「寺子屋のようなプログラミングスクール」を目指して ー Stapa Programmer’s Guild土居氏が語る新しい教育の形

近年、プログラミング教育の重要性が高まる中、従来の教育現場では対応しきれない課題が浮き彫りになっています。画一的な指導方法や、個々の興味関心に寄り添えない環境など、子どもたちの潜在的な可能性を十分に引き出せていないのが現状です。

そんな中、高知県で注目を集めているのが、独自の教育アプローチで子どもたちの可能性を広げる「Stapa Programmer’s Guild」(スタパ!プログラマーズギルド)です。このスクールでは、プログラミング教育を単なるスキル習得の場としてではなく、子どもたち一人ひとりの個性を育む場として位置づけています。

今回は同スクールを主宰する土居氏に、教育に対する想いや独自の指導方法について詳しくお話を伺いました。少人数制にこだわり、生徒との対話を重視する同氏の語る言葉からは、子どもたちの未来を真摯に考える姿勢が随所に感じられます。

少人数制で実現する、一人ひとりに寄り添う学びの場

ースクールの概要について詳しく教えてください。

土居:現在、Stapa Programmer’s Guild(スタパ!プログラマーズギルド)という名前で、小学生から高校生までを対象としたプログラミングスクールを運営しています。特徴的なのは、生徒それぞれが自由に楽しみながら自らのプロジェクトを考え出し、そのプロジェクトに沿って学びを進めていくというスタイルです。1コマあたり最大4人という少人数制で、一人ひとりと対話しながら進めていきます。

この少人数制にこだわる理由は、プログラミング学習において、個々の興味や理解度に合わせた柔軟な指導が不可欠だからです。生徒たちは自作PCの製作からVR映像制作まで、実に多様なプロジェクトに取り組んでいます。

「やりたい」から始まる学びのカタチ

ープログラミングに興味を持つきっかけは生徒さんによってさまざまだと思いますが、どのような方が多いのでしょうか?

土居:実はプログラミングという言葉自体に興味を持って来られる方はほとんどいません。パソコンが好きだからという方や、YouTubeで見て興味を持った方が一定数いらっしゃいます。また、学校や塾での学習に上手くついていけないお子さんの親御さんから相談を受けることも多いです。

私たちのスクールでは、その子の「やりたい」という気持ちを大切にしています。最初は「パソコンだったら楽しいかも」という軽い気持ちで来られることが多いのですが、活動を通じて自分の得意分野や興味関心を見つけ出していきます。そこから自然とプロジェクトが生まれ、学びが深まっていくんです。

例えば、当スクールではプロジェクトを「クエスト」と呼んでいます。これは単なる課題ではなく、生徒自身が立案し、実行する「仕事」として位置づけています。プロジェクトを通じて、計画性や他者とのコミュニケーション能力など、将来社会に出てから必要となるスキルも自然と身についていきます。

真の学びを育む「対話」の力

ー生徒さんとの関係性づくりで大切にされていることはありますか?

土居:対話をとても大切にしています。ただし、上から目線で「ここができた」「ここがわかった」といった評価的な対話ではありません。まるで友達同士のような、対等な立場での会話を心がけています。

時には、学校や家庭では相談しづらい悩みを打ち明けてくれる生徲もいます。まさに寺子屋のような、子どもたちにとっての第三の居場所となることを目指しています。生徒一人ひとりの言葉の中に、その子がどれだけ考えたのかが垣間見える瞬間があり、そういった真摯な対話を通じて、子どもたち自身が自分の可能性に気づいていくのです。

私たちが重視しているのは、生徒との「対等な対話」です。日常的な会話から始まり、徐々に興味のある分野や将来の夢など、より深い話題へと発展していきます。この過程で、生徒たちは自分の考えを整理し、表現する力を養っていきます。

新しい選択肢を提供する使命

ースクールを始められたきっかけを教えてください。

土居:私自身、子どもの頃からパソコンに興味がありましたが、経済的な理由で思うように学ぶことができませんでした。また、教えてくれる大人も周りにいませんでした。地方では選択肢が限られているという現実を強く感じていました。

都会での生活を経験した後、高知に戻ってきた時に、この状況をより一層強く感じました。そこで、私のパソコンの知識を活かして、子どもたちに新しい選択肢を提供したいと考えたのです。単にパソコンスキルを教えるだけでなく、子どもたち自身が様々な選択肢を見つけ出し、自分で選択できる力を育むことを目指しています。

私たちのアプローチは、生徒自身が「自分はこういう人間だ」と気づき、それを言葉にできるようになることを重視しています。これは今後の社会でますます重要になってくる自己認識と表現力の基礎となります。

充実したコース設計

ースクールのコース構成について教えてください。

土居:大きく分けて、ベーシックコースとアドバンスコースの2つを用意しています。ベーシックコースは、パソコンに触れた経験が少ない子どもたちや、まだ得意でない子どもたちのために設計されています。Scratchなどの初心者向けツールを使用しながら、物作りの楽しさを体験してもらいます。

一方、アドバンスコースではより専門的な内容に踏み込みます。Nintendo Switchのようなゲーム開発やVR映像の制作など、より高度なプロジェクトに挑戦します。これらのコースは固定的なものではなく、生徒の興味や進度に応じて柔軟に対応しています。

オンライン教育の可能性を追求

ー今後の展開についてお聞かせください。

土居:全国的に不登校が増加し、家庭学習に悩まれるご家庭が増えています。そういった方々の受け皿となれるよう、オンラインレッスンの強化を考えています。コロナ禍でオンラインレッスンの需要が高まりましたが、今なお全国には「どのように学習を進めていけばよいのか」という悩みを抱える方が多くいらっしゃいます。

プログラミング学習をツールとしながら、オンライン空間においても子どもたちの居場所となれるような第三の場所を作っていきたいと考えています。オンラインだからこそできる新しい形の交流や学びの方法を模索していきたいと思います。

未来を創る第一歩に

ー最後に、入会を検討されている方へメッセージをお願いします。

土居:まずは何も持たずに気軽に来ていただければと思います。YouTubeで見たことや本で読んだことなど、どんなきっかけでも構いません。特に悩んでいらっしゃる生徒さんは、ぜひ無料体験にお越しください。

私たちは、従来の学習塾のように全員が前を向いて机に向かうような画一的な指導は行っていません。体験を通じて、お子さま一人ひとりに合った学び方を一緒に考えていければと思います。

最も大切なのは、子どもたち自身が自分の可能性に気づき、それを伸ばしていける環境を整えることです。プログラミングはあくまでもツールであり、その先にある子どもたちの豊かな未来が私たちの本当の目標なのです。