「そのまま」を大切にする支援 ー 群馬県前橋市から広がるNPO法人麦わら屋の取り組み

「楽しく」を支援の軸に据え、利用者が自分で作業を選択できる場を作り続けてきたNPO法人麦わら屋。手作業による生産活動から食品加工、アート活動まで、多様な活動を展開する中で、新たに前橋市の中心街にカフェをオープンしました。地域社会との接点を増やし、誰もが自然に交流できる場づくりを目指す同法人の取り組みについて、小野氏に話を聞きました。

NPO法人麦わら屋の概要と事業内容

ー麦わら屋ではどのような活動を行っているのでしょうか?

小野氏:麦わら屋は、障害福祉サービス事業所として、就労継続支援B型と生活介護の2つの事業を展開しています。就労支援では、手作業による生産活動や食品加工、草刈り、メダカの繁殖販売、アート活動などを行っています。

一方生活支援では外出支援や軽作業など、利用者一人ひとりのプログラムに合わせた活動を提供しています。

設立の経緯と思い

ー麦わら屋を始められたきっかけについて教えてください。

小野氏:以前から障害のある方の支援の仕事をしていました。しかし施設が人里離れた場所にあることが多かったため、もっと地域の人々と交流できる町中で支援活動を行いたいと考えました。

そこで2014年12月にNPO法人を設立し、2015年5月から前橋市の指定を受けてサービスを開始しました。

麦わら屋ならではの特徴的な取り組み

ー他の福祉サービス事業所と異なる麦わら屋の特徴を教えてください。

小野氏:麦わら屋の大きな特徴は、利用者が自分の興味や適性に合わせて作業を選択できる点です。活動は大きく分けて、軽作業、食品加工、外作業、アート活動があります。特にアート活動では、絵画制作だけでなく、その作品をデザインとして活用し、Tシャツやハンカチの製作、革製品への刺繍、リプリンターでの制作など、多岐にわたる創作活動を展開しています。

また、グループホームはアパート型で、個室と共用スペースを備え、365日体制で支援を行っています。将来的な自立生活を見据えた支援を提供しています。

利用者との関わり方

ー利用者の方々との関わりで大切にしていることは何ですか?

小野氏:麦わら屋では、「楽しく」を重視した支援を心がけています。利用者一人ひとりとの関わりにおいて、言語によるコミュニケーションが難しい方には、表情などの非言語コミュニケーションを大切にし、笑顔で過ごせる環境づくりを心がけています。

活動拠点の展開と地域との関わり

ーどのような場所で活動されているのでしょうか?

小野氏:前橋市高井町の本拠点に加え、近隣に畑やビニールハウス、アートアトリエを設置しています。さらに最近では、より多くの人々との交流を目指して前橋市の中心街にカフェをオープンしました。カフェでは利用者のアート作品の展示販売も行っており、イオンや道の駅、スターバックスなど、様々な場所でも展示活動を実施しています。

今後の展望

ー今後の取り組みについて教えてください。

小野氏:新しくオープンしたカフェを通じて、障害のある方々と地域社会との接点を増やしていきたいと考えています。カフェには障害の有無に関係なく多くの方が来店され、自然な形での交流が生まれています。また、カフェを拠点に街中の清掃活動なども行っており、支援される側だけでなく、地域に貢献できる活動も展開しています。

さらに、カフェの近くにゲストハウスを設置する計画もあり、より多様な人々との交流の機会を創出していきたいと考えています。引きこもりの方など、生きづらさを感じている方々の居場所として機能させていければ幸いです。

入会検討者へのメッセージ

ー入会検討者へのメッセージをお願いします。

小野氏:生きづらさを感じている方や、これから一歩を踏み出そうとしている方の居場所として、私たちの施設を活用していただきたいと思っています。特に新しくオープンしたカフェでは、障害の有無に関係なく多くの方々が交流され、そこから様々な気づきや元気をもらえる機会が生まれています。私たちは、一人ひとりの「そのまま」を大切にした支援を心がけていますので、ぜひ一度、見学にいらしてください。