小学校1年生から二十歳までの子どもたちを対象に、体験型学習を通じて個性を育む「フリースクールのら」。この記事では、ノラを運営する代表の活動背景や、子どもたちへの想い、そして今後の展望について詳しくお話を伺いました。
フリースクールのらの活動内容と対象者について教えてください。
私たちは兵庫県姫路市で「フリースクールのら」を運営しています。対象は小学校1年生から二十歳までで、学校に通っているかどうかに関わらず、学校外の学びを求める子どもたちが通う場所です。主に月曜から金曜の午前10時から午後2時まで開校し、敷地内の畑を使った無農薬野菜の栽培や、収穫した野菜を使った料理と片付けを通じて、体験型学習を行っています。また、それぞれの子どもたちが自分の興味を追求できるオルタナティブスクールでもあります。
現在は小学生と中学生を中心に約8名が通っています。その中には、学校とフリースクールを併用している子どもや、不登校を経験して学校外での学びを選んだ子どもがいます。ほぼ全員が在籍校で出席扱い認定を受けており、保護者の方にも安心して利用いただける環境を整えています。
特に特徴的なのは、学びの内容を子ども自身が決められる点です。畑仕事や料理のほか、自由研究や絵画など、自分の興味に応じた学びを深める時間を設けています。例えば、夏休みにはボランティアで来ている教員の方と一緒に宿題を進めたり、自由研究を行ったりするなど、学校の補完的な役割も果たしています。
この活動を始めた背景やきっかけを教えていただけますか?
きっかけは、私の娘が小学校2年生のときから不登校になったことです。姫路市には当時、小学校低学年の児童が平日昼間に通える居場所が近くにほとんどなく、自分の子どもを通わせられる場所が欲しいと思い活動を始めました。最初は親の会を立ち上げ、その後月1回の居場所活動を始めると、多くの人が集まりました。活動を通じて元気になり、自分の力で次の進路を選ぶ子どもたちの姿を見て、「もっと力を入れてこの活動を広げたい」と思うようになりました。
その後、フルタイムの仕事を辞めてフリースクールの運営に専念することを決意しました。最初は不安もありましたが、子どもたちの成長を目の当たりにする中で、この活動が多くの家庭や子どもたちにとって必要な場であると確信しました。
他にはない強みや特徴を教えてください。
フリースクールのらでは、体験型学習とコーチングを掛け合わせた活動を重視しています。例えば、敷地内の畑を使った農業体験や、地元の自然を活かした学びの場を提供しています。また、地域に根ざした活動として、マルシェへの出店も行っています。これは、企画運営から販売、会計までを子どもたちが主体的に行う取り組みで、お金の流れや経済の仕組みを学ぶ実践的な場となっています。
さらに、フリースクールのオーナーが海外の方を受け入れる農家民宿を経営していることもあり、海外の方との交流を通じた学びも提供しています。これにより、子どもたちは異文化理解や多様性についても自然と学ぶことができます。
子ども達と関わる際、どのようなことを意識されていますか?
コーチングを軸に、子どもたちが自分で話し合いながら決定していくプロセスを大切にしています。私たちから指示を出すのではなく、子どもたち自身が選択肢を考え、主体的に行動する力を育てています。この方針は、子どもたちが自分の興味や得意なことを見つけ、自信を持って行動できるようにするためです。
例えば、農業体験やプログラミング体験を通じて、それぞれの子どもが「好きなこと」に夢中になれる環境を整えています。また、全ての活動において、子どもたち自身が意思決定に関わることで、自然と自分で考える力が養われます。
今後の目標や取り組みたいことについて教えてください。
まずは、より多くの子どもたちを受け入れられるよう、スタッフを増やし、活動の幅を広げていきたいです。現在は主に農業や料理といった体験を中心にしていますが、キャンプや野外活動といった新しい学びのフィールドも増やしていきたいと考えています。また、フリースクールの活動を通じて、地域全体で子どもたちを支える環境を作り上げたいと思っています。
この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
フリースクールに通うことをためらう方もいらっしゃるかもしれませんが、一度話を聞きに来てみるだけでも大丈夫です。子どもたちや保護者が孤立しないよう、いろいろな繋がりを持つことが大切だと思います。ぜひお気軽にお問い合わせください。