びのカタチをご紹介します。

学校になじめない子どもたちの可能性を引き出す:オンライン1対1指導の「夢中教室」

ーまず簡単にどういった方を対象にしている塾なのかあるいは、どういった指導を行っている塾なのか、ついてお聞かせ頂けますでしょうか?


辻田:夢中教室は、従来の学校教育になじめない子どもたちに特化したオンラインスクールです。主に不登校や学校に馴染めない子どもたちを対象に、1対1のオンライン指導を通じて、一人ひとりの興味や関心に寄り添った学びを提供しています。

ーどんな子でも入会できるのでしょうか?

辻田:夢中教室では、どんな子でもOKですが、特に学校が今合わなかったりする子供達を中心に受け入れています。不登校と言っても、完全に家から出るのがハードルが高くなっている子もいれば、学校には足は運んでいるけど教室が合わなくて保健室登校しているような子など、状況は様々です。


当スクールの特徴は、従来の教科学習ではなく、子どもたち一人ひとりの興味や関心に焦点を当てていることです。例えば、ゲームが好きな子どもであれば、ゲームの中でも何が特に興味深いのか、それがどのように他の分野と繋がっているのかを一緒に探っていきます。


また、年齢層も幅広く受け入れています。小学生が全体の約半分、中学生が3割、高校生が1割5分程度となっています。中には高校卒業後も継続して学びたいという生徒もいます。


このように、夢中教室では個々の状況や興味に合わせて柔軟に対応し、子どもたちが自分のペースで学び、成長できる環境を提供しています。従来の教育の枠にとらわれない、新しい形の学びの場を目指しているのです。

人生を変える「伴走者」との出会いから生まれた夢中教室:辻田氏の3つの原体験

ーなぜ辻田さんはこの塾を始めようと思ったのでしょうか?この塾を始めた経緯やきっかけについてお聞かせ頂けますでしょうか?
辻田:夢中教室を始めるきっかけとなった経験は、大きく3つあります。これらの経験が重なり合って、現在の夢中教室の形につながっています。

幼少期の「伴走者」との出会い

私の人生を大きく変えたのは、幼い頃から通っていた美容師さんとの出会いでした。この方は70歳近くになる今でも私の髪を切ってくれているのですが、元々は外資系企業で働いており、世界中を飛び回った経験を持つユニークな方でした。


この美容師さんは、単に髪を切るだけでなく、様々な面白い本を教えてくれたり、「こういう才能があるから、将来はこんな可能性もあるよ」といった具合に、私の可能性を広げてくれる存在でした。振り返ってみると、この方こそが私にとっての「伴走者」だったのです。


この経験から、自分の興味や才能を認めてくれる大人の存在が、子どもの人生にいかに大きな影響を与えるかを身をもって感じました。

インドネシアでの貧困研究と日本の子どもたちの現状

大学院時代、私はインドネシアで貧困研究を行っていました。そこで出会った子どもたちの姿が、私の中に強く残っています。
厳しい生活環境にもかかわらず、現地の子どもたちは「警察官になりたい」「先生になりたい」と、目を輝かせて将来の夢を語ってくれました。その一方で、日本に戻ってキャリア教育の活動に携わると、多くの日本の子どもたちが「頑張っても意味がない」と諦めているような印象を受けたのです。


この経験から、日本の子どもたちが抱える生きづらさや、将来に対する希望の持ちにくさに問題意識を持つようになりました。何か自分にできることはないかと考え始めたのもこの頃からです。

不登校の女の子との出会い

最後のきっかけは、ある不登校の女の子との出会いでした。私が新卒で入社した会社のオフィスに、その子は母親と一緒に来ていました。


その子は自閉症スペクトラム障害の特性があり、人とコミュニケーションを取るのが苦手でした。しかし、私とは歴史の話で意気投合し、とても楽しそうに話をしてくれました。ところが、ある時を境にオフィスに来られなくなってしまったのです。後から聞いた話では、家に引きこもり、「人が怖い」「自分はダメな人間だ」と自己否定的になってしまったそうです。


この経験から、子どもたちの興味や関心に寄り添い、信頼関係を築ける大人との出会いがいかに重要かを再認識しました。そして、家から出ることが難しい子どもたちでも参加できるよう、オンラインでの1対1指導という形を思いついたのです。


これらの3つの経験が重なり合い、「子どもたちの好きなことを通じて希望を持ってもらえるような、オンラインでの1対1の伴走」という夢中教室のコンセプトが生まれました。私自身が経験した「伴走者」との出会いのような機会を、より多くの子どもたちに提供したいという思いが、この事業の原動力となっています。

夢中教室の独自性:心に寄り添う1対1オンライン伴走と高度な指導力

ー他の塾にはない特徴であったり、塾として一番のアピールポイントを教えて頂けますでしょうか?


辻田:夢中教室の最大の特徴は、高いコミュニケーション能力を持つ「伴走先生」による1対1のオンライン指導です。この伴走先生の採用と育成に、私たちは特に力を入れています。

まず、採用プロセスについてですが、1人の先生に対して3回の面接を行い、倍率は3〜4倍と非常に厳しい選考を実施しています。これは単なる知識やスキルだけでなく、子どもたちの心に寄り添える資質を持っているかを慎重に見極めるためです。


採用後も、子どもたちとのコミュニケーション方法や、個々の状況に応じた指導法について、継続的なトレーニングを行っています。例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)の傾向がある子どもに対しては、ゆっくりと丁寧に話しかけたり、オープンクエスチョンよりもクローズドクエスチョンを多用したりするなど、個々の特性に合わせたアプローチを学んでいます。


また、70人以上いる伴走先生の中には、特別支援学校での勤務経験者や言語聴覚士の資格を持つ者など、専門的なバックグラウンドを持つ先生も多数在籍しています。これにより、より専門的なサポートが必要な生徒にも適切に対応できる体制を整えています。


さらに、私たちの指導は単に好きなことをやらせるだけではありません。子どもの心の状態を常に考慮しながら、どのようなコミュニケーションスタイルを取るべきか、どのように興味関心を広げていくべきかを、長期的な視点で考えながら伴走しています。


例えば、ゲームが好きな子どもの場合、単にゲームの話をするだけでなく、そのゲームの中で何が面白いのか、どんな要素に興味があるのかを掘り下げていきます。そして、その興味が他の分野とどうつながっているのかを一緒に探求していきます。

マインクラフトが好きな子どもであれば、建築や街づくりの話題から、現実世界の建築や都市計画の話へと発展させていくといった具合です。


このように、夢中教室では子どもたち一人ひとりの興味関心を出発点としながら、そこから学びの幅を広げ、自己肯定感を高めていくことを目指しています。これは、従来の教科学習中心の塾とは大きく異なるアプローチであり、私たちの最大のアピールポイントだと考えています。

生徒の自己肯定感を高める取り組み

ー生徒さんの自己肯定感を高めるためにどのような工夫をされていますか?
辻田:自己肯定感を高めるプロセスは非常に重要で、私たちは4つのステップを意識しながら取り組んでいます。これらのステップは、生徒一人ひとりの状況に合わせて柔軟に適用していきます。

心理的安全性の確保:
まず最初に、生徒が安心して自分を表現できる環境を作ります。伴走先生との1対1の関係性の中で、「自分はここにいていいんだ」「自分の話を聞いてくれる人がいる」という実感を持ってもらいます。例えば、趣味の話や日常の些細な出来事を共有する時間を設けたり、生徒の発言を否定せずに受け止めたりすることで、安心感を築いていきます。

自己理解の促進:
次に、生徒自身が自分のことを深く理解できるよう支援します。「何が好きか」「何をしたいか」「何が得意か」だけでなく、「なぜそれが好きなのか」「それをすることでどんな気持ちになるか」といった、より深い自己理解を促します。例えば、好きなゲームのどの部分が面白いのか、細かく分析してみるといった活動を通じて、自分自身への理解を深めていきます。

成功体験の積み重ね:
自己理解が進んだら、実際に行動に移す段階に入ります。ここでは、生徒の興味や好きなことを基に、小さな成功体験を積み重ねていきます。重要なのは、これらの体験が生徒自身の内発的動機に基づいていることです。

例えば、絵を描くことが好きな生徒なら、まずは簡単なイラストから始めて、徐々に難易度を上げていきます。その過程で、「自分にもできた」という実感を持てるよう、適切な目標設定とフィードバックを行います。


社会からのフィードバック:
最後に、生徒の取り組みを社会と接点を持たせることで、外部からの評価や反応を得る機会を作ります。これは、自己肯定感をさらに強化し、社会とのつながりを実感するために重要です。

たとえば次のような体験があります。

  • 生徒が描いたイラストをLINEスタンプとして販売し、実際に購入されるという体験
  • 大好きな道具の話とかを宇宙教室の公式ノートで発表してもらってそのノートにリアクションしてもらう

これらの活動を通じて、生徒は自分の価値や能力を客観的に認識し、さらなる成長への動機づけを得ることができます。

このプロセスは一方通行ではなく、常に生徒の反応を見ながら調整していきます。例えば、社会からのフィードバックに対して不安を感じる生徒には、まずは伴走先生や家族など、より身近な人からのフィードバックから始めるなど、個々の状況に応じたアプローチを心がけています。


また、これらのステップは必ずしも順番通りに進むわけではありません。時には行きつ戻りつしながら、螺旋状に成長していくイメージです。大切なのは、生徒自身が自分のペースで、自分らしく成長していけると実感できること。そのサポートを、私たち夢中教室は全力で行っています。

多様な学びの選択肢を提供する「夢中カレッジ」

ー提供しているコースやプランがあればそれぞれお伺いできればと思います。


辻田:基本的には月4回、週1回の1対1のオンライン指導を行っています。特徴として、入会金や退会金は一切いただいていません。これは、生徒が次のステップに進みたくなった時に、金銭的な障壁がないようにするためです。


また、入会前には3回の無料体験を提供しています。体験前には、家庭サポーターという専門のスタッフが保護者の方と面談を行い、適切な先生を提案させていただきます。


さらに最近では、1対1の指導に加えて、「夢中カレッジ」というメタバースを使ったオンラインスクールも始めました。ここでは、子どもたち同士が交流しながら学べる環境を提供しています。例えば、フェイクニュースの見極め方について議論するなど、より社会性を育む機会を設けています。

夢中教室の今後の展望と課題

ー今後の夢中教室での取り組みや、強化していきたい点について教えてください。


辻田:大きな理想として、教育の選択肢を増やし、不登校という言葉のネガティブなイメージを変えていきたいと考えています。私たちは「パラレル登校」という言葉を使っており、子供たちが様々な教育の選択肢を当たり前に選べる社会を目指しています。


現在の1対1の指導には同時に限界も感じています。そこで、新たな取り組みとして「夢中カレッジ」というメタバースを使ったオンラインスクールを始めました。これにより、長時間の学習や同世代との交流、協働の機会を提供しています。


例えば、フェイクニュースの見極め方について子供たち同士で意見を出し合うなど、1対1とは異なる効果が得られています。この事業も両輪で強化していきたいと考えています。


さらに、実際に小中学校の校長先生と連携し、夢中カレッジでの学習を出席認定として扱えるようになっています。これにより、地域の友達との関係性も改善されるなど、子供たちの社会性の向上にも貢献しています。

入会を検討している方へのメッセージ

ー最後に、夢中教室への入会を検討している生徒さんや保護者の方へメッセージをお願いします。


辻田:学校が合わなくて悩んでいる方、子供がゲームやYouTubeばかりしていて心配な方、以前は元気だったのにコミュニケーションが取りづらくなった方など、様々な悩みを抱えている方がいらっしゃると思います。まずは、不登校などの状況で自分を責める必要はありません。


これからの時代、大人の生き方が多様化しているように、子供の学び方も多様化していくべきだと考えています。夢中教室は、そんな多様な選択肢の1つとして、信頼できる大人との出会いやメタバースを使った新しい学びの場を提供しています。


無料の説明会や体験もご用意していますので、選択肢の1つとしてぜひご検討いただければ嬉しいです。子供たちが自分に合った学び方を見つけ、未来を切り開いていけるよう、私たちはこれからも支援を続けていきます。