競技成績だけでなく、スポーツを楽しみ、生涯にわたって続けることができる基礎作りを目指す「認定NPO法人スポーツアカデミー」。
小中学生を中心に300名以上が活動する同アカデミーの取り組みと、子どもたちの居場所づくりについて、理事長の大場弘樹氏にお話を伺いました。
競技にとらわれない、新しい地域スポーツの形
ー まずは教室の概要について教えていただけますでしょうか?
大場氏:当アカデミーでは、スポーツ活動と子どもたちの居場所づくりの2つの軸で活動を展開しています。
スポーツ活動では、旭市とその周辺地域から約300名の小中学生が在籍し、サッカー、バレーボール、陸上、体操といった種目を提供しています。
2023年からは子ども食堂を開設し、火曜日、水曜日、金曜日に学習支援も実施。
約50名の児童が登録しており、地元の学生たちの協力を得ながら、学校の課題サポートなどを行っています。
子ども食堂を含む居場所づくり事業は全て無料で提供し、スポーツ活動の月会費(平均5,000円)を運営費に充てる形で持続可能な運営を実現しています。
元生徒が指導者に、世代を超えた人材育成の好循環
ー 設立からこれまでの経緯について教えていただけますでしょうか?
大場氏:2004年にNPO法人格を取得し、2005年から活動を開始しました。
きっかけは文部科学省が推進していた「平成20年までに各市町村で1つの総合型地域スポーツクラブを設立する」という施策でした。
当時は教員をしていましたが、研修等を通じてスポーツクラブの運営に興味を持ち、教員を退職してこちらに専念することを決意しました。
当アカデミーの特徴的な点は、指導者の平均年齢の若さです。
スタート時は私の教え子たちが中心となり、現在も高校生や大学生が指導者の資格を取得しながら子どもたちの指導にあたっています。
彼らの多くは20代半ばで就職していきますが、中にはアカデミーに就職する者もいます。
このように、元会員が指導者として戻ってくる好循環が生まれているのが私たちの強みです。
生涯スポーツの視点から、子どもたちの可能性を広げる
ー 教室としてのアピールポイントをお聞かせください。
大場氏:大会での成績や結果にこだわるのではなく、基礎体力作りや継続的なスポーツ活動を重視しています。
例えばサッカーでは、チーム活動に加えて、技術向上を目的としたスクールや、週1回楽しくサッカーを行うプライマリーコースなど、多様な参加形態を用意しています。
特に今後、部活動の地域移行が進む中で、このような柔軟な受け皿が必要になってくると考えています。
私自身、ドイツ留学の経験から、1つの種目に限定せず複数のスポーツを楽しむ文化の重要性を感じています。
部活動として本格的に取り組みたい生徒もいれば、気軽に体を動かしたい生徒もいます。
そうした多様なニーズに応えられる環境づくりを目指しています。
次の20年に向けて、新たな居場所づくりへ
ー 今後の展望についてお聞かせください。
大場氏:2025年7月で設立から丸20年を迎えるにあたり、クラブハウスの環境整備を計画しています。
単なる事務所やトレーニング施設としてだけでなく、子どもたちが安心して過ごせる居場所としての機能を強化したいと考えています。
指導者がお茶を飲みながらミーティングできるスペースや、子どもたちの隠れ家のような空間など、より快適な環境づくりを進めていく予定です。
ー 最後に、入会を考えている方へメッセージをお願いします。
大場氏:スポーツを通じた人と人とのつながりを大切にしています。
競技としてのスポーツだけでなく、友達作りや地域との交流の場としても活用していただければと思います。
子どもから大人まで、スポーツを介して新しいつながりを見つけ、継続的に活動できる場を提供していきたいと考えています。