「学校だけが全てじゃない」―不登校の子どもたちの居場所づくりに取り組む”しののめフリースクール”-代表の中村さんにインタビューしました!

「不登校」の子どもたちにとって、学校以外の居場所がある―。そんな当たり前のようで、実は長年見過ごされてきた視点に立ち、令和元年に設立されたのが「しののめフリースクール」です。

代表である中村さんは、30年前に弟の不登校を経験。当時はフリースクールという選択肢すらない時代でした。その経験から、大阪のサポート校での勤務を経て、より専門的な支援を目指し大学院で不登校支援を研究。その知見を活かし、鹿児島で独自の支援モデルを築き上げてきました。

臨床心理士の資格を持つ支援員による心のケア、子どもたち一人一人の状態に合わせた柔軟な対応、そして何より「学校だけが全てではない」という明確な理念。本インタビューでは、不登校の子どもたちとその家族に寄り添い続けるしののめフリースクールの取り組みについて、代表の中村さんに詳しく伺いました。

しののめフリースクールの概要と支援内容

ーしののめフリースクールの概要とサービス内容についてお聞かせください。

中村:しののめフリースクールは、学校に行きづらい子供たちを受け入れているスクールです。小中学生が対象で、人間関係で躓いて行きづらくなった子や、大人数が苦手で学校の強制的な雰囲気に馴染めない子など、様々な理由で現在登校が難しい状況にある子供たちをサポートしています。

臨床心理士の資格を持つ支援員が中心となり、心のケアを重視した関わりを行っていることも一つの特徴です。子供たち一人一人の状態に合わせて、どういう環境であれば過ごしやすいのかを丁寧に見極めながら支援を行っています。

また、活動の自由度を高く設定している点も当スクールの強みです。

午前中は好きな教科の学習時間、午後は総合芸術の時間など、大まかな時間割はありますが、その日の子供たちの状態や気持ちを重視し、強制的な一斉指導は行っていません。

柔軟な運営体制と出席の取り扱い

ー運営体制について具体的に教えてください。

中村:開校時間は10時から17時までとしていますが、これも子供たちへの配慮から考えられた体制です。早朝からの開始は避け、子供たちの体調に合わせて柔軟に対応できるようにしています。最近では、火曜日と木曜日も開校し、安定して通えるようになった子供たちには受験対策などの学習支援も行っています。

在籍校からは100%出席扱いとして認められており、これは私たちの活動が教育支援として評価されている証だと考えています。

フリースクール設立の経緯と想い

ーフリースクール設立のきっかけをお聞かせください。

中村:令和元年にしののめフリースクールを立ち上げましたが、その前は大阪のサポート校で3-4年ほど働いていました。設立のきっかけは、大学生時代に高校生だった弟が不登校になった経験です。30年ほど前のことですが、当時はフリースクールのような居場所がほとんどありませんでした。

大阪のサポート校で働く中で、発達障害を持つ子供たちへの対応など、より専門的な知識の必要性を感じ、大学院で不登校支援の研究を行いました。当時関わっていた中高生たちにインタビューを行い、どんなサポートが必要とされているのかを研究し、その知見を活かして現在のフリースクールを作り上げました。

支援における重要な視点

ーお子さんたちと接する際に意識されていることはありますか?

中村:子供たちの多くは、人との距離感の取り方に悩みを抱えています。人との関わりを求めながらも、どう接すればいいのか分からない。そんな思春期特有の微妙な心境に寄り添いながら、支援員が橋渡し役となって関係性を育んでいます。

子供同士の関係が築けてきたら、徐々に支援員は手を引いていき、自主的な関係性の構築を見守ります。また、その子の得意分野や興味のあることを積極的に聞き出し、それを活かした支援を心がけています。

今後の展望と新たな取り組み

ー今後の展望についてお聞かせください。

中村:来年度からは通信制高校のサポート校として「さくら国際高校」を開校する予定です。これは、小中学生の支援で培った経験を活かし、高校生の支援も行っていきたいという思いからです。

興味深い取り組みとして、支援を受けていた高校生が今度は支援する側に回るというケースも出てきています。将来的には、支援を受けていた子供たちが支援者として戻ってくるような循環を作っていければと考えています。

また、高校生向けのキャリア教育として、地域の職業人へのインタビューなど、具体的なプログラムも計画しています。これらの活動には小中学生も参加できるようにし、幅広い年齢層での学び合いを促進していきたいと思います。

不登校の子供たちとその家族へのメッセージ

ーしののめフリースクールを検討されている方へメッセージをお願いします。

中村:学校に行けないことへの罪悪感を抱える子供たちが多くいますが、学校だけが全てではありません。心身の状態に合わせて、無理なく自分のペースで過ごせる場所を見つけることが大切です。今は外出が難しい状況でも、その時の自分の状態を大切にしながら、一歩ずつ前に進んでいけばいいのです。

フリースクールという選択肢があることを知っていただき、必要な時には気軽に見学に来ていただければと思います。子供たちが自分らしく過ごせる場所として、これからも支援を続けていきたいと考えています。

お子様も保護者様も周りに話しづらい環境があるかもしれませんが、どんな些細な相談でも構いませんので、お気軽にご連絡ください。