中学校の音楽教師としての経験と、ドイツでの音楽教育の経験を生かし、生徒さんに寄り添う指導を行う、田中詩織ピアノ教室。
一人ひとりの個性に合わせた丁寧な指導と、ピアノを通じて広がる可能性について、お話を伺いました。
幅広い年齢層が学ぶアットホームなピアノ教室

ーどういった方を対象にどのようなレッスンをされていますか?
田中さん:こちらの教室には一番小さいお子さんで年中さんから大人の方に通っていただいています。
先月までは別のところでレッスンしていたのですが、今は新しい自宅で教室を構えています。
平日は学校で音楽の先生をしていますので、基本的には土日と夕方のみレッスンです。
学校での指導で培った、それぞれの進度に合わせた教材の提示の仕方であったり、学習進度に合わせたレッスンを提供するよう意識しています。
ドイツでの経験から生まれた教室設立の想い
ー教室自体を始められたきっかけや背景について教えてください。
田中さん:私は元々東京の音楽大学を卒業して、その後、ドイツに3年間渡り、ピアノができる前の時代の楽器を専門に勉強しました。
その傍らドイツで小さい子どもたちにピアノの指導を行う中で、自分が日本で受けた音楽教育との差をすごく感じました。
具体的に言うと、日本のピアノのレッスンっていわゆるお教室と言われたすごくかしこまった場所で、先生に言われたことを子供たちが聞いてレッスンを受けることが主流だと思うのですが、ドイツの子供たちはすごく自己主張が多様で、先生が言ったことに対して「自分は違うと思う」と言えたり、「こういうことがしたい」ということをすごく積極的に自分から表現する気持ちが芽生えていました。
これはすごく素晴らしいことだなと思い、そうやって気軽に「ノー」と言える教師との対等性から私も色々な気付きがあったのです。
そして、日本に帰ったら、いずれピアノ教室を自分で開校したいと思っていたので、そういったドイツでの経験を持って今もレッスンしているところです。
一人ひとりに合わせたオーダーメイドのレッスン

ー教室の特徴やアピールポイントについてお聞かせください。
田中さん:アピールポイントというか、私が大事にしていることなのですが、一人ひとりの特性であったり、興味関心が様々なので、お子さん一人ひとりと向き合って、教材や進度、それから私のレッスンの仕方も、そのお子さんに合ったものを一緒に考えるようにしています。
基本的に親御さんも一緒に付き添ってレッスンに来ていただくので、お母様やお父様と対話しながら、この子にはどういう接し方、あるいは課題の与え方がいいのかというのを一緒に考えながら進めています。
ーレッスンされる際に大切にしていることや、意識していることはありますか?
田中さん:常に生徒さん、子供さん自身に考えていただくようにしています。
例えば、分かり切った答えが1つあるとして、こういう風にクレッシェンドして大きくしていって膨らませて音楽作りするけれど、なんでそのようにする必要があるのかというのは、やはりご自身で気づいてほしいわけです。
私が「こうしなさい」ではなくて、「こうしたらどうだろう、ああしたらどうだろう」というのを色々な実験を重ねていって、その上で体験的に「この方が美しい」とか、いろんな音楽学の勉強から理論的に「だからこういう風に美しく聞こえるんだ」というのを生徒さん自身に感じてもらえたらと考えています。
そして、納得して次へ繋げていくということを大切にしています。
学校教育とピアノ教室、二つの場で広がる音楽の可能性
ー学校の生徒さんに音楽を指導する時とピアノ教室で生徒さんにレッスンする時に大きな違いを感じることはありますか?
田中さん:そうですね、基本的に学校の先生に対してあまり意見をするということが、特に日本の中学校、高校はあまりないと思います。
音楽が好きな生徒に関して言いますと、例えば他の教科への興味、例えば言語だったり、数学だったり、そういうことと繋ぎ合わせて、音楽への興味がさらに高まるように授業しています。
ピアノのレッスンの時は、ピアノ音楽に興味があってきている子どもさんたちですので、ピアノからいかにその外の歴史や数学などに派生していくかというのを大事にしています。
みんながみんな音楽家になるわけではないので、音楽だけに固執しないで、そこからどういう風に今後の将来繋げていけるだろうか、思考力とか感受性がどういう風に育っていくかな、橋渡しができるかなということを考えて指導しています。
個人レッスンで年齢に合わせた丁寧な指導

ー実際に教室で提供されているコースについて教えてください。
田中さん:基本的に個人レッスン、小学生までは1回のレッスンが30分、大人の方は少し長めの45分から1時間でレッスンしています。
ー今後、新たに取り組んでみたいと考えていることはありますか?
田中さん:今後生徒さんが増えていったら、色々な演奏会の形式を取り入れたいなと思っています。
今は小規模な場所を借りて発表会をやってるのですが、いずれは大きいところで、生徒さん同士がアンサンブルしたり、ピアノに関わらず、バイオリンや歌、色んな楽器ができるお友達を呼んだりして、一緒にアンサンブルする機会を作りたいなと思っています。
ピアノから広がる豊かな人生への可能性
ー最後に入会を考えていらっしゃる方に、メッセージをお願いできますでしょうか?
田中さん:私自身がピアノを始めた時は幼稚園の年中の時だったのですが、どちらかというと自然科学や文学に興味がある子どもでした。
でも音楽を勉強していくにつれて、人の営みとか、人の心の根幹の部分って全部繋がっているんだなということをすごく子供ながらに体感して、音楽をやっていくことは人生を豊かにすることなんだなということを実感しました。
それが小学校、中学校で勉強して、色んな知識が増えていくと、そこが点と点が線で繋がっていく感じがしました。
ピアノが上手くなりたいとか、色々な曲を弾けるようになりたいという目標ももちろん大事ですが、きっと保護者の方はピアノから何かを得て、お子さんに色んな体験をさせてあげたいということも考えていらっしゃると思います。
ぜひ、ピアノ教室を一つの門として、そこから色んな人生の可能性を広げていくチャンスと思って、ぜひピアノを始めていただきたいなと思います。
私も一昨年子供が生まれまして、保護者の方がお子さんを預けてくださってることへの感謝の気持ちや、生徒さんお一人おひとりが保護者の方の愛を一身に受けて大切に育ててこられたということを実感するようになりました。
音楽だけではなく、その先を見据えて、生徒さんの心をどのように成長に繋げていけるかということも一緒に考えていきたいなと思っています。