一人ひとりの意思を大切にする障がい者支援 – 社会福祉法人大樹会の西村さんにインタビューしました!

社会福祉法人大樹会は、障がいのある方の地域での暮らしを支える福祉サービスを提供しています。

就労継続支援B型や生活介護などのサービスを通じて、利用者一人ひとりの意思決定を大切にしながら、地域社会との繋がりを育んでいます。その取り組みや活動方針について、西村さんにお話を伺いました。

地域に根差した福祉サービスの展開

ー貴団体の概要と、どのような方を対象に活動されているのかを教えてください。

西村:主に18歳以上の障がいをお持ちの方を対象に就労支援と生活面の支援を行っており、現在18年目を迎えました。

元々は障がいのあるお子さんをお持ちの保護者の方々が中心となって立ち上げた法人です。保護者の皆様が年を重ねても、障がいのあるお子様が安心して地域での暮らしを続けていけることを願い、活動を続けています。

多様な就労支援と創造的な活動の展開

ー実際に行っている活動の内容について詳しく教えてください。

西村:就労継続支援B型と生活介護という2つの福祉サービスを実施しています。就労継続支援B型では、うるま市からの委託で公園の草刈りの活動を行なっています。

また、個人宅の敷地や沖縄特有の大きなお墓の周辺清掃、草刈りを請け負う「出張パークマンズ」を実施しています。他にも、焼き菓子の製造販売を行う「おやつのマルベリー」という活動も行っています。

生活介護の分野では「アトリエくわの実」というアート活動を展開しており、利用者の方々の創造性を活かした取り組みを行っています。

意思決定支援を重視した独自のアプローチ

ー他の団体にはない、貴団体ならではの特徴や取り組みについて教えてください。

西村:私たちの法人理念は「想いをかたちにともに歩む未来を創る」です。特に力を入れているのが、障がいのある方々の意思決定支援です。

当法人の利用者の方々はほぼ100%が知的障がいをお持ちで、小さい頃から自分で選択する経験が圧倒的に少ない状況にあります。

しかし、私たちは障がいの程度に関わらず、一人ひとりに自分の意思があると信じています。その意思を引き出すため、様々な経験を提供することを大切にしています。

例えば草刈り活動では、作業を通じて様々な人との関わりを持ち、好きなことや苦手なことを見つけていきます。

菓子製造販売やアート活動においても、自分の意思で生み出したものが対価として認められ、世に出ていく経験を大切にしています。

丁寧な意思確認と将来を見据えた支援

ー利用者の方と接する際に意識していることを教えてください。

西村:知的障がいのある方々は自己決定の経験が少ないため、意思を確認する際は特に慎重に行なっています。

例えば、単純に「〇〇は好きか」と聞くだけでなく、「〇〇と〇〇ならどちらが好きか」と選択肢を用意して選んでもらうなど、本当の気持ちを引き出すための工夫をしています。

就労支援においては、日々の小さな選択を自分の意思で行う経験を積み重ねることで、将来の職業選択や人生設計につながっていくと考えています。

より深い地域との関わりを目指して

ー今後、より強化していきたい取り組みについて教えてください。

西村:草刈りチームは、高いスキルを持つメンバーが多くいます。今後は市からの大規模な受託作業だけでなく、地域の高齢者宅など、個人宅での作業を増やしていきたいと考えています。

おやつ製造販売についても、障がいのある方々が製造から販売まで全て関わる形を大切にしながら、より多くの方々に商品をお届けしていきたいと思います。

これらの活動を通じて、障がいについて知ってもらうのではなく、一人ひとりの人となりを知っていただき、本当の意味での共生社会を築いていきたいと考えています。

ー最後に、この記事をご覧の方へメッセージをお願いします。

西村:私たちの事業所では、草刈り、お菓子作りと販売、アートという活動を展開しています。これらの活動に興味をお持ちの方は、ご本人はもちろんご家族やご兄弟の皆様にも、活動内容がご本人の希望と合っているかどうかを考えていただきたいと思います。

何事も「やらされている」では続きません。私たちの活動を知っていただき、ご本人からの意思表示があることが大切だと考えています。