自信は「楽しい!」から生まれる——TRINITYSTARS CHEERLEADING CLUBの挑戦

園児から小学生まで幅広く受け入れる地域密着型チアクラブ 

現在は東京都墨田区を拠点に、園児から小学生を中心としたクラブチームとしてチアリーディングを教えています。対象は3歳から12歳くらいまでですがそれ以外でもやりたい子は一緒に活動することもあります。

年齢で区切るというよりも、本人の「やりたい」という気持ちを尊重して、柔軟に対応しています。 

活動エリアとしては、墨田区を中心に近隣の地域からも参加者が集まっており、地域に根ざした活動を行っています。定期的な練習だけでなく、発表会や地域イベントへの参加などを通じて、地域とのつながりも大切にしています。

教室の立ち上げは保護者と子どもの声から 

もともと勤めていた幼児教室では、英語、造形、ピアノといったクラスがあり、その中の1つとしてチアを教えていました。その教室が終了する際に「続けたい」という保護者や子どもたちの声が多く、チアクラスを引き継いで活動を継続しています。

チアリーディングは、ダンスや運動能力だけでなく、仲間と協力することの大切さや達成感、自己肯定感を育てることができる競技です。そうした魅力を伝え続けたいと思い、現在のクラブチーム の形へと移行しました。 

教育のバックグラウンドとチアとの出会い 

もともと子どもが好きで、大学も教育学科でした。教員免許も取得していましたが、卒業後は一般企業に就職しました。

ただ、心のどこかで「子どもと関わる仕事をしたい」という気持ちはずっと残っていて、そんなときに大学時代にチアリーディングを指導してくれていたコーチからキッズチアコーチの募集案内があることを聞き、そこから再び教育の道へ戻ることになりました。 

実は私自身、子どもの頃は人前に出るのが苦手で、「女の子らしいもの」も避けがちでした。でも、チアに出会ってからは、運動することの楽しさや、人と一緒に何かを作り上げる喜びを知り、 自分が変わっていく感覚を覚えました。

その経験があったからこそ、今は自分と同じように「ちょっ と苦手かも」と思っている子どもたちにも、自信をつけてもらいたいという思いがあります。 

みんなが楽しく成長できるチームを目指して 

クラブの強みは、自由で柔軟なスタイルです。

チアというと、英語の曲や特定の構成で演技するイメージがありますが、私たちは子どもたちの好きな曲を使って、まずは「楽しい!」と思えるところから始めてもらっています。 

たとえば、最近だと園児さんにはプリキュア、小学生にはミセスグリーンアップルの曲を取り入れたりと、その時々の子どもたちの興味に合わせて曲選びをしています。

そうすることで、初めての子どもたちでも入りやすく、自然と続けたくなるような環境作りを心がけています。

また、固定のクラスだけでなく、自由参加型のクラスも設けています。決まった曜日に来られない子や、まずは一度体験してみたいという子も気軽に参加できるようにしています。

初心者や運動が苦手な子でも、楽しく身体を動かせる時間になるように配慮しています。 

声かけを大切に、自己表現のサポートを 

指導で大切にしているのは、子どもたちの気持ちや意思を言葉にしてもらうことです。「どう思った?」「なんでそうしたの?」といった問いかけを通して、自分の気持ちを整理し、伝えられるように意識しています。 

現在も保育園での勤務をしており、現場では「こちらはこうしてほしかったよ」「あなたはこうしたかったの?」と、主軸をはっきりさせながら対話することを学びました。その方が子どもたちに伝わりやすいと。

併せて子どもたちの発達段階や特性を理解しながら、適切な声かけをするように心がけています。言葉にする力が育つことで、自分への信頼や自信にもつながり、 それが演技や人間関係にも影響してきます。 

また、練習中には子どもたち同士で話し合う機会も大切にしています。誰かの意見を聞いたり、 自分の考えを伝えたりすることで、協調性やコミュニケーション力も育っていくのを感じます。 

卒業生の涙と笑顔が原動力 

最近、発表会で卒業生を送り出しました。7〜8年続けてくれた子たちが「続けてよかった」と言ってくれたのが本当に嬉しかったです。発表会中、子どもたちも保護者も涙を流しながら演技していて、チームを大切に思ってくれていることが伝わりました。 

その中には、チアを続けたいという思いで中学受験を頑張って合格し、新しい環境でもチアを続け子もいます。また、今は高校生になった卒業生が練習に手伝いに来てくれるようになり、 下の子たちにとっては憧れの存在になっています。 

こうした世代を超えたつながりや、「また戻ってきたい」と思える場所があることが、私にとってもチームにとっても、何よりの財産です。

今後は「自信を育てる場所」としての認知を広げたい 

チアリーディングには、他のスポーツにはない魅力があります。たとえばスタンツという人を持ち上げたり飛ばしたりする演技は、簡単にはできることではないからこそ、成功した時の達成感や自信に繋がります。

私自身、自信がなかった子ども時代をチアが変えてくれたので、同じように 「自分に自信を持てる子」が増えてほしいと思っています。 

今後は、大きくチームを拡大したいというよりは、まずはこのチアリーディングの良さを多くの人に知ってもらって、「やってみたい」と思ってもらえるようなきっかけを作りたいですね。

そして、卒業後にまた戻ってきて教えてくれるような循環が作れたら、これ以上に嬉しいことはありません。 

このクラブはまだ独立してから2年足らずですが、一歩一歩、丁寧に歩んできた実感があります。これからも子どもたちの笑顔や成長を原動力にしながら、「自分を好きになれる場所」を目指 して活動を続けていきたいと思います。