2018年の開設以来、日立と城里の2拠点で就労支援を行う障がい者就労支援センターSMILON。障がいをお持ちの方の「働きたい」という願いに、きめ細やかなサポートで応えています。「笑顔」を大切にした支援の現場で、どのような取り組みが行われているのでしょうか。今回は運営する大畑さんにインタビューしました!
事業概要
ー障がい者就労支援センターSMILONの事業概要について教えていただけますか?
大畑さん:障がい者就労支援センターSMILONの対象者は主に身体障害、精神障害、知的障害をお持ちの方々です。
作業内容としては、関連会社であるプラスチック工場と連携し、日立製品などの電気部品の成形品の検品、仕上げ、組み立てなどの軽作業を行っています。
設立の経緯
ー事業を始められたきっかけについて教えていただけますか?
大畑さん:夫が経営するプラスチック加工工場に障害者施設が内職の仕事を求めて来られていた中で、就労移行支援施設として就職を目指していましたが、なかなか就職に結びつかないのが現状のようでした。
そこで私たちの工場でも障害者の方を採用していた経験があったため一連の就労支援の流れを作れるのではないかと考え、6年前の2018年8月に1か所目を開設。その4年後に2か所目も開設しています。
施設の特徴と支援体制
ー施設名の「SMILON」には、どのような思いが込められているのでしょうか?
大畑さん:引きこもりの方など、外に出ることが難しい方々が多くいらっしゃいます。そういった方々が少しでも外に出るきっかけを作り、他の皆さんとコミュニケーションを取りながら毎日笑顔で過ごせる施設になってほしいという思いがこのSMILONには込められています。
城里施設では、希望される利用者さんは、関連会社へ出向き、実際の現場で従業員の方々と一緒にお仕事をすることも可能です。
*日立製品のほか、大手レジャーメーカー様との繋がりもあるため、仕事が途切れることがありません。
ー具体的な作業内容や時間帯について教えていただけますか?
大畑さん:日立と城里の施設では就労移行支援とB型事業所としてのお仕事を提供しており、利用者様の体調や気持ちに合わせて、午前2時間、午後2時間程度の作業時間を設定しています。
室内での検査作業が中心ですが、連携している農家さんのところでの施設外就労も行っています。また、送迎サービスも完備しており、希望者には温かい昼食も提供しています。
SMILONの特色と強み
ー御社の特徴やアピールポイントを教えていただけますか?
大畑さん:日立施設の大きな特徴は、成形工場が隣接していることです。工場で作られた製品をすぐに隣の作業室に運び込めるという、他にはない新しい形態を実現しています。
また施設内には複数の作業室を設けており、特に人との関わりに不安を感じる方でも、最初は別室から作業をスタートし、徐々に他の利用者の方々と交流を深めていけるような環境を整えています。実際に、穏やかな雰囲気と居心地の良さを評価していただいており、長期に渡って通所される方も多くいらっしゃいます。
利用開始の流れとしては、まずは見学にお越しいただき、施設の説明と作業内容の紹介をさせていただきます。その後、ご希望があれば数回の体験期間を設け、ご自身に合っているかどうかを確認していただいた上で、本登録という形を取っています。
利用者に寄り添った支援のポイント
ー利用者の方と接する際に意識されているポイントを教えていただけますか?
大畑さん:私たちは福祉の専門家としてではなく、全くの素人として事業をスタートさせました。そのため、当初は試行錯誤の連続で、時には適切でない言葉を使ってしまうこともありました。
しかしそういった経験を通じて学んだことは、一人ひとりの状況に合わせた柔軟な対応の重要性です。例えば、利用者の方々は体調や気持ちによって作業可能な時間が異なりますので、週2回だけの通所や午前中のみの作業など、個々の状況に応じて柔軟に対応しています。
スタッフは日々利用者の方々と直接関わる中で、一人ひとりのペースを尊重しながら、少しずつ通所時間を延ばせるよう励まし、声かけを行っています。また、作業を通じて達成感を得ていただけるよう、個々の能力に合わせた作業内容の提供も心がけています。このような細やかな配慮と支援により、最初は短時間の通所だった方が、徐々に長時間の作業が可能になるなど、着実な成長を実感できています。
支援の成果と今後の展望
ー利用者の方々の変化について教えていただけますか?
大畑さん:最初は週1回の午前中しか来られなかった方が毎日通えるようになったケースや、5年以上継続して通所されている方もいらっしゃいます。中には、生活保護を受給されていた方が、徐々に力をつけて前向きになり、夫の会社に就職されて今では欠かせない存在となっている方もいます。
ー今後の展望についてお聞かせください。
大畑さん:今後は利用者の方々がより一層社会と関われるような支援を目指しています。
また就職を希望される方については、関連会社への就職実績もあることから、そういった流れをしっかりと確立していきたいと考えています。
利用を検討されている方へのメッセージ
ー利用を検討されている方に向けたメッセージをお願いします
大畑さん:当施設では主に精神障害をお持ちの方が多く通所されていますが、特に人との接触を避けたい方は最初は別室からスタートして少しずつ外の世界や人に慣れていただくことができます。
また作業を通じて自分が検品した製品が実際に店頭に並んでいるのを見たときの喜びや、それに対して給与をいただける喜びを知っていただけますと幸いです。最初は作業をせず、外に出るきっかけとして気軽に施設を利用していただければと思います。穏やかな雰囲気の施設ですので、ご家族の方も含めて安心してご相談ください。