優しい強者を育てる – 福岡市『清松会』の空手教育が目指す真の武道精神

福岡市に根ざす空手道場『清松会(せいしょうかい)』は、単なる武術の指導場ではなく、人間形成の場として20年以上にわたり地域に貢献してきました。山口正芳会長が2002年に創設したこの道場では、4歳から60代までの幅広い年齢層が汗を流しています。フルコンタクト空手の技術指導はもちろんのこと、礼儀作法や美しい立ち振る舞いを重視した独自の教育方針が注目を集めています。「強くあれ」という従来の武道の教えに、「優しくあれ」という現代社会に必要な資質を融合させた『清松会』の取り組みは、多くの親子から支持を得ています。競技としての空手だけでなく、生涯を通じた修行の場として進化を続ける『清松会』の魅力に迫ります。

現代に宿る武士の魂 – フルコンタクト空手の真髄を伝える清松会

ー山口会長、本日はどうぞよろしくお願いいたします!まずは簡単に、どういった方を対象にしている空手教室なのか、そしてどういった指導を行っているのか、『清松会』の概要について教えてください。

山口正芳会長(以下敬称略):『清松会』では、下は4歳から上は大人の方、一般の方、50代、60代の方まで幅広い層で練習をしております。内容としては、実践形式の空手になるので、一般的に言うフルコンタクト空手になっております。当てる空手ですね。競技用の空手ではライトコンタクトという寸で止める空手もありますが、弊道場は直接打撃制のフルコンタクト空手道場になります。

空手から得られる自信と仲間 – 清松会設立の経緯

ー山口会長が『清松会』を立ち上げた経緯やきっかけを教えてください。

山口:私は息子が3人おりまして、私自身が高校時代に空手をやっていたので、子どもたちにも空手を習わせたいなと思いました。当時、2002年にオープンした頃はまだ大人の空手が主流で、子ども向けの空手はそれほど盛んではなかったんです。元々自分がやっていたこともあり、子どもたちに空手を自分が教えようというところで始めたのがきっかけです。

ー山口会長は高校の時から空手をされていたとのことですが、空手の魅力は何だったのでしょうか?

山口:やはり自分に自信がつくというのがありますね。私が中学・高校の頃は、男の子はある程度強くなければいけないという昭和的な価値観がありました。空手をすることによって体力・自信もつきますし、道場仲間という絆も生まれます。当時の仲間は今でも付き合いがあり、スタッフとして道場を手伝ってくれている人もいます。そういった仲間ができることと、自信がつくことが魅力で、子どもたちにも空手をやってもらいたいと思ったんです。

ー空手で培われた精神は、一般企業で働いていた際にも役立ちましたか?

山口:空手で得た ‟地道なことを継続する忍耐力” は本当に役に立ちましたね。集中力とか忍耐力はおこがましいですが、ある方だと思います。スポーツをやっている人間は空手に限らず、社交性だったり協調性があったりして即戦力になれる人材が多いと感じています。

ー昭和の頃は腕っぷしが強いことが男のステータスみたいなところがありましたが(笑)、今はあまりそういう文化はないですよね。それにもかかわらず、お子さんを空手に通わせる親御さんが多くなっているのはなぜでしょうか?

山口:たしかに私たちが子どもの頃のような、表面的に分かるいじめは少なくなっていますが、今はネットでのいじめなど陰湿ないじめも増えています。空手をすることで、嫌なことや駄目なことをはっきりと口に出して言えるようになるんです。空手を始める子は、実はおとなしい子が多いのですが、はっきりと意見を言えるお子さんになってほしいという親御さんの思いがあるのだと感じています。

ー自分の意見をはっきり言うのは勇気が必要ですよね。身体に自信があるとそういった気持ちも培われるのでしょうか?

山口:そうですね。気も体も連動していますからね。

優しさと強さは表裏一体 – 全日本チャンピオンを輩出する清松会の独自哲学

ー空手教室は他にもたくさんありますが、『清松会』の特徴や一番のアピールポイントを教えてください。

山口:空手道場の先生はどうしても見た目がいかつかったり(笑)、空手の先生自身が看板になっていたりする道場が多いと思うんです。ですが、私自身はあくまでもサポート役で、子どもたちが主役という考え方を持っています。自分だけが表に出るのではなく、周りのサポートしてくれている先生方や、お子さん、そして保護者の方々まで皆が主役になれるような、和気あいあいとした空手道場というのが他の道場にはない特徴だと思います。

ー山口会長はとても柔和な方ですが、フルコンタクト系の空手道場の会長というギャップが面白いですね。

山口:そうですね、よく言われます(笑)。私の息子の中で真ん中の子が師範代を務めているのですが、ホームページにも載っていますが、全日本チャンピオンで非常に強いんです。でも、見た目は優しくておとなしそうに見える子です。「一見優しそうだが、実は強い」というのが理想的だと思います。師範代のように、‟優しくて強い”子どもたちになってほしいと思っています。

ーたしかに、優しさと強さの両方を兼ね備えた人はなかなかいませんね。

山口:そうなんです。優しい人はいっぱいいるけれど、‟優しくて強い人” はなかなかいません。どちらかに偏りがちですが、『清松会』には優しくて強い先輩が目の前にいるので、子どもたちの良いお手本になっています。

背筋を伸ばせば心も伸びる – 礼節と立ち振る舞いを重視する清松会流指導法

ー生徒さんに指導する際に、意識していることや方針があれば教えてください。

山口:空手は、楽しい中にも ‟厳しさ” が必要だということです。強くなるための厳しさだけではなく、それ以上に礼儀作法や立ち振る舞いを重視しています。空手は日本の武道なので、姿勢をまっすぐ保つことや、集中するときは口を閉じて目線をまっすぐ向けて先生の話を聞くことなど、基本的な所作を大切にしています。

技ができるようになることももちろん大事ですが、「大きな声で挨拶ができる」「返事を大きな声でする」「美しい立ち振る舞いができる」ことが重要です。例えば、回し蹴りがいくら上手くても、一般社会で回し蹴りをする機会はありませんよね。ですが、美しい立ち振る舞いは社会に出たときに通用するものなんです。そういったところは練習中に意識して子どもたちに伝えるようにしています。

ーたしかに。武道をやっている方は礼儀作法や挨拶がしっかりしていますよね。

山口:今の子どもたちは集中力が続かない子が比較的多く、話を聞いていても手遊びをしてしまったり、帯で遊んだりする子が多いので、そういったことはきちんと注意するようにしています。

週6日通っても月額6000円 – 誰でも始められる清松会のアクセシブルな門戸

ー提供しているプランについて簡単に説明していただけますか?

山口:コースはシンプルに少年クラスと選手クラス、一般クラスしかありません。週に何回通っていただいても会費は一律になっています。

ー幼児クラスと少年クラスと一般クラスで全部6,000円になっていますが、週に何回通ってもいいんですか?

山口:そうです。何回来ても6,000円です。例えば幼児クラスとしていても、お兄ちゃんと一緒に習っている子がいるので、4歳の子でも少年クラスに参加している子もたくさんいます。コースという概念は『清松会』ではそこまで厳密ではなく、選手クラスに関しては試合に出たい子がメインなのですが、試合にあまり出ない子が自己成長のために来てもOKですよ。

生涯武道の理想郷を目指して – 次なるステージへ向かう清松会のビジョン

ー今後強化していきたいことや、新たに取り組みたいことがあれば教えてください。

山口:現在のジュニア空手界では大会参加が中心となる傾向があります。弊道場でも年に一度「清松会杯」を開催していますが、すべての生徒が試合を望んでいるわけではありません。そこで、今後は型稽古にも一層力を入れていきたいと考えています。

現在は主にジュニア層が中心となっていますが、これからはシニア世代にも空手の魅力を広げていきたいですね。必ずしも試合に出場するためだけではなく、生涯を通じて続けられるライフワークとして武道に親しんでいただける道場作りを目指しています。

実際に50歳以上で初めて空手を始める方もいらっしゃいます。そういった方々が若い世代と交流することで新たな生きがいを見出していると感じることも多いです。様々な年代が共に学び、触れ合える場として『清松会』を発展させていきたいと思っています。競技としての一面だけでなく、日本の伝統武道としての奥深さを多くの方に体験していただける道場であり続けたいですね。

一拳入魂 – 清松会 山口会長からの熱いメッセージ

ー最後に、このインタビュー記事を読んで『清松会』に入門を考えている方々へメッセージをお願いします!

山口:『清松会』では「強さ」と「優しさ」の両立を大切にしています。空手を通じて身につく技術は、単に身を守るためだけではなく、困難に立ち向かう勇気や自分に対する自信へとつながります。私たちの道場では、様々な年代の仲間と共に練習することで、思いやりの心や協調性も自然と育まれていきます。

現代社会では、はっきりと自分の意見を言える強さと、相手を尊重できる優しさの両方が必要です。学校教育だけでは得られない貴重な経験を、空手という日本の伝統武道を通して体験していただけると思います。

お子さまに「本物の強さ」を身につけてほしいと願う親御さん、自分自身の可能性を広げたい方、年齢を問わず新しい挑戦をしたい方、どなたでも歓迎いたします。まずは見学や体験入門から始めてみませんか?いつでも道場の扉は開いています。『清松会』で共に汗を流し、心と体を鍛えていきましょう!