ふでらぼ -創造力が花ひらく書道教室

「書道=厳しい」という固定観念をくつがえし、自由な表現を楽しめるレッスンを展開する“ふでらぼ”。

オンラインと対面レッスンの両立、幼児からシニアまで幅広く対応する柔軟な指導体制。書を通じて、感性を培い文化を育てる新しい学びの場をご紹介します。

岩手を拠点に、全国どこでも学べる書道教室

ふでらぼは、岩手県を拠点に活動する書道教室です。通学形式のレッスンでは、岩手県内の生徒を中心に指導を行っていますが、それだけにとどまりません。

ZoomやLINEを活用したオンラインレッスンも展開しており、全国どこからでも、通学と同じ内容の授業をリアルタイムで受けることができます。

対象年齢は非常に幅広く、幼稚園の年長さんからご高齢の方まで。年齢や地域を問わず、誰もが気軽に参加できる体制を整えており、オンラインとオフラインの垣根を越えた学びを実現しています。

教室を始めたきっかけは、わが子の一言から

もともと私は中学・高校の書道の先生になるのが夢でした。しかし、大学卒業後は現代アートの世界に飛び込み、西洋文化にも触れる日々を過ごしました。書道とは一旦離れたものの、カルチャーショックを受けながらも表現の幅を広げる貴重な経験になりました。

その後、恩師や母の病気、自身の出産といった人生の転機が重なり、再び書道と向き合う時間が増えていきました。転機の中でも特に大きかったのは、わが子からの「お母さん、私に習字を教えてくれないの?」という一言でした。その言葉が、自分の中のスイッチを押してくれたのです。

我が子に教えているうちに、口コミで生徒が増え、気づけば100人を超える生徒さんが在籍する教室へと成長。現在では、県内だけでなく全国のコンクールで入賞する生徒も多数輩出しています。

「また来たい!」と思える、“楽しい”が中心の書道教室

この教室の最大の特徴は、「楽しい書道」であることです。書道というと、厳格で形式ばったイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、ふでらぼではまず第一に“楽しさ”を大切にしています。

生徒たちが「また来たい!」「来週が楽しみ!」と思えるような雰囲気づくりを心がけています。楽しさがベースにあることで、自然と集中力や技術が身についていく。

堅苦しいルールではなく、のびのびとした空気の中で、自分のペースで書と向き合える時間を提供しています。

表現力と感性を育てる独自プログラム

ふでらぼでは、美しい文字を書くことだけをゴールとはしていません。生徒一人ひとりの中にある“表現する力”を引き出すことを重視しています。そのために、従来の書道の枠を超えた独自のプログラムを導入しています。

たとえば、文字の背景にある歴史や由来を学んだり、古典の文学的な要素に触れたりと、書を通して日本文化を深く味わうことができるように工夫されています。

創作作品の発表の場も設けており、自分の感性を形にする喜びを味わえる機会が豊富です。

生徒たちは、書を通して“美しさ”や“正しさ”だけでなく、“自分らしさ”や“表現の自由”を自然と学び取っています。

指導で大切にしていること――小さな「できた」を見逃さない

指導するうえで何よりも大切にしているのは、教える側がまず楽しむこと。そして、生徒の小さな変化を見逃さずに受け止める姿勢です。

「前回はできなかったことが、今回はできたね」といった小さな成功体験を見つけてあげることで、生徒たちの自己肯定感が大きく育ちます。もちろん大きな成果も大切ですが、その背景にはこうした地道な積み重ねがあります。

生徒一人ひとりの成長をしっかり見守り、細やかに声をかけていくこと。それが、生徒たちの「もっとやってみたい!」という意欲につながっているのだと感じています。

生徒の“自発性”が育つ瞬間に、喜びがある

特に印象的だったのは、集中力が続かなかった生徒が、「先生、もう1枚書いてもいい?」と自分から言ってくれた瞬間です。

「ここを直せばもっとよくなると思う」と自分で気づき、納得いくまで取り組む姿勢が見られるようになったとき、指導者としてのやりがいを強く感じます。

誰かに言われたからではなく、自分で目標を見つけ、自発的に取り組めるようになる。それこそが本当の意味での“学び”であり、その成長をそばで見届けられるのは大きな喜びです。

書道人口を増やすために。今後の展望

これからの時代、少子高齢化やデジタル化の加速により、手書き文化の存在感はますます薄れていくかもしれません。だからこそ、私は「書く」という行為の大切さを改めて伝えていきたいと考えています。

InstagramなどSNSを通じた情報発信を強化し、書道に対するハードルを下げると同時に、発表の場も増やしていきたいと思っています。また、近い将来的にはフランチャイズ型の教室展開にも取り組みたいと考えています。

書道教室はこれまで「先生が1人で教室を立ち上げる」というスタイルが主流でしたが、ふでらぼではもっと柔軟で持続可能な形を目指します。

先生たちが人数集めや経営のプレッシャーに悩まず、本当に“教える”ことに集中できる環境をつくっていきたいのです。

まずは「書く」ことを楽しんでみてください

書道を始めるにあたって、特別なスキルや知識は必要ありません。まずは「書くって面白いかも」と思えたら、それが第一歩です。私たちの生活の中には、実はたくさんの“書”があふれています。

お菓子のパッケージや商品のロゴ、看板の文字など、よく見ると筆文字が使われているものも多いのです。

書道に触れてみることで、日本文化の豊かさや言葉の奥深さを感じることができます。そして、何度失敗しても大丈夫。紙をくしゃくしゃにしてもまたもう1枚書く。それも立派な学びのプロセスです。

誰でも最初は初心者。まずは一歩踏み出してみて、自分自身の中にある“創造力の花”を咲かせてみませんか?