「生きていくための力を育む」こどもたちの居場所作りー 設立20周年を迎える「ぴぃすかんぱにぃ」の挑戦

小学生向けキャンプを中心に、こどもたちの成長を支援する「ぴぃすかんぱにぃ」。

参加しやすい価格設定と、参加者から支援者へと成長していく独自の育成システムで、こどもたちの可能性を広げ続けて20年を迎えた「ぴぃすかんぱにぃ」の代表、千葉拓也さんにお話を伺いました。

「生きる力」を育む多世代交流の場

ー 「ぴぃすかんぱにぃ」の基本的な活動内容についてお聞かせください。

千葉さん:主な活動対象は小学生から中高生まで幅広く、それぞれの年代に合わせた関わり方を設けています。

小学生は参加者としてキャンプなどの体験活動に参加し、中高生はボランティアとして活動に関わることで、異なる経験を得られる機会を提供しています。

キャンプを中心に、こども食堂や遊び場づくり、フリースクールの前段階となる活動など、月1回のペースで様々な取り組みを行っています。

また、公民館や教育委員会からの依頼を受け、遊び場作りを実施したり、育生事業の他に放課後児童クラブも開所し、こどもたちに心の安心となる居場所づくりなるよう、活動しています。

居場所との出会いがきっかけに

ー このような活動を始められたきっかけについてお聞かせください。

千葉さん:私自身が中学生の頃、ジュニアリーダーという組織に参加したことが大きなきっかけでした。

そこでは学校では教えてくれないようなことを教えてくれる魅力的な大人たちがいて、先輩たちも生き生きとしていました。

私にとってそれは大切な居場所となり、次第に活動に深く関わるようになっていきました。

20歳で「ぴぃすかんぱにぃ」を立ち上げ、来年度で設立20周年を迎えます。

「こどもだから」で線引きしない関係づくり

ー こどもたちと接する際に大切にされていることはありますか?

千葉さん:私たちが最も大切にしているのは、「こどもだから」という線引きをせず、一人の人間として素直に向き合うことです。

活動には様々な性格のこどもたちが参加しますが、中高生のボランティアスタッフが自然と声をかけ、一緒に遊ぶ中で自然と馴染める環境が作られています。

特徴的なのは、小学生の参加者が中高生のボランティアとなり、さらに大人の運営スタッフへと成長していく流れが自然と生まれていることだと考えています。

「ぴぃすかんぱにぃ」ではこどもたちに、たくさんのモノを見て、知り、人と出会い、心を動かしてほしいと願っています。

それはどんな状況に遭遇しても、自分の好きなことや自分なりの幸せを見つけてもらいたいという想いからです。

誰もが参加できる機会を守り続けて

ー キャンプの参加費が非常に手頃な価格に設定されていますね。

千葉さん:年5、6回開催されるキャンプやお泊まり会に、何度でも参加できるようにしたいという思いから、約10年間、同じ金額を維持し続けています。

母子家庭などで複数のこどもが参加する場合でも、家計に大きな負担とならないよう配慮しています。

物品の購入や維持費などでぎりぎりの運営となりますが、できる限りこどもたちが多くの活動を体験できることを優先しています。

未来への展望

ー 今後の展望についてお聞かせください。

千葉さん:こどものシェルターや自立支援など、新たな支援の形にも取り組んでいきたいと考えています。

そして、私の最終目標は「体験から学べる学校」を作ることです。

困っているこどもたちに手を差し伸べられる活動を続けながら、その実現に向けて歩んでいきたいと思います。

ー 最後に、「ぴぃすかんぱにぃ」の活動に興味を持たれた方へメッセージをお願いします。

千葉さん:私たちは「生きていくための力を学ぶ活動」を掲げています。

学校や家庭では得られない体験、多年齢間のコミュニケーションを通じて学べることは、社会に出た時に大きな力となります。

ぜひ、体験活動の価値を知っていただき、「ぴぃすかんぱにぃ」に限らず、様々な体験活動に参加していただければと思います。