1996年にイギリスで設立され、28年の歴史を持つNisai British International online school(NISAI)。教科書を使用せず、生徒一人ひとりに合わせたクリエイティブな教育を提供する同校は、オンラインという特性を活かした独自の教育メソッドで注目を集めています。
2018年12月に日本法人を設立して以来、ギフテッド、不登校児童や発達障害を持つ生徒など、多様な教育ニーズに応える新たな選択肢として支持を広げています。今回は同校の竹内氏と井上氏に、ユニークな教育アプローチと今後のビジョンについて詳しくお話を伺いました。
イギリス発、28年の歴史を持つオンラインスクール
ー御校の概要と、どのような生徒さんが対象なのかを教えていただけますでしょうか。
竹内氏:私たちは完全オンラインのイギリスの学校で、対象年齢は7歳(小学2年生)から高校卒業までの子どもたちが中心です。また、大人向けクラスも開講しており、学び直しを希望される方にも対応しています。
イギリスの教育カリキュラムを提供し、イギリスの卒業資格(IGCSE及びAlevel)が取得可能です。
ー授業はどのような形式で行われているのでしょうか?
竹内氏:基本的には夕方5時以降の授業が多いですが、不登校生(ホームスクール生徒)も多く在籍されていますので、11時台からも授業を実施しています。1科目から受講可能で、完全に本校のみで学ぶ生徒は4〜5科目を受講するのが一般的です。
授業は1クラス最大15名で、お互いに顔は見えない仕組みとなっています。これは学習効果を高めるための工夫で、顔出しによる気の散りやすさを防ぎます。実際にNISAIの学習効果が高いことが認められ、ケンブリッジから世界で初めて完全オンラインのインターナショナルスクールとして認定を受けることができました。
生徒同士のコミュニケーションは主にチャットで行われ、常に積極的な参加が促されます。
誰もが輝ける学びの場を目指して
ー御校の特徴やアピールポイントを教えて下さい。
井上氏:私たちの学校の大きな特徴として、公平性を重視している点が挙げられます。通常の学校教育では、ともすればサービス業のように、保護者の方々の期待に応えることに重点が置かれがちです。
しかし、私たちは教師と生徒がともに主体となり、それぞれの役割を明確にすることで、より本質的な学びを実現しています。
特に力を入れているのが、スペシャルエデュケーションニーズへの対応です。実は、NISAIがイギリスで設立された背景には、約30年前の社会的な動きがありました。身体的・心理的な理由で通学が困難な子どもたち、または自身の意思で通学を選択しない子どもたちに、質の高い教育を提供する必要性が認識されたのです。
現在の日本でも、毎年5万人以上不登校生徒が増えています。これは、時代に即した教育システムの必要性を示しています。特に特性を持った生徒たちは、本来であれば誰よりも輝く可能性を持っているにもかかわらず、社会の中で十分に活躍できていない現状があります。
このような課題を解決すべく私たちは、一人ひとりが自分の個性や可能性を見出し、20歳以降の社会人生活でも活躍できるよう、学習面や家庭との連携などのきめ細やかなサポートを行なっています。
独自の教育アプローチと手厚いサポート体制
ー他のインターナショナルスクールとの違いや強みを教えていただけますでしょうか。
井上氏:特にコロナ禍以降、オンラインスクールの数は増えていますが、大きな違いは「サポート」です。単なる授業の提供ではなく、生徒自身の意思、教師の指導力、そして保護者の支援という3つの要素を重視しています。
保護者向けのポータルサイトでは、お子様の学習状況をリアルタイムで確認できます。これは、従来の教室での指導では把握しきれない細かな学習進捗を可視化する仕組みとして機能しています。
竹内氏:また、NISAIは教科書を使用しません。これはCEOの方針で、生徒一人ひとりに合わせたクリエイティブな教育を実現するためです。トップ校への進学を目標とするのではなく、生徒自身の人生を切り開くための能力の育成やスキル習得に焦点を当てているのが特徴です。
充実したコース展開とリーズナブルな料金設定
ーコースや料金体系について教えていただけますでしょうか。
竹内氏:大きく分けて「英語力育成コース」と「インターナショナルカリキュラムコース」の2つがあります。英語力育成コースは年間約10万円からで、英検3級程度の実力がつくCEFR基準に沿ったコースは年間28万円程度です。CEFRコースは世界基準のカリキュラムを採用しており、英検3級~英検1級までの英語力を育成することができます。
インターナショナルカリキュラムコースは、イギリスの教育を受け、卒業資格も取得できる本格的なコースで、どのグレードも年間の授業料は100万円前後となっています。一般的な日本のインターナショナルスクールが年間200-300万円程度であることを考えると、かなりリーズナブルな設定となっています。
未来へのビジョン:13万人の生徒を目指して
ー今後の展望についてお聞かせください。
竹内氏:現在、Nisai全体(イギリスを含む)では3,000人の生徒が在籍しています。アジア全体では500人程度の生徒数ですが、将来的には13万人の生徒数を目指しています。そのために、日本の学校との提携を積極的に進めています。日本の学校内でインターナショナル教育や世界基準の英語教育を受けられる環境を整備することで、教員不足の課題解決にも貢献したいと考えています。
井上:特に注力したいのが、スペシャルエデュケーションニーズ(特別支援教育が必要な生徒)への対応です。社会の中で活躍する機会が与えられていない人が学生時代に自身の能力を発揮できる機会を見つけられることで、社会人になったときにもその経験を生かして自立的に生きていくことができるようになります。
入学検討者へのメッセージ
ー最後に入学を検討されている方へメッセージをお願いします。
竹内氏:不登校の子どもたちも含め、世界への選択肢を広げるために英語教育は必要不可欠です。また国際的な視野や思考力も重要です。英語はコミュニケーションツールの一つですが、多言語を身につけることは多様な視点を持ち、自分と他者を知る大きな足がかりになります。
私たちは、生徒の思い描く未来を実現するための教育を提供します。英語力の育成から海外進学まで、子どもたちの「どんな選択肢も可能にする未来」を一緒に作っていきたいと思います。
井上氏:始めるのに遅すぎることはありません。気づいた時が始め時です。皆さんと一緒に、これからの進路を創っていけることを楽しみにしています。